本・書籍
自己啓発
2019/7/30 21:45

伊集院静から学ぶ「大人の男」になるための作法

一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』(伊集院静・著/双葉社・刊)は、週刊大衆の人気連載「作家の遊び方」から抜粋、加筆し一冊にまとめたものだ。現代を生きる男性読者に向けて書かれたものだが、女の私が読んでも、とてもおもしろい。

 

世界各地を旅し、うまい酒を飲み、ギャンブラーでもある伊集院氏が、「そこで見たもの、感心したもの、オカシイゾと思ったものを綴っているだけである。」そうだが、”悔いなく生きるには、こうすればいいんだ”ということが確かに見えてくる指南書でもある。

 

第一章 自分が何者かを知る旅

第二章 大人の作法

第三章 素晴らしい人との出逢い

第四章 作家の日常

 

という構成だが、さっそく一部を紹介してみよう。

 

大人の男は海外に出るべき

最近は、テロにあうリスクがあるから海外旅行になど行きたくないという人は少なくない。しかし、伊集院氏は、それでも日本から出てみることをすすめている。

 

言葉も話せない、生活習慣、イデオロギーも違う異国で、一番の収穫は、

━自分が何者か?

を知ることができるからだ。ではどういうことを知るかと言うと、

━自分はまだ何者でもない。

ということを知ることにつきる。

(『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』から引用)

 

日本に住んでいると、家柄、学歴、会社のポストなどなどで、当人はある程度、自分が何者かを確信しがちだ。が、伊集院氏によると、それがまったく無意味であることに気づくのが、異国への旅で獲得できるものだという。

 

なぜ、”自分は何者でもない”という考えを持つことが大事かというと、どんな時も再出発ができなくなるからだ。若者ばかりではなく、定年を迎えようとする人にも「自分はカクカクシカジカの者である」という考えに固執すると、新しい環境、新しい仕事、そこでの時間の過ごし方に対応できなくなってしまう。どんな素晴らしい経歴も業績も過去のメモリーであっても実感をともなうものではない。実感をともなうものは、今、生きている仕事、時間だけだ。

 

”自分は何者でもない”、この考えをすんなり受け入れられるようになれば、何度でも再出発が可能な人間になれるという。大人の男になりたいのなら、やはり旅に出なくてはならないのである。

 

 

男は”身奇麗”でなければならない

次は男の身だしなみについてだ。いい男だな、と思った相手がいたらその足元を見るといいそうだ。きっときちんとした靴を履いているはずだから。伊集院氏は、同じ靴を何日も履き続ける生活をしていては大人の男として失格だという。別に高価な靴でなくてもいいが、靴は自分で選び、自分で手入れをするのが基本だ。

 

”私は、後輩がギャンブルで儲けると必ず、「靴を買いなさい」と言う。その理由のひとつは、靴というものが長く履き、履く度に、━この靴は、あのダービーで勝った時に買ったんだったナ。と良い思い出に浸れるし、靴を購入することで、少し身軽になる思いがして、勝利の実感も湧くからだ。”お洒落は足元から”は本当のことなのだ。

(『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』から引用)

 

また、スーツにしても、ジャケットにしても、”着るものは背中で着ろ”を忘れてはならないという。

 

ほとんどの人はスーツなり上着なり、ジャケットを着た後、背中をきちんと直さない。女性が着物を着付けてもらう時、最後に必ず着付けた人が、背中を叩くのは、人間が上着を着る時は背中とのフィッティングが肝心だからである。外に出てまで気にかける必要はないが、せめて家を出る一分前くらいは背中に気をかけることだ。

(『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』から引用)

 

さっそく、明日の朝、いや今日から実践してみよう。

 

 

手紙は上手く書く必要などない

大人の男としては、手紙の作法もきっちりと身につけておきたいものだ。しかし、手紙が上手く書けないと悩む人は意外と多い。これについて、伊集院氏は、上手く書く必要などないと言い切っている。

 

手紙には、その用途においてさまざまなものがあるが、要約すると、何を伝えたいか、を第一とすることが大切である。(中略)まずは、その第一とすることを書けばそれで済む。

「いや、それがなかなか上手く書けなくて……」

それは違う。

上手く書こうとするから難しくなるのである。手紙は上手く書く必要などさらさらない。

(『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』から引用)

 

上手い手紙というものは、逆に主旨から外れて、違う受け止められかたをすることがありがち、とも。

 

長い手紙にロクなものはないそうだ。スピーチと同じでともかく短くが基本。そして、字が下手だという人も、丁寧に書いてあればそれでいい、とアドバイスしている。

 

 

出逢いこそが、生きること

そして、どんな人もいちばん大切にしなければならないのが、人との出逢いだ。

 

”出逢い”こそが、もしかして生きることの、すべてかもしれない、と私が思うようになったのは、自分のこれまでの歳月を思い返してみてのことである。誰一人、出逢わなくて済んだ人がいないのである。それは逆に言えば、一人でも欠けていれば、今の自分はないだろうということになる。

(『一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2』から引用)

 

本書では、松井秀喜、星野仙一、武豊、山口洋子、色川武大など各界の人々との出逢いのエピソードが綴られており、とても興味深い。

 

さらに、最終章の作家の日常の中では、”読書のすすめ”として、伊集院氏が夏休みに読むといいという本の紹介もある。

 

”大人のいい男”を目指したい方は、是非、参考に。

 

【書籍紹介】

一度きりの人生だから 大人の男の遊び方2

著者:伊集院 静
発行:双葉社

当代屈指の人気作家にして、「大人の流儀」シリーズが国民的なベストセラーになっている著者の「生き方の指南書」第二弾。今回は服装や手紙の作法から旅に出ることの意義、松井秀喜、宮里藍などのアスリートから松任谷由実などアーティストとの交友まで幅広く綴る。「実りある人生を生きる」ための必読書。

楽天ブックスで詳しく見る
Amazonで詳しく見る

 

年下男性にモテるアラフォー女性は「女傑」か「菩薩」