税理士には、銀行員とおなじく「お金の計算を間違えることが許されない」というイメージがあります。「[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣」(山本憲明・著/PHP研究所・刊)という本に、面白いことが書いてありました。
「税理士は、すこしくらい数字が合わなくても気にしない」
不正行為や怠慢ではありません。「重要性の原則」という、税理実務を迅速におこなうための考え方です。
「重要性の原則」とは
税理士業では、会社の規模にもよりますが、1000円以下の誤差であれば、数字が合わなくても気にせず計算してしまいます。
というのも、1000円以下であれば、税金の額が変わらないので、結果に影響がないからです。
(『[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣』から引用)
税理士の世界では「企業の重要性の乏しい取引(金額が少ない場合など)には、簡便な表示が認められる」というガイドラインがあるそうです。税金の額が変わらないのであれば、その情報について労力や時間を使うのはムダだからです。ムダを省くためのテクニックである「重要性の原則」は、あらゆる仕事に応用できます。
「必要のない完璧主義」をやめる
その仕事に求められるクオリティはどの程度か。
これは仕事を始める前に確認するようにしましょう。
すべての仕事に対して等しく全力を尽くそうとすると、仕事ははかどりません。
(『[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣』から引用)
「スピードと期限厳守を求められる仕事」と「ミスゼロを求められる仕事」を正しく認識するべきです。完璧主義には、ほとんど意味はありません。なぜなら「完璧」とは、多くの場合は「自己満足」だからです。本人が「完璧」だと思って仕上げたとしても、上司や取引先にとっては「基準を満たしている成果物」にすぎません。
完璧主義者は、息切れを起こしがちです。たとえば、42.195kmのフルマラソンで重要なのは、ケガをせずゴールに到達することです。世界最高新記録を目指して全力疾走したけれど「ゴール前でリタイア」では、元も子もないのです。
「即決即断」を習慣づける
決断力とは「優先順位を決める力」のことです。ビジネスにおける優先順位は、つぎの4つに分けられます。
(1)重要かつ緊急な仕事
(2)重要だが緊急でない仕事
(3)重要でないが緊急な仕事
(4)重要でなく緊急でない仕事
(『[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣』から引用)
ややこしいですね。優先順位を気にしすぎるよりも、気がついたものから即決即断して処理するほうが速いかもしれません。
即決即断とは、つまり「悩むのをやめる」ことです。たとえば昼食を買うためにコンビニに行ったときに「5秒以内で決める」ことを習慣づける。ささいなことすら即決即断できない人が、重要なことを迅速に決断できるはずがありません。日ごろからの訓練が必要です。
ノー残業を目指すために「就寝時刻」を決める
つまり、仕事を速くするためには、まず、残業しないと決めることが大事だということ。
そのためには、定時で帰ることを習慣化することがおすすめです。
(中略)
「定時に帰るといったって、目的もないのに無理だ」
そう思う人もいるかもしれません。
それならば、「定時に帰る目的」を決めてしまいましょう。
(『[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣』から引用)
残業をなくすためには「プライベートを充実させる」ことがオススメです……といっても、いきなり「新しい趣味」や「新しい目的」を見つけるのは難しいです。「就寝時刻」を決めてしまいましょう。たとえば、夜10時に寝ると決めて、睡眠スケジュールを守るために定時で仕事を終らせるのです。
早く寝るということは、朝に早起きするということです。睡眠は、最高の娯楽です。たっぷり眠るのは健康に良いですし、通勤ラッシュを回避することもできます。朝のストレスを減らすことによって、仕事に対する意欲が高まるはずです。
(文:忌川タツヤ)
【参考文献】
[図解] 99%のムダをなくし、最速で仕事をする人の習慣
著者:山本憲明
出版社:PHP研究所
仕事のスピードを速くしたい! そのために、大切なことは仕事を整理し、無駄を省くことです。「モノがたくさんあって、必要なものを探すのに時間がかかる」「いいアイデアが浮かばず延々と考え続けてしまう」「優先順位にとらわれすぎて、かえって効率が悪くなる」……、意識しなければ、多くの無駄なことに時間を費やしてしまいます。中でも、特に大きな無駄の1つが「みんながやっているから、自分も合わせないと……」と考えて、している行動です。本書は、無駄を徹底的に排除して、仕事のスピードを圧倒的に速くする方法について、解説しています。一つひとつのテクニックは、誰でもできる簡単なことばかりなので、すぐに始めることができます。本書のテクニックを実践し続けて、習慣にまで発展できれば、今よりも仕事が速くなること間違いなしです。
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