エッセイや対談本が好きで、ついつい読んでしまうのですが、先日見つけた『しまおまほのおしえてコドモNOW!』(しまおまほ・著/小学館・刊)は衝撃の1冊でした。2017年からWeb Domaniで連載されていた企画を書籍化したものなのですが、著者のしまおさんが36名の小学生たちにインタビューした様子がまとめられています。
「ヤダ! 30分が1年に感じる」「いや、あれは大親友でも準親友でもなくて“特別親友グループ”!」「地球をつくることー!」など小学生らしい!? 奇想天外な発言もたくさんありますが、読み終わると私も子どもだったのよねという懐かしい気持ちと、勝手に大人の思う子ども像に当てはめちゃいけないなと考えさせられました。今回はそんな読めば読むほど味わい深い『しまおまほのおしえてコドモNOW!』をご紹介します。
大門未知子好きな小学1年生
我が家では21時以降は「寝なさい!」「テレビ禁止!」という昭和な家庭だったため、ドラマもリアルタイムで見ることができませんでした。しかし、今では配信でなんでも好きな時間に見ることができるようになりましたよね!
そんな配信を駆使して大好きなドラマを見ているのが小学1年生のハナちゃん。米倉涼子さん主演のドラマ『ドクターX』を配信サイトで楽しんでいるのだとか。
ハナ ハナは『ドクターX』ではダイモンミチコとジョウノウチがいちばん好き。あとアキラさん。
まほ アキラさんは何する人なの?
ハナ ダイモンミチコのまねーじゃーで、例えば請求書とか渡して、「これ、メロンです」って言って、その金額がすごく高くてヒルマ院長が変な顔するんだよ(笑)。
(『しまおまほのおしえてコドモNOW!』より引用)
詳しい(笑)。他にも2016年に放送された「未知子 VS 最新オペマシーン」が好きだと話してくれたり、お母さんと一緒にTBSドラマ『マザー・ゲーム〜彼女たちの階段〜』『恋はつづくよどこまでも』も見ていると書かれてありました。
取材時は小学1年生だったハナちゃんも、1年経って小学2年生に。今でも『ドクターX』は好きで、新シリーズを心待ちにしているそう(笑)。「子どもだからドラマの面白さなんてわからないでしょ?」とそんな気持ちを抱きがちですが、小学1年生でも面白いと見ているなんて素敵な感性ですよね。ハナちゃんの将来が楽しみです!
小川博久先生との対談も面白い
『しまおまほのおしえてコドモNOW!』には、子どもへのインタビューのほかに、番外編として幼児教育学者の小川博久先生としまおさんの対談も掲載されています。ここでは「子育てで大切なことは?」をテーマにお話しされているのですが、子どものいない私でも、「なるほど」と唸ってしまうことがたくさん書かれてありました。
小川 まず、子どもの動きを束縛しないことが大切。だから、放っておくことは構わないの。けれど、関心を失わないことが重要。注視する、そして子どもの手の内を読んで、そのうえで放っておくの。
(『しまおまほのおしえてコドモNOW!』より引用)
小川先生曰く、親は子どもにとって憧れの対象になるのがベストなのだとか。子どもからファンになってもらえるように、程よい距離感で接するのがポイントだそう。
3歳になった姪っ子とは、会うとうれしくてあれこれ買ってしまったり、次々と遊んでしまったりしていましたが、次から“おばさまのファン”になってもらえるよう、ベタベタしすぎず、程よい距離感で憧れてもらえるように頑張りたいと思いました(笑)。
親でも先生でもない大人と子どもが話す大切さ
自分の小学生のころを振り返ってみると、周りにはたくさんの大人がいました。
親でも先生でもない、地域のおじちゃん・おばちゃん、習い事で会うお姉さんたち、近所のお店の店員さんなど、変に子ども扱いせず、対等に話を聞いてくれる人たちがたくさんいたなぁ〜と懐かしさと共に、感謝の気持ちが出てきました。
いろんな大人たちを知っていたからこそ、私もこんな大人になってしまったのだと思うのですが(笑)、本書のしまおさんのような存在が子どもにとって結構重要なのかも? と感じました。かつてはみんな子どもだったので、読めば懐かしい気持ちと共に、大人になった「今」だからこそわかることも感じられるはずです。大人が一括りにしがちな「子ども」にも、ちゃんと個性があるよという当たり前のことを感じさせてくれる1冊です。子育て中の方はもちろん、かつて子どもだった全ての大人におすすめできます!
【書籍紹介】
しまおまほのおしえてコドモNOW!
著者:しまおまほ
刊行:小学館
子ども目線でも大人目線でもない…しまお目線で巷のコドモ36人の“今”に迫ったり迫らなかったり、なうっかり新境地!ルポルタージュエッセイ。