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2018/3/1 16:30

「焼売」はシューマイ。では、新聞社で有名な「読売」の由来は? 意外に知らないことが多い『新聞のひみつ』

普段は「新聞なんて読まない」という人も、オリンピックや社会的大事件の情報をくわしく知りたいときには、コンビニやキヨスクで買ってしまうものです。

 

ネットニュース全盛の時代にもかかわらず、新聞を求める人は少なくありません。なぜでしょうか? 『新聞のひみつ』(ひろゆうこ・著、青木萌・イラスト/学研プラス・刊)という学習まんがを紹介します。
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新聞の歴史

江戸時代の後期、「かわら版」と呼ばれる世の中の出来事を書いた刷りものが誕生しました。
(中略)
その「かわら版」は、内容の一部を節をつけて読みながら売り歩くことから「読み売り」ともいわれていました。これが日本の新聞のはじまりです。

(『新聞のひみつ』から引用)

 

有名な『讀賣(読売)新聞』は1874(明治7)年に創刊しました。「読みながら売る」という名前のとおり、口語体(はなしことば)と漢字の読み(ふりがな)を使った紙面づくりが、当時は画期的だったそうです。

 

新聞といえば「日刊」が当たりまえですが、はじめの読売新聞は「1日おきの隔日紙」でした。ちなみに、日本初の日刊紙は、1871(明治3)年創刊の『横浜毎日新聞』です。新聞にゆかりがある土地柄なので、神奈川県横浜市には『日本新聞博物館』があります。

 

 

紙面づくりの流れ

新聞記者がおこなった情報収集や取材をもとに、紙面の制作がはじまります。

 

【編集会議】
各部のデスクが集まり、その日の1面にのせる記事や紙面の方向性を決めていきます。

【編成】
コンピューターで記事や写真のレイアウトを決めます。

【校閲】
でき上がった記事の文字や文章の間違いを正し、紙面をチェックしてきます。

(『新聞のひみつ』から引用)

 

「デスク」は役職名です。政治部や社会部など、各部門をまとめる責任者です。掲載するニュース選びや記事の品質に対して大きな責任を負っています。

 

編成部では、新聞コンテンツのレイアウト(位置決め)をおこないます。新聞紙サイズの白紙に向かい、専用の定規をつかって、紙面をデザインする仕事です。

 

突然ですが……新聞クイズ! 新聞紙の「見出し」は、誰が考えているのか知っていますか?

 

 

「見出し」を考えているのは……

じつは、見出し(記事タイトル)を考えているのは記者……ではなくて「編成部」です。実際に、ある日の読売新聞の見出しを、いくつか引用します。

 

【1面】
女子追い抜き「金」

【総合面】
米朝会談 北が断る

【政治面】
民事裁判 ネットで提訴

(『読売新聞 2018年2月22日朝刊』から引用)

 

新聞の見出しは、8文字~11文字以内におさめます。文字数だけでなく、ひと目で理解できなければいけません。「べいちょうかいだん きたがことわる」という見出しは、わかりやすさ、適度な文字数、リズムの良さが三拍子そろっています。

 

この日の会心作は、スポーツ面の「黄金の一心同体」という大きな見出しです。平昌五輪のスピードスケート女子団体において、佐藤綾乃・高木美帆・高木菜那の3選手が成し遂げた快挙を、みごとに表現して伝えています。

 

 

新聞印刷のひみつ

読売新聞における朝刊の発行部数(公称)は、約800万部です。1部につき40ページだとすれば、朝刊だけでも3億面の印刷が必要です。それを毎日おこなっています。どうやって紙を調達して、どのような方法で印刷しているのでしょうか?

 

読売新聞の印刷工場は、2002(平成14)年にいち早く、最新のCTP(コンピューター・トゥ・プレート)というシステムを導入しました。

コンピューターで作られた紙面データを工場へ送信し、0.3ミリのアルミ板に直接レーザーで紙面データを書き込んで「刷版(さっぱん)」を作ります。

(『新聞のひみつ』から引用)

 

新聞印刷の歴史は、木版→活版(銅板)→ネガフィルム→アルミ板、という流れをたどっています。アルミ製のプレートは、仕上がりが美しいだけでなく、溶かして100%リサイクルできるので、良いことばかりです。

 

800万部を印刷するために、日本各地にある29カ所の工場にデータを送ります。1分間で1500部(1時間で9万部)を刷ることができます。印刷機にセットするのは全長1万3千メートルの巻き取り紙ですが、そのうち70%は回収古紙をリサイクルしたものです。

 

 

新聞の存在意義とは

インターネットのおかげで、新聞を定期購読しなくても、最新ニュースを知ることができるようになりました。しかし、地域ごとの「おくやみ」欄は、インターネットを検索しても知ることができません。「おくやみ」を毎日チェックしたいから新聞購読をやめられない、という人は多いです。

 

新聞紙には「情報を知る」こと以外にも、さまざまな使いみちがあります。

 

たとえば、自宅で揚げ物をつくるときの敷き紙。濡れた靴に詰めるための乾燥材。自宅で散髪するときには新聞紙くらいの大きさの敷き物がないと片付けるのが大変です。ダンボールに荷物を詰めるときには緩衝材(クッション)の役割も果たします。ご活用ください。

 

【著書紹介】

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新聞のひみつ

著者:ひろゆうこ(著)、青木萌(イラスト)
出版社:学研プラス

毎日、みんなの家に届く新聞、キミは読んだことがあるかな? 新聞には、どんなことがのっているんだろう? 新聞は、どんな人が作っているんだろう? 新聞は、どんなふうに作られているんだろう? 新聞についてのいろいろなことが、この本でよくわかるよ。
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