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お金
2023/5/27 21:00

ハーバード大卒芸人・パックンが教える「お金を育てる」3つの方法とは?

芸人さんには、ファイナンシャル・リテラシーが高い人が多いように感じる。ひょっとしたら、お笑い脳と投資脳の間には謎のリンクが存在するのかもしれない。

 

Don’t Feel, Think!

中でも突出した存在が、ハーバード大卒でお笑い芸人、そして東京工業大学で教鞭も執っていらっしゃる「パックン」ことパトリック・ハーランさんではないだろうか。この原稿では、朝の経済ニュース番組でも顔を見ることが多い投資家としてのハーランさんの著書『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』(パトリック・ハーラン・著/朝日新聞出版・刊)を紹介したい。まず、幸福をつかむための「お金の育て方」の基本となる3つのテーマを紹介しておく。

 

1 徹底的に節約する
2 一生懸命働く
3 投資でお金を増やす

 

そしてこの3つのテーマを下支えするのが、『燃えよドラゴン』のブルース・リーの名台詞をもじった「Don’t Feel, Think!」(感じるな、考えろ)というモットーだ。

 

僕が見つけた「お金の育て方」は、何も特別なことではありません。誰だって真似できるし、誰だって悩みから解放されるはず。

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用

 

誰だって真似できる金の育て方。かなり心を惹かれませんか?

 

 

お金からの解放と将来の不安の解消

この本の着地点は、まえがきで明確に記されている。

 

「節約」から「投資」へと、経済的自由に向かう旅にぜひ出発してみてください! お金に縛られてしまう(文字どおり「金縛り」)の状態からの解放感、将来の不安の解消など、この旅の目的地では、今より余裕のある気持ちと生活が待っていると、僕は確信しています。

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用


月末が来るたびに、収支のバランスとやりくりを考えなればならないことがある。こうした時間をより創造的な行いに使うことができるなら、人生が内側からも外側からも潤っていくことは、筆者も経験則的に知っている。

 

余裕のある気持ちと生活へのロードマップ

章立てを見てみよう。

 

第1章 自由に生きるためにお金を正しく知ろう
第2章 お金を守るために節約金を鍛えよう
第3章 収入を増やすためにお金にも働いてもらう
第4章 手堅く無理なく増やすパックン式投資法

 

結局投資の本なのか。そう思う人もいるだろう。しかし、ちょっと考えてみていただきたい。今の世の中、銀行貯金という言葉は単にお金の置き場というニュアンスでしかなくなった。置いておくだけではなく、増やす方法を考えていくほうが理に適っていることは言うまでもない。お金を正しく知った上で無駄な支出の量を減らし、収入を増やす努力をして、生み出した余裕の部分を手堅い方法で増やしていく。このプロセスが「お金に縛られてしまう状態からの解放感、将来の不安の解消」へのロードマップとなる。

 

自由に生きるためにお金を足かせにしない

この本は、全4章に分けて70以上の項目が綴られている。中でもインパクトを感じたものをいくつか紹介しておきたい。

良い節約というのは、無駄な支出を減らすことです。そもそも無駄なのだから、どんどんなくしたほうがいい。

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用

 

節約というのは、何事にもケチケチしろというのではない。この言葉、至ってシンプルですぐにでも実行できそうなのだが、常に完全な形で遂行できるかと訊ねられたら、ちょっと難しい気がする。だからこそ、あえて紹介しておきたい。

 

さて、ハーランさんが投資を行って資産を増やす理由は何か。

 

行きたいところに行ける。会いたい人たちにある。やりたい仕事ができる…。そういう拘束されない、自由な人生を生きるために、お金を増やしたいと思っています。

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用

 

これは絶妙な言い方だ。お金はあればあるだけいいのだろうけれど、とにかく大切なのは、好きなことをする上でお金というファクターを足かせにしない姿勢だ。

 

お金が持つネガティブな資質から解放される

ハーランさんが日本に来て驚いたのは、ジャッキー・チェンが日本人ではなかったことと、日本人の投資に対する姿勢だった。

 

そして、その後でもっと驚いたのは、「投資はギャンブルだ」という考え方でした。みんなも、この主張を聞いたことがあると思いますが、完全に誤解です。僕は、投資が大好きです。けれども、ギャンブルは大嫌い。

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用

 

この文章を最後に紹介した理由は、われわれ日本人が抱きがちなステレオタイプ的妄信をもう一度認識しておくことが大切だと考えたからだ。ここまで紹介してきた引用文は基本的なアイデアに関するものばかりになってしまったが、「超リアルなアメリカの金融教育」「無駄な税金は納めないで」「僕がFIREを目指さない理由」「つみたてNISAとiDeCoのどっちを選ぶ?」といった現実的な項目も見逃せない。

 

この本を媒体にしてハーランさんが発するメッセージのエッセンスは、あとがきに記された次の一文に集約されている。

 

お金に悩まないで、お金に振り回されないで、ほとんどお金を気にしないで、幸せな暮らしができる。それができれば十分じゃない?

『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』より引用

 

そうなんです。それができれば、もう十分なんです。

 

【書籍紹介】

無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方

著者:パトリック・ハーラン
発行:朝日新聞出版

ハーバード大卒の人気お笑い芸人・パックンが金融教育の要点をわかりやすく解説。「投資で社会の一員になる」などの投資マインドから、「老後計算機」「5・3・2の法則」などのお金の基礎知識まで、ぎゅっと凝縮したマネー本の決定版!

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