本・書籍
2017/9/9 18:30

オシャレな部屋は自分で作ろう! フランス人に学ぶ日曜大工の心得

部屋の模様替えをしようと決めたとき、私たちは新しい家具やカーテンや雑貨を探しにデパートやショッピングセンターへと出掛けたり、あるいは大々的な模様替えならリフォーム業者に依頼するいうのが一般的だ。

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では、フランス人はどうだろう? 何事もオリジナルにこだわる彼らは、壁を塗ったり、タイルを並べたり、カーテンを縫ったり……、手づくりで部屋をコーディネイトしていく方法をとる。

 

趣味はブリコラージュ(Bricolage=日曜大工)と答えるフランス人は、想像以上に多いのだ。

 

手づくり派のパリっ子が通う店

パリに暮らした時代、私はパリの下町18区の生地屋街を見て回るのが好きだった。モンマルトルの丘にあるサクレクール寺院前の階段を下ると、その左側一帯は“マルシェ・サンピエール”と呼ばれる生地屋街になっている。そこではありとあらゆる素材の洋服地、室内装飾用の生地を見つけることができるのだ。

 

引っ越したばかりの頃、既製のカーテンやソファカバーなどが思いのほか少なく、お洒落なはずのフランスなのになぜ?と疑問に思っていた。その理由はすぐにわかった。ブリコラージュが大好きなフランス人は既製品など選ばず、好みの生地を買って作るからなのだ、と。

 

マルシェ・サンピエールでは、白無地の生地だけでも膨大にある。しかも日本ではあまり見られない280cm幅とか300cm幅などインテリア用の幅広の布地がたくさん揃っているのだ。

 

また、パリ4区にあるデパート『BHV』は観光客よりもパリ市民が多く買い物にいく場所だ。日本でいうとホームセンターのように、ペンキ、タイル、木材、壁紙など家のリフォームに関する品なら何でも揃っている。

 

季節ごとに部屋の模様替えをしたくなったとき、パリっ子たちはそれらの店をのぞいてアイディアを思い浮かべつつブリコラージュの計画を立てるのだ。

 

フランス人に学ぶブリコラージュ術

パリのブリコラージュ』(とのまりこ・著/学研プラス・刊)は、フランスのブリコラージュの世界を数々の写真で見せてくれる一冊。パリっぽい部屋作りを考えている方は必見だ。フランス人たちの色使いのセンス、斬新なアイディアはきっと参考になるだろう。

 

“塗る・貼る”の編では、古い家具をペイントしてモダンに変身させるテクニック、そして、日本でも人気急上昇中のフランス生まれのデコレーションツール「デコパッチ」の上手な使い方も紹介されている。

 

また、最もフランスらしいのは椅子の布の張替えかもしれない。街角のマルシェ(市場)には、椅子の修理職人の姿をよく見かける。

 

自分のお気に入りの布をチョイスすると、オリジナルのイスがつくれちゃう。古い物を代々大切に使っていくアンティーク文化が根付くフランスの底力が見える一面です。

(『パリのブリコラージュ』から引用)

 

私の友人はある日、破れ汚れた猫足の椅子を粗大ごみ置き場から拾ってきた。器用な彼女は、ぼろぼろだった椅子の布を張替え、木の脚をペイントし直して見事にによみがえらせ、私を驚かせた。

 

真似してみたいタイル使い

バスルームやキッチンのイメージチェンジにはタイル使いがおすすめだ。

 

フランスでは、ビストロやブティックなどの店舗や家の中などさまざまなところでタイルが使われます。その色使いや組み合わせのセンスは抜群で、発見するたびに写真を撮りたくなってしまうほど。

(『パリのブリコラージュ』から引用)

 

本書では、いかにもパリらしいお洒落なタイル使いを学べ、また、すぐに真似できるモザイクアートも紹介されているので、チャレンジしてみたくなる。

 

掘り出し物はブロカントで見つける

パリの蚤の市は有名だが、それとは別に、フランスではどの街でもときどきブロカント(Brocante=古道具の売買)が開かれる。ブリコラージュが好きな人たちは、ブロカントも大好きで、そこで見つけた美しいガラクタたちを、インテリアの中に工夫して生かしていくのだ。

 

日本では骨董品を表わすものとして「アンティーク」という言葉がよく使われますが、「アンティーク」は正確に言うと100年以上経過したもの。そこまで時が経過していない古いものをフランスでは「ブロカント」という言葉で表現します。(中略)「来週ブロカントがあるらしい!」「これはブロカントで見つけたお気に入りよ」などなど、日常生活で頻繁にこの言葉が登場します。

(『パリのブリコラージュ』から引用)

 

見つけた古道具を、自分なりのスタイルにブリコラージュでリメイクしていくのが彼らのやり方。古い網カゴをランプシェードにしたり、古いタルト型を壁掛け時計にしたり、本書では素敵なアイディアの数々を見せてくれている。

 

日曜大工で家を建てたパパもいる!

本業は科学者だが、日曜大工だけで2年間をかけて“木の家”を建ててしまったパパがいた。娘のクラスメイトの父親だが、完成した家はすばらしい出来栄えでその腕はプロ並みと思えた。

 

フランス人の日曜大工のレベルは日本人が想像するより、はるかに高い。日本だったらリフォーム業者に頼むようなことまでフランス人は自分たちでやってしまうのだから。

 

なぜか?

 

「なぜ自分たちでやるの?」という質問には「プロに頼むよりずっと経済的だから」「自分たちでやった方が失敗したとしても納得がいくから」という意見がほとんど。なぜならフランスは、「サービス大国」とは正反対。(中略)自分の範囲の仕事以外のことは絶対にやらないし、責任はとらないという国(「ボクのせいじゃない」がフランス人の口癖ナンバー3に入る言葉!)。だから高いお金を払って業者にリフォームをお願いしても、思った通りにいかず適当な仕事をされるのに時間がかかる…etc。トラブルだらけということも多いから。

だったら自分たちで楽しく経済的にブリコラージュしてしまおう!

(『パリのブリコラージュ』から引用)

 

フランス人のブリコラージュ好きの背景にはそんな事情もあるのだ。この本には、著者が取材し、撮影したフランス人たちの家とそのインテリアの写真がいっぱい。どれもセンス抜群で、しかも手づくりの温かみがある例ばかりだ。

 

(文:沼口祐子)

 

文献紹介

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パリのブリコラージュ

著者:とのまりこ

出版社:学研プラス

ブリコラージュとは「DIY」のこと。パリ在住の著者が、作られたインテリアではなく、実際に生活している素敵なお家とお部屋を豊富な写真で紹介します。ちょっとした棚の作り方や、真似したくなる色合わせや小物使いなど、すぐに役立つアイデア満載の1冊。

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