本・書籍
2023/4/6 21:30

心はマッサージできないからジェーン・スーの『おつかれ、今日の私。』で心をほぐして、自分をちゃんと労わろう

身体のコリや疲れは、マッサージで揉みほぐすことができますが、心ってマッサージのように揉みほぐせませんよね。もちろん、マッサージやお風呂につかって「気持ちよかった〜」と心まで軽くなることもありますが、ふとした瞬間に嫌なことを思い出してしまって「ふぅ……」とため息。

 

そんな毎日がんばっているあなたにお届けしたいのが、『おつかれ、今日の私。』(ジェーン・スー・著/マガジンハウス・刊)です。帯には“自分を慈しむ セルフケア・エッセイ48篇”と書かれてあるのですが、まさにその通りな一冊でした。

 

頑張り過ぎていることに気づいている?

著者は、ラジオや雑誌、ウェブコラムでも大人気のジェーン・スーさん。私も大好きで、お昼はTBSラジオでスーさんの声に励まされ、もう何も考えたくない夜には、スーさんのPodcastを聴きながら風呂に浸かって大声で笑うと「いゃ〜今日もよく頑張ったな」と1日を終えることができます。

 

今回ご紹介する『おつかれ、今日の私。』には、48のコラムが掲載されています。タイトルを並べるだけでも「はっ」とする人は多いかも。例えば、「最近、なんにも報われない」「辻褄が合わなすぎる」「弱った自分からの脱却イニシエーション」などなど、毎日を頑張って生きる人間ならピンとくるものばかり。その中でも個人的に一番刺さったのは、「上手に休むのも能力だ」でした。

 

疲労はキャパオーバーの証しだ。もう休んでくれと、体が悲鳴を上げている。やりたくないことを続けて、心が過呼吸になっているのだ。やってほしいことをやってくれない人が視界に入るから、気持ちが削られてしまうのだ。私たちの頑張りパワーは有限で、できることにも限りがある。もちろんキャパを広げていくことは可能だが、急には無理。

(『おつかれ、今日の私。』より引用)

 

この一文を読んで、刺さった人は頑張り過ぎな証拠です(笑)。『おつかれ、今日の私。』は、「あ、私疲れていたんだ」とか「私って、毎日頑張っているよね」と認めさせてくれる一冊でもあります。もし、自分の疲れに気づけたら、それは大きな一歩! 身体と心をしっかり休ませましょう。きっと、本の中のスーさんが味方してくれますよ!

 

「なんのために生きてるの?」と思ったら……

もうひとつ私が大好きなコラムを紹介します。それは「つまんないのだ飽きているのだ、自分と日常に」です。もうタイトルに、やられちゃいましたね。私自身、基本的には毎日楽しいと思って生きているんですけど、ある時から急に「あれ? 私ってなんのために生きているのかわからなくなっちゃった」と思った瞬間があったんです。そこから、なんだかいろんなことが白黒に見えてしまって……。そんな時に読んだもんだから、電車の中で涙を浮かべながら読んでしまったコラムです(おつかれ、自分!)。

 

つい先日、すごいことに気づいてしまった。これは世紀の大発見かもしれない。みなさん心の準備はいいですか? それではいきますよ……。

「なんのために生きているか?」なんてことを考えるときは、自分の存在価値がわからなくなっているときに加えて……「つまらないとき」です!

(『おつかれ、今日の私。』より引用)

 

「私って、つまらなかったんだ」って妙に腑に落ちたんです。仕事もある、家族とも仲良し、友人もいる、なのになんだかモヤモヤする。スーさんはこのコラムのなかで「うぬぼれに近い期待が、自分の中にあるのだと思う」とも書いていました。自分の裁量で仕事や暮らしができるようになるアラフォー前後は、きっとこんな悩みを抱える人も多いはず。つまらないなら、楽しくするしかない! 新しいことを始めたり、行ったことのない場所に行ってみたり、自分のために、自分が楽しくなることをもっとやろうと誓ったのでした(笑)。

 

「おつかれさま」のパワー

『おつかれ、今日の私。』は、株式会社中村で連載されていたウェブコラムを再編集した一冊。順番に読んだり、気になるタイトルから読んだり、夜寝る前に1コラムずつ読んだり、好きに楽しむことができる本になっています。

 

個人的にすごく救われたと感じたのは、48篇あるコラムの最後の一言。隣に座っているスーさんに「今日もよく頑張ったね」と背中をポンッとしてもらえるような、そんな締めの言葉で終わっているのがとにかく最高でした。

 

中には「おつかれさま」で締められているものもあって、本の中の文字なのに、とっても嬉しく感じたんですよね。心のこもった「おつかれさま」ってこんなに響くものなのかと驚きました。リモートで仕事することも当たり前になり、コミュニケーションはどんどん手軽になっているけれど、お世話になった人にはちゃんと「おつかれさま」と、心を込めて伝えたいなと思いました。

 

頑張り過ぎと自覚できた人は、まず自分を労るために『おつかれ、今日の私。』を読みましょう(笑)。心に少し余裕ができたら、誰かに心を込めた「おつかれさま」を伝えられる人になれれば、もう少し世の中は優しくなれるのかも? そんなことを感じさせてくれる一冊でした。

 

【書籍紹介】

おつかれ、今日の私。

著者:ジェーン・スー
発行:マガジンハウス

誰にでもねぎらわれたい夜がある。自分を慈しむセルフケア・エッセイ48篇。

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