統計は、データ(数字)の集まりにすぎません。しかし、データを分析することによって、わたしたちの生活や人生の「ほんとうの姿」が見えてきます。
『日本で1日に起きていることを調べてみた:数字が明かす現代日本』(宇田川 勝司・著/ベレ出版・刊)は、我が国にまつわる統計データから興味深いものをピックアップ。わかりやすい解説によって理解を深めることができるガイドブックです。
1日あたりの出生と死亡
1日に、生まれる赤ちゃんと亡くなる人
出生 2,680人
死亡 3,541人
(厚生労働省統計)
(『日本で1日に起きていることを調べてみた』から引用)
生まれる人よりも、亡くなる人のほうが多い。前年に比べて、年間およそ30万人が減少します。
人が住まなくなった場所を「廃墟」といいます。1年間で30万人が消滅するということは、埼玉県春日部市(23万人)、青森県青森市(28万人)、東京都豊島区(29万人)などが、たった1年で廃墟化するようなものです。
1年間に生まれる赤ちゃんが、今よりも30万人増えれば、日本の廃墟化を防ぐことができます。活力を取り戻せます。年長者が「結婚はまだか?」「孫の顔が見たい」としつこく言うのは、集団としての生存本能かもしれません。一理あります。
1日あたりの婚姻と離婚
1日に、結ばれるカップルと別れるカップル
結婚 1,696組
離婚 593組
(厚生労働省統計)
(『日本で1日に起きていることを調べてみた』から引用)
別れる夫婦よりも、結ばれる夫婦のほうが多い。心が温まるデータです。巷(ちまた)には愛が満ちています。
1年間の婚姻件数はおよそ約62万件です。婚姻は「2人」でおこなうものですから、62万件×2人=毎年124万人が「結婚」を経験しています。意外に多いです。あきらめないでください。
1年間の離婚件数はおよそ約21.6万件です。単純計算では、35%の夫婦が離婚します。ただし「離婚」と言っても、うしろ向きの理由とは限りません。配偶者のモラルハラスメントから逃れるためかもしれません。人生はやり直せます。
愛する人に出会い、結婚して、子を授かったとしても……最期に亡くなるとき、すぐそばに家族がいるとは限りません。いま日本では「孤独死」が社会問題になっています。