本・書籍
2023/1/5 21:30

ディグる楽しさが満載! 開いたページから聴くだけでも楽しい『日本語ラップ名盤100』

私が高校生のころから20代半ばまでどハマりしていた「日本語ラップ」。ちょうどRIP SLYMEが『FIVE』というアルバムをリリースした2001年のことです。ラップ自体がそんなにメジャーではなかったころに「なんじゃこりゃ!」と衝撃を受けて、日本語ラップを聴き漁り、雑誌を読み漁り、ハマっておりました。

 

それから20年近く経ち、スマホと電波があれば好きな音楽が聴けるようになりました。30代になってから、音楽そのものを聴く機会が減ってしまい、ライブに行く機会もどんどん減少……。そんな時、手に取ったのが『日本語ラップ名盤100』(韻踏み夫・著/イースト・プレス・刊)。懐かしい気持ちと共に、私が音楽から離れていた間、日本語ラップはこんなに進化していたのか! と感慨深い気持ちになったのでした。

日本語ラップって何?

「日本語ラップ」と聞いてどんな音楽が思い浮かぶでしょうか? アラフォー世代なら、ポンキッキーズのBOSEくんが所属していたスチャダラパーとか、「DA.YO.NE」あたりを思い浮かべるかもしれません。20代なら結婚発表でも話題のR-指定さんが所属するCreepy NutsやMCバトルでしょうか? 日本語ラップと聞くと最近の音楽のように感じるかもしれませんが、日本では35年近く前から発売されていた音楽なんです。

 

アメリカのヒップホップについての歴史書ならば、すでに多くの優れた本が出版されている。しかしながら、日本のヒップホップ、すなわち「日本語ラップ」についての言葉はいまだにまったく足りていないというのが現状である。そこで、日本語ラップとはなにかを知りたい新しいリスナーたちのために、入門書として書かれたのが本書だ。

(『日本語ラップ名盤100』より引用)

 

『日本語ラップ名盤100』では、1987〜1999年、2000〜2004年、2005〜2009年、2010年以降と4つのブロックにわかれて、日本語ラップの名盤が100枚紹介されています。さらに関連するアルバムが各2枚ずつ紹介されているので、1冊で300枚もの日本語ラップの楽曲を知ることができます。

 

「日本語ラップってイマイチよくわかっていないんだよな〜」という人は、これを読めばOK! もちろん、昔は聴いていたという人、最近聴き始めたなんて人にもぴったりな内容になっています。

 

個人的に一番アツかった2000〜2004年

個人的におすすめな『日本語ラップ名盤100』の使い方は2つあります。

 

1つは自分の知っている楽曲のレビューを読み、懐かしく感じながら聴き直すこと。もう1つは知らない楽曲をサブスクやレコード店で探して聴いてみること。いずれも、韻踏み夫さんの解説文と一緒に楽曲を楽しむのがおすすめです。

 

300枚紹介されているとはいえ、日本語ラップすべてのアルバムが掲載されているわけではありません。この300枚をきっかけに、日本語ラップの世界にどっぷりハマっていきましょう。

 

ちなみに、個人的に一番アツい時代は2000〜2004年なのですが、この年代でめっちゃ聴いたアルバムも紹介させてください!

 

今や国民的アーティストとして人気のAIさんですが、実はゴリゴリのヒップホップシンガーとしてデビューしていました。当時、日本のDefJamレコードから登場したAIさんは上下adidasのジャージに身を包み、日本版のミッシー・エリオットじゃん! なんて大興奮(笑)。ラップよりもR&Bに近い楽曲が多いですが、DABOやZEEBRAの弟ことSPHERE of INFLUENCEともコラボしている『ORIGINAL A.I.』(2003年)は、めっちゃ聴いていました。いきなり、日本語ラップだけ聴くのは……と敷居が高いと感じているのなら、知っているアーティストの昔のアルバムからさかのぼってみると、新たな魅力に気づけるかもしれませんよ!

 

100枚目に紹介されているAwich

この本は、2022年9月に発売されているため、本が出版される直前までのレビューが掲載されています。ラスト100枚目に紹介されているのが、Awichでした。

 

沖縄出身の彼女は、留学のためアトランタへわたり、その地で結婚する。夫は、ファイブ・パーセンターズ(ヒップヒップにもその教義が大きな影響を与えている団体)に属していたストリートの人間だったそうだが、殺害されてしまう。そののち娘とともに日本に帰国。Chaki ZuluやJNKMNらが所属する、YENTOWNに入った。

(『日本語ラップ名盤100』より引用)

 

そんなAwichですが、2022年には初となる日本武道館でのライブも成功させ、2023年も大注目なラッパーのひとり。まだ楽曲を聴いたことがない人は、ぜひ『日本語ラップ名盤100』と共にチェックしてみてくださいね!

 

今後、101枚目となる名盤はどんなアーティストが作っていくのか、未来が楽しみになりますよね。私も知らない名盤を聴き直しつつ、高校生のころの情熱を思い出して、また日本語ラップをいっぱい聴いてみよう! そんな気持ちになることができました。「何聴こうかな〜」と音楽に迷っている人にもおすすめの一冊ですよ。

 

【書籍情報】

日本語ラップ名盤100

著者:韻踏み夫
発行:イースト・プレス

気鋭の批評家が未来のヘッズに向け、日本語ラップの名盤100枚(+関連盤200枚)をレビュー。

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