新型コロナウイルス感染拡大の影響から、外出自粛、外食自粛が続き、飲食店などで経営の悪化が続いています。そんな中で、政府や自治体などから様々な支援策が打ち出されていますが、いったいどれくらいの助成が受けられるのでしょうか。
「言われているほどもらえない」
「そんなに言われているほどもらえないですよ」
そういうのは、東京都内で居酒屋を経営する夫婦です。平日は地元客が、休日になると観光客も多くなる立地から、好調な経営を続けてきましたが、様子が一変したのは2月後半からでした。
2月上旬には、海外の新型コロナウイルス流行の話などを聞き、アルコール消毒や丸箸を使い捨ての割り箸に替えるなど、対策を打ってきました。しかし、事態は急転直下、深刻化。3月末に入ると近隣の医院でも感染者が確認されたことから、「食べ物を出している以上、万が一を考えて」と4月からの休業を早々と決定しました。
「うちのような小さな店でも、家賃支払いはもちろん、空調装置や冷蔵庫などのリース支払いも毎月ある。じっとしていても、お金は出ていきます。でも、そんなに簡単に融資や補助金をもらえるわけではないですね」
融資は実行されるまでに1か月
この経営者夫婦は、休業を決めると同時に、長期化することも視野に入れ、取引銀行の担当者と相談し、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付と台東区の新型コロナウイルス感染症対策特別資金による無利子融資を申し込みました。
「4月に入ってすぐに申し込んだのですが、すでに審査申し込みが殺到しているということで、結局1か月近くかかり、4月末に受諾の連絡があり、振り込みは5月の連休開けになりました」
日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付は、保証料も利子もない国民生活事業型では上限6000万円、中小企業事業型だと上限3億円です。信用保証料と利子の一部が補助される台東区新型コロナウイルス感染症対策特別資金は上限500万円です。もちろん、上限いっぱい誰でも借りれる訳でもなく、審査があり、融資額が決まります。「うちも実はもう少し借りようかと思っていたのですが、200万円ずつになりました」
しかし、これらは融資であって、あくまで借金です。やはり都内で飲食店を経営する60歳代の男性は、「無保証料、無利子といっても、当初3年とか5年とかの期限があるし、結局は借金を増やすことになるので、抵抗がある」と話します。
コロナ対策で様々な補助制度が充実してはいるが…
コロナ対策で様々な補助制度が充実してきていると言われますが、助成金や補助金は申請が集中しており、審査がパンク状態です。
政府の持続化給付金は、個人事業主には最大100万円、中小企業には最大200万円が給付されます。さらに、必要な書類も少なく、ネットで簡単に申請できるということで、すでに5月第一週で70万件を超す申請が寄せられています。申請から審査、入金までには、約2週間程度という説明がされていますが、申請の急増によって期間は長期化しています。また、申請のホームページの審査状況の表示が判りにくく、「初日に申し込んだが、5月20日の支払い締日に間に合うのかどうなのか。件数が多くて対応しきれないのは判るが、状況が判るようにくらいしてほしい」と大阪市内の飲食店の経営者は言います。
ほかにも飲食店に一時的な酒販免許を付与する特例措置も実施されています。また、デリバリーやテイクアウトに取り組む経営者に対しての東京都の業態転換支援事業助成金や、政府による宅配や通販に乗り出す経営者に対しての小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金なども拡充されています。さらに都道府県や市町村などでも独自の補助金制度を新設するところもあります。