本連載ではGetNavi web編集長・山田佑樹が日々の生活で愛用している品々を紹介していきます。
【#愛用品 65:学研の図鑑「スーパー戦隊」】
●起
本コラムで初めての出版物だ(愛用品とはややニュアンスが違うが紹介したい)。古巣の出版物でもあるが、もちろん自腹買いしている。さて、出版社に入る前、図鑑というコンテンツは地味なジャンルだと思っていた。「動物」「魚」「昆虫」「植物」など世の中には様々な図鑑があるが、それを分類して分かりやすく紹介するだけなんじゃないかと。
●承
だが、学研に入社してから、それが間違いであることがわかってきた。そもそも、生き物はわからないことだらけである。むしろ、わかっていないことがほとんどだ。研究の最前線に飛び込んで、地図のカケラを少しずつ編み集めていく。冒険家に近い。断片的な情報を科学的な視点と、ときにはダイナミックな想像力で広げていく作業。それが図鑑だ。
●転
スーパー戦隊の場合は、さらに冒険家要素が極まる。なぜなら、一般的な図鑑は先人の知見が体系化されているが、こちらは整理されていないし、そもそも作品ごとに細かに世界観が違う。公式資料にもない要素もゴロゴロ。本書の場合も、設定集にないメカの造形はひたすら映像を見て調べ上げているという。膨大な作品の海をひたすら泳ぎながらフィールドワークする。知と血のアドベンチャーだ。
●結
いつも通りごちゃと御託を並べてしまったが、実際にページをめくると、その情報量の多さにめまいがする。戦隊モノのファンブックは郷愁に駆られるものだが、本書にはそういうのは一切ない。「あ、これエネルギー消費しながら読むやつだ」である。監修者や編集者と同じように、読者も無限に広がる世界を冒険できる。それが図鑑の醍醐味であり、それをスーパー戦隊という世界に誇る日本の文化で体験できるのが本書である。
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