本・書籍
2021/11/16 6:15

おじさんの「キモい」と「シブい」の差はどこに? 『モテと非モテの脳科学』は対人スキルがアップする実践本だった!

1962年生まれの筆者は、週刊誌なら『週刊プレイボーイ』と『平凡パンチ』、月刊誌なら『Hot-Dog Press』と『POPEYE』のHow to恋愛コーナーに彩られた10代を過ごした。

 

実践的なトライ&エラーの記録

リリカルな響きのタイトルに惹かれて『モテと非モテの脳科学・おじさんの恋心はなぜ報われないのか』(菅原道仁、山田ゴメス・著/株式会社ワニブックス・刊)という一冊を手に取ってみた。10代のころに蓄積された刷り込みは、今になってもいつでも再起動できる状態にあるようだ。

 

著者は、共に“チャラいおっさん”であるベテランライター——ちなみに同い年—―と脳神経外科医のコンビ。とあるニュースメディアで対談を行って意気投合し、一緒に合コンに参戦したり女性との飲み会を開催したりの後、毎回前向きな反省会を重ねた。本書は、こうした反省会のトピックをまとめたものだ。読者からの質問➝著者の回答➝先生の回答➝結論というフォーマットに統一された項目の数は、全部で27。まえがきにこんな文章がある。

 

本書にはおのずとながら、私と菅原先生の同世代(=40代~60代半ばあたり)の男性、いわゆる「おっさん」が抱える恋愛の悩みが多く登場し、「心や生き方までをサポートする治療」を信条とする脳神経外科医と、「永遠の思春期」をみずから標榜する老獪なベテランライターが、それら一つひとつに取り組んでいくスタイルを、メインとしている。

『モテと非モテの脳科学・おじさんの恋心はなぜ報われないのか』より引用

 

女性から寄せられた質問にも答えることでバランスがとれ、座りがいい。さらに、「モテと非モテの脳科学理論」をリアルに検証するためのフィールドワークとして行ったコリドー街でのナンパルポの躍動感で、心地よく読み切ることができる。

 

カラフルな質問

読者からの質問もカラフルだ。いくつか紹介しておきたい。

 

・「シブい」と「キモい」の差はどこにあるのか

・おじさんの定義とはなにか?

・LINEの反応がイマイチなのはなぜか

・正しい下ネタとはどういうものか

・夫とこのまま一生暮らすのかと思うと気が滅入る

 

厳選された27の質問には、自分ごとが必ず含まれている。ここでは、51歳既婚男性・自営業さんからの質問を掘り下げてみたい。

 

お二人から見てズバリ!「こいつ、おっさん臭くてモテないな」「絶対、女の子も寄ってこないだろうな……」と感じるのは、どんなタイプの中高年男性ですか?

『モテと非モテの脳科学・おじさんの恋心はなぜ報われないのか』より引用

 

お二人の回答を要約すると「話がループする」「飲みすぎ」(山田さん)、「くどい」「目線が定まらない」「見返りを求めすぎ」(菅原先生)ということになるようだ。あえてこの項目を選んだのは、筆者自身が気になったから。さっそく20代から40代の複数の知人―—もちろん女性―—に確認してみたところ、セーフだったように感じられる。鏡の中の自分を見るような感覚に陥るどきっとする質問と対峙することにこそ、この本の意味があるのだろう。

 

ナンパルポの懐かしくて新しい感覚

新橋から銀座にかけてのびるコリドー街でのナンパルポは、高校生のころ歌舞伎町噴水回りのディスコに通っていたいくつもの夜を思い出させてくれた。二人の活動中のモノクロ写真が差し込まれているけれど、画質にも画角にも10代のころ親しんでいた紙媒体の香りを感じる。

 

ファッションや最初のひと言、立ち居振る舞いや会話の進め方、スマートな締め方といった各シーンを通して、本書の内容を自然な形でおさらいできる構成になっている。[後日談]で、絵文字も含めたLINEの作法も確認できる。これは今の時代ならではのコミュニケーションの作法として外せない。

 

とてもテンポよくまとめられているパートで、凝縮されているものは濃くそして深い。何より実践的。全部で3パターンくらい紹介してほしかった。というか、この企画だけ押し切る本を読んでみたい。

 

モテ? 非モテ?シンプルな答えはご自分で

菅原先生によるあとがきに、次のような文章がある。

 

どうして自分だけがうまく行かないのだろう、なぜフラれてばっかりなのだろう、年のせいかなあ、顔のせいかなあ、お金に余裕がないせいかなあ、と自問自答をしている人たち向けにこの本を書きました。

『モテと非モテの脳科学・おじさんの恋心はなぜ報われないのか』より引用

 

直後に続くシンプルな結論の一文は、あえて紹介しない。本書を最初から読んで、あとがきに達した時に初めて実感として湧くものがあるからだ。モテ・非モテというキーワードを軸に展開していく内容でありながら、その背景に広がるのは汎用的な対人スキルに関する実践に裏打ちされたノウハウなのだ。なんか、生え際の白髪染めたくなってきた。

 

【書籍紹介】

モテと非モテの脳科学 おじさんの恋心はなぜ報われないのか

著者:山田ゴメス、菅原道仁
刊行:ワニブックス

本書はライターと脳神経外科医、ふたりのおじさんによるおじさんのためのおじさんの恋愛本である。ふたりのおじさんは、ときには合コンに繰り出し、ときには「男女の出会いあの新名所」にも乗りこみ、時にはへこみ、時には若いやつらを出し抜き意気揚々と夜の闇に消えていく。「いい年して」「大人げない」「そろそろ枯れたら」と言われようがおかまいなし、のふたりの願いはただひとつ。おじさんたちよ「もう年だから」なんて言うな! いくつになっても恋は苦しく、そして楽しい。

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