旦那さんが作る味噌汁が、異様にうまい……。私の味噌汁はその日によって濃かったり、薄かったり安定しません。でも、たま〜に作る旦那さんの味噌汁が異様にうまいのです。作る工程を見張っていても、特別なナニカをしているわけではないのに、なぜ!?
私もうまい味噌汁を作りたい! と手に取ったのが『お味噌知る。』(土井善晴、土井 光・著/世界文化社・刊)でした。レシピ本というよりも、読み物としてとっても面白い一冊だったのでご紹介します。
「基本のお味噌汁」とは?
レシピ本だと、どんな具材を入れて〜、水は何ccで〜、中火で〜など丁寧に書かれていますが、この『お味噌知る。』は細かい工程や分量が書かれてある本ではありませんでした。ふむふむ、と思いながら電車の中で読んでいると「ぐぅ〜」っとお腹が空いてきて、「帰ったら味噌汁作ろう」と思えてくる不思議な一冊です。
みなさんは味噌汁と聞いてどんなイメージがあるでしょうか? 私はなければ生きていないくらい、毎日飲んでいます! 外食して帰ってきても、寝る前にふと「味噌汁飲みたい」と思うほど欠かせません。それなのに、上手に作れないって結構ショックなんですよ……トホホ(苦笑)。
料理研究家親子である、土井善晴さん、土井 光さんによる「基本のお味噌汁」をご紹介しましょう。
一人分食べきりのお味噌汁の作り方
①ひと碗の具材とひと碗のお水を
②小鍋に入れて中火で煮立て
③味噌を溶いたら
④お味噌汁
(『お味噌知る。』より引用)
めちゃ簡単! 水で具材を煮て、味噌を入れたら「お味噌汁」。そう思うと、なんだかとっても気持ちが楽になりますよね。味噌の量も、大きめのお椀なら米味噌・豆味噌が18〜20g(1杯分)程度、小さいお椀なら米味噌・豆味噌を13g(1杯分)程度とのこと。いちいち測って入れるのではなく汁の色を見て、濃度を確かめて、目分量で測っていきながら作りましょうと書かれてありました。味噌とはなにか、味噌汁とはなにかをじっくり文章で読んでいけるので、詳しく知りたい方はぜひ『お味噌知る。』で読み深めてみましょう!
「この組み合わせありなんだ!」なんでもおいしいお味噌汁
お味噌汁の具材でいうと、わかめや豆腐、ネギなどちょっとした具材を想像しますが、『お味噌知る。』には野菜とソーセージの味噌汁やトマトの味噌汁、白菜の漬物の味噌汁と驚くような組み合わせも。
土井さんたちが提案するお味噌汁は、どれも自由。どこにも「こうしなさい」なんてことは書かれてありませんでした。例えば、秋にぴったりな「きのこ汁」も使う材料は、好みのきのこでOK。作り方も以下のようにざっくり紹介されています。
鍋に、水を入れて火にかけ、たっぷりのきのこ、鶏肉、茄子全部を入れます。煮立てばアクを取り、味噌を溶いて、一緒にしばらく煮ます。
(『お味噌知る。』より引用)
「レシピ本を買っても作る時間もないし……」と思っている人はぜひ、『お味噌知る。』を読んでみてほしいです。いろんなヒントが満載なので、自分でアレンジしてさまざまなお味噌汁を知ることができますよ。
同じ味噌汁は二度と作れない?
『お味噌知る。』を読んでいて気がついたのは、私が作るときはいつも「ながら」で作っていたなぁ〜ということでした。味噌汁を作るだけではなく、主菜を作る合間に、家事の合間にチャチャっと作っていたのです。そりゃ、毎日味変わっちゃいますよね。
厳密に言えば、二度と同じ味噌汁は、作れません。
味噌汁のおいしさは人間が作るものではなくて、生まれてくるものです。
味噌汁を作ることは、お料理することです。繰り返します。一汁一菜は手抜き料理ではありません。日本の食文化……自然と人間がうまくやっていくための知恵……にあるお料理の始まりです。
(『お味噌知る。』より引用)
そう、お味噌汁だって立派なお料理! 旦那さんが作るお味噌汁の工程は、振り返ってみればちゃんとお味噌汁を作るだけに集中していました。「同時進行でやった方が時短になるのに……」と横で思っていましたが(笑)、それが一番おいしく作る秘訣だったのかもしれません。
時短を否定しているわけではありませんよ! 私たち夫婦も共働きで、少しでも早くご飯を作ることが最優先になっている毎日です。けれど、週のうち1日だけでもいいから、納得のいくお味噌汁を作ってみたいなぁと感じました。二度と同じ味が作れない味噌汁だからこそ「今日らしい」味噌汁を作れるといいのかもしれません。毎日の料理に悩んでいる方も「これでいいんだ!」と思えるはず。明日からのお味噌汁作りが楽しくなるヒントが満載ですよ!
【書籍情報】
お味噌知る。
著者:土井善晴、土井 光
発行:世界文化社
『一汁一菜でよいという提案』から5年。毎日、毎食の食卓で、必ずお味噌汁を楽しむ土井善晴さん・光さん父娘に、暮らしを楽しむお味噌汁のレシピを教わりました。本書は、一人暮らしを支える自立の味噌汁、家族の味噌汁、組み合わせる味噌汁、季節の味噌汁、スペシャルな味噌汁&味噌料理の5章構成。また優れた発酵食品・お味噌を知るコラムも掲載。本書は土井先生の長女で長期のフランス生活を終えて帰国した料理研究家の光さんとの初共著。二世代の料理研究家が発信する「日本が誇る、お味噌という食の宝」の世界に触れてください。