世の中はモノであふれ、流行は一瞬! そんな中で、新商品開発やブランディングをしていくことって、本当大変ですよね。上司からは「今度発売するうちの商品をバズらせたい!」と謎な目標を掲げられて、いやいや「誰にですか?」と聞けば、「SNSとかでドーンとさ〜」なんて曖昧な回答……。一体、誰のためのなんの仕事なんだよ! と思っちゃいますよね。そんな鬱憤を抱えるあなたに、ぜひ読んでいただきたいのが、『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』(大林 健太郎・著/秀和システム・刊)です。
この本の著者、大林健太郎さんは、チバテレビで働きながら、年間60本以上の講演をされているという売れっ子テレビプロデューサー。プロデューサーといえば、肩からカーディガンをかけて(って古い!)、ブイブイ言わせているイメージですが、大林さんは戦略家のような、小さな会社を大きく変える『下町ロケット』の阿部寛さんのような、地に足がついているような方なんだろうな〜というのを読んでいて感じました。今回は、ブランディングにお困りのあなたを救う方法をお伝えしていきます。
チバテレビのプロデューサーは何しているの?
いきなり本書の内容に入る前に、著者の大林さんがどんなお仕事をしているかご紹介しましょう。
千葉県や、その近隣にお住まいの方で「チバテレビ」と聞けば、「あぁ〜3チャンネルね」と思い浮かぶ人もいると思いますが、それ以外の人は電波が入らないので、なかなか見られないチャンネルです。私も以前、江戸川区に住んでいた時には「東京MX」よりも「チバテレビ」をみていたのですが、現在は残念ながら受信できず、5年以上チバテレビを見れていません。悔しい!(笑)
そんなローカル局のプロデューサーさんは、一体どんなお仕事をされているのでしょうか?
テレビ局の社員と言っても、実際はまさに「なんでも屋」。ときには漁師町で釣り糸を売りましたし、着ぐるみの中にも入りました(笑)。
そんな職場ですから、プロデューサーになってからも、一般的なキー局のプロデューサーでは考えられないような、ちょっと変わった仕事の仕方をしています。
(『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』より引用)
というのも、地元企業と良好な関係を築いていかないと地方テレビ局としての存続が大変になってくるため、キー局以上に企業との関係を強固にしつつ、視聴者の方にも楽しんでもらえるような番組を作る必要があるのだとか。ただ、番組で企業を紹介して終わりではなく、次にも繋がる&視聴者も喜ぶ企画を考えているのがプロデューサーのお仕事だというのです。そんなことどうやったら可能になるのでしょうか?
そんなわけで、私は今でも毎日、喫茶店で4〜5社の会社の社長や広報の人と話をしています。そして、そのとき聞いたことの中から、演出のネタを瞬時に見つけて磨いていく、という仕事を10年以上続けています。
(『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』より引用)
すごい……。もう「なんでも屋」を通り越して、大林さんじゃなきゃできない仕事に変わっている! そんな大林さんの演出のネタとなるもののキーワードが「勝手に」なのです。一体どんな「勝手に」があるのかいくつかご紹介していきましょう!
勝手に「大谷翔平」になる
『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』では、これまで1200社以上の企業を演出してきた大林さんの勝手な演出術がいくつも紹介されています。
その中でも面白かったのが、勝手に「大谷翔平」になる、という演出方法。そんな簡単に大谷翔平にはなれないよ! と思ってしまいますが、大谷翔平選手のような二刀流を武器にして、演出した企業があったそうです。
その企業は「オレンジ歯科」という歯医者さん。なんとここの村上院長は家庭教師もお仕事としてやられているというのです。一見ミスマッチな仕事をそれぞれやっているだけでは「ふ〜ん」で終わってしまうのですが、視聴者が「なるほど!」と思える部分はどこにあったのでしょうか?
このときポイントとなるのが、単に二刀流というだけでなく、「二刀流だからこそ〇〇できる」というセールスポイントにまで結びつけること。
例えば村上院長の場合は、オレンジ歯科というクリニックでの診療も行いつつ、訪問歯科にも精力的に取り組んでいました。訪問歯科というのは、患者さんのご自宅や、入院している施設などに出向いて歯のケアや治療を行うというものです。自宅に出向くという点では、何となく家庭教師の仕事と共通点がありますね。
実際、村上院長のお話では、家庭教師でものを教えたり、相談に乗ったりしている経験が、訪問歯科でもとても役立っているとのことでした。
番組ではそうしたお話もしていただけたので、歯科医と家庭教師の二刀流という特徴が存分に発揮された内容になったと思います。
(『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』より引用)
最近は、副業やダブルワークなんてことも言われていて、多様な働き方ができるようになっていますが、似たような仕事や自分の仕事のスキルを生かした方が多いように思います。もちろん一刀流で攻めていくのも良いですが、ちょっと視点を変えてみることで、あなたの才能も二刀流だからこそできることに進化するかもしれませんよ!
勝手に「〇〇採用」をする
採用がどんどん厳しくなってきている昨今ですが、大林さんの元にも集客に加えて採用をプロデュースして欲しいという相談も来るそうです。商品をPRするためにテレビに出演するだけでなく、採用までとは幅広い……! そこで紹介したいのが、勝手に「〇〇採用」をするという演出方法です。
そんなとき、直球勝負で採用そのものを演出してしまうというのも一つの手です。
この手法の代表例としてご紹介したいのが、東京の港区にある「株式会社ココト」さん。システム開発などを行っている会社さんです。
この会社はとても遊び心のある会社で、もともと「小林採用」なるものを実施していました。これは、小林さんという苗字の人間を率先して採用するというものです。
(『チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術』より引用)
嘘でしょ!? と思い「小林採用」で検索してみると、一番上にこの会社の採用ページが出てきました(笑)。思わず笑ってしまいましたが、真面目にこの採用方法を取り組まれているようです。
さらに大林さんプロデュースのチバテレビ『ナイツのHIT商品会議室』に出演したことがきっかけで、「ナイツ採用」も追加したそうです(笑)。
https://www.cocoto.co.jp/recruit/knights/
この「ナイツ採用」は、お笑いコンビ・ナイツの考えた応募資格に当てはまる人は、書類選考を優遇するというもの! 一見ふざけているように見えるかもしれませんが、これで応募が増えているというのですから、驚きです。「面白い」と思う演出ができれば、それが広がっていくというのは本当にすごいことですよね。大きなお金がかかってしまう採用も、演出ひとつで応募が増えるきっかけを作ることができるかもしれません。
勝手な演出方法は全部で38例も紹介されています。あなたの悩みを解決できる勝手な演出方法やヒントがあるはずです。日々の仕事に鬱憤を抱えているのなら、ぜひ読んでみてください!
【書籍紹介】
チバテレ売れっ子プロデューサーが教える 言ったもの勝ち! 「勝手に」演出術
著者:大林健太郎
発行:秀和システム
どんな会社・商品でもセールスポイントはつくれる! 地方独立局でビジネス番組を10年間作り続けたからこそ編み出せた、ユニークだけど効果抜群の方法を教えます。ブランディングに悩む企業の経営者・広報担当者は必読の一冊です。