旅行の楽しみのひとつが朝ごはん。
普段は朝にあまり食欲が出ないという人でも、旅先だとビュッフェ形式でかなりの量を盛り、ぺろっと平らげることができる。これは旅の解放感なのか、それとも移動で体が疲れているので、体が食料を欲しているのだろうか。
圧巻の名古屋モーニング
朝食が豪華と言ったら、なんといっても名古屋である。私も名古屋に行った際は、モーニングを楽しむ。あるとき泊まったホテルではおにぎり食べ放題なんていう嬉しいサービスがあったし、パン食べ放題の喫茶店もあった。3日の滞在で、あまりにも食べ物が美味しすぎて1キロも太ってしまったほどだ。
朝からモリモリ食べられるのは幸せなことだ。仕事をしていると、朝は急いでいてゆっくり食べる時間もないまま満員電車に乗ることもある。モーニングを楽しめる名古屋の人たちは、とても贅沢な朝を過ごすことができているのだと思う。
九州の朝ごはんもすごい
そういえば福岡に行った時も、ホテルのビュッフェが豪華だった。ご当地メニューなどがいろいろ並べられていたのだ。辛子明太子や筑前煮や、朝からカレーやフグまであったのを記憶している。九州のお米は深みのある味で私は大好きで、今でも食べたくなってネットで時々取り寄せてしまうほどだ。その美味しいご飯の上に乗せて食べた名物の高菜。あれも相当に美味だった。
『ジェッ太の旅先オン☆ザ☆ライス』(ジェットスター漫画部・著/学研プラス・刊)は、航空会社ジェットスターの公式キャラクター・レッサーパンダのジェッ太くんとその家族が国内外各地で食事をするというほのぼの漫画。なぜ彼らが各地を渡り歩くかというと、ジェッ太くんのパパがサーカス団で働いていて転勤があるから、というちゃんとした理由もある。
旅のご飯のレシピ
そして、ジェッ太くんも、九州で高菜を食べていた。お腹が空いて倒れたジェッ太くんに、地元の人が高菜かけご飯を振る舞ってくれたのだ。「高菜の歯ごたえにごまの風味がたまりません」「これぞご飯のお供の原点!」目を輝かせながら箸を進めるジェッ太くんを見ていると、たまらなく高菜ごはんが食べたくなってしまった。
この本のすばらしい点は、レシピが付いているというところで、この高菜炒めの作りかたも丁寧に紹介されていた。旅の食事を紹介する本でレシピが付いているのは珍しいと思う。レシピがあれば自分の家で、あのとき美味しかったあの味が再現できるかもしれないのだからありがたい。
ふりかけ発祥の地・熊本
高菜の油炒めは、簡単なようでいて、コツがいるようだ。高菜と白ごまを混ぜるのはわかっていたけれど、お好みで鰹節やちりめんじゃこを入れるというのは知らなかった。じゃこを入れたらしょっぱくなりそうだけれど、これには深い理由があるようだ。
なんでも熊本はふりかけ発祥の地なのだという。
元祖ふりかけと言われる「御飯の友」を販売しているフタバによると、熊本でふりかけが作られたのは大正初期。薬剤師の吉丸末吉さんが考案者で、人々のカルシウム不足を補うために、魚を骨ごと細かくしてご飯にかけて食べることが目的だったのだそうだ。ちりめんじゃこを入れるのも、そうしたルーツによるものなのかもしれない。
ところで旅の朝ごはんはなぜ美味しいのか、その明確な答は人によって違うようだ。例えば主婦の友達は自分が家族食事の世話をしなくていいので、気ぜわしさもなくゆっくり食べられるから美味しい、という。私自身は、旅行中は色々な物事を吸収しようとしている。なので、食べ物もいつもより体が取り込みたがっているんじゃないのかな、と考えている。
(文・内藤みか)
【文献紹介】
ジェッ太の旅先オン☆ザ☆ライス
著者:ジェットスター漫画部
出版社:学研プラス
「旅とごはん」をテーマに、ジェットスター公式キャラクター・ジェッ太くんとその家族が繰り広げる、ほんわかストーリーマンガが電子書籍化。マンガの各話で紹介する料理の写真やかわいいイラストレシピも必見。第0話~17話と、描きおろしエピソードを収録。
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