ビジネス
2020/9/23 18:00

これからの「働き方」で大事なことーーニューバランス×富士通クライアントコンピューティングの異業種対談から見えた本質

GetNavi/GetNavi webは今秋、「新しい時代の働き方改革」をテーマにした雑誌とウェブの連動特集を展開します。もともと「働き方改革」は2019年4月、働き方改革関連法案の一部が施行され、今日までよく耳にするようになった用語。とはいえ、この時点では自分とはあまり関係のない話題だと思っていた人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、それが一変。都市部を中心に在宅勤務やリモートワークが定着し、自宅で過ごす時間が増え、日常生活やビジネスタイムのあり方が大きく変わりました。今後、合理的で優しい「働き方」を実践し、さらに新しい「働き方」に応じたプロダクトを積極的に取り込み、成果を出していかなければなりません。

 

特集では、GetNavi/GetNavi webの考え方に共鳴してくれた4社が参画。本記事では、このうちの2社であるニューバランスジャパン・前川貴宏さんと、富士通クライアントコンピューテング・濱口秀嗣さんの異業種対談をお届けします。スポーツメーカーとパソコンメーカー、あまり接点がなさそうな2社ですが、実は先進的な働き方を実現するプロダクトを新型コロナウイルス感染拡大前より展開。お互いの企業DNA、実践術、プロダクトについて語ってもらいました。新しい時代の働き方とは何か? 示唆にあふれる対談をお届けします。

↑左:富士通クライアントコンピューティング・コンシューマ事業本部の濱口秀嗣さん。右:ニューバランスジャパン・営業本部の前川貴宏さん

 

「出勤しない」が普通になった時代

ーーまず、ニューバランスと富士通クライアントコンピューティング、各社の「働き方」事情を教えてください。

 

前川貴宏さん(以下、前川) 基本的には在宅勤務がメインです。一週間のうち出社日は月曜日と木曜日だけ。残りの火・水・金曜日は基本的には「オフィスクローズ」というルールです。それと、勤務時間帯はフルフレックス。ある意味では「オン・オフ」のないシームレスな状態で働いています。私は今の時期は2020年秋冬商戦や来シーズンの仕込みや展示会も行っており、撮影の立ち合いなど外に出ることも多いですね。ですので、最近は在宅、もしくは外仕事が多いです。

 

濱口秀嗣さん(以下、濱口) 我々、富士通クライアントコンピューティングでも、基本は在宅でのリモートワークが推奨されています。ただ、エンジニアは開発センターや研究室などに出勤しています。営業チームや私が所属するプロモーション部門が会社に出勤するのは、週に1回行くかいかないかくらい。就業時間は基本9時30分から18時15分までですが、ニューバランスさんと同じくフレックスが導入されています。以前はコアタイムの規則もあったのですが、今は撤廃されました。

 

また、「働き方改革」でいうと、今まで電車通勤しか認めてもらえなかったのが、自転車やバイク通勤が可能になりました。特に開発センターに通うエンジニアたちは、緊急事態宣言中は、開発センター近くのホテルからの通勤も認められていました。会社はそのような柔軟なルール緩和を、かなり早い段階から打ち出してくれています。

 

前川 それはすごくいいですね。弊社は本社が東京都・神保町にあるのですが、商品を発送するセンター、ロジティクスは千葉県・柏市にあります。商品発送は現場での業務があるため、発送センターの従業員は出社しないといけないんですね。もちろん、ソーシャル・ディスタンスを保ちながら作業はしていますが、そういった点は、今後我々の課題かなと思いましたね。

 

濱口 弊社がいち早くリモートワークを導入できたのは、パソコンを作っているメーカー、ということも大きな理由だったと思います。後で紹介させていただく「世界最軽量のパソコン」シリーズを全社員のうち60%くらいの人間が使っており、フレキシブルな「働き方」に対して、比較的簡単にシフトできたところがあります。エンジニアは業務の特性上、デスクトップパソコンがどうしても必要な場合もありますが、特に営業はこの軽いパソコンを持ってどこへでも行っていました。そのフットワークの軽さは弊社の強みではないかと思います。

↑「柔軟でフレキシブルな『働き方』の改善がFCCLの強み」と濱口さん

 

新しい「働き方」に不可欠なコミュニケーション力&タイムマネジメント力

前川 これだけ進んだリモートワークですが、オンラインミーティングが一般的になる一方、参加者同士のコミュニケーションの取り方は課題がまだまだあると思っています。今はこうしてフェイス・トゥ・フェイスで濱口さんと話をさせていただいています。こうやって気持ち良く話をさせていただけているのは、やはり話を始める前のアイスブレイクのような雑談があったり、空気を感じているからだと思うんですよ。しかし、オンラインだと、アイスブレイクや雑談の余白がない。

 

例えば10時~11時までオンラインミーティングの予定が入っていたとしても、「移動時間がないんだから次も」ということで、続けて「11時~12時」「12時~13時」といった形でオンラインでのスケジュールが入ってくる。こうなると「あれ? 息抜きをする時間って、どこにあるんだろう」と思いますよね。また、オンラインは視覚と聴覚だけでのコミュニケーションなので、ちょっとした空気感を感じるのが大変です。

 

リモートによって効率化が図れたことは確かですけど、実は「息抜き」のような余白の時間に、仕事のアイデアが浮かんだり、考える時間もあったのではないかと思います。そこは今後の課題。例えば、我々のチームではメールで用件を相手に伝えるだけではなく、メールした後に一本電話を入れるとか、そういったコミュニケーションをとても大切にしています。

 

濱口 おっしゃる通りですね。弊社では全員Outlookでスケジュール管理がされています。例えばオンラインミーティングなども、1分も開けずにスケジュールを埋められてしまうことがあります。これは結構怖い問題だなと思っています。また、前川さんも言っていましたけど、オンラインでのコミュニケーションの取り方は、今後一つのスキルとして必要になってくると思います。オンラインミーティングで、誰かが喋っている間は、他の人が喋れませんよね。そういうとき、どのタイミングで発言者の話に相槌を打つべきか、その後に話すのはAさんなのか、Bさんなのか……それを感じ取るスキルはこれから重要になってくると思います。

 

前川 せっかく良いアイデアを持っていたのに、オンラインのせいで、発言できなかった……なんていう事例もありますしね。

 

濱口 コロナ禍で気づいたことは、「フリーの時間」は非常に大事なんだなということです。例えばリモートワークによって、通勤時間はなくなりました。私の場合は片道1時間かけて会社に通っていたのですが、その間、本を読んだり、プライベートのことを考えたりしていました。その時間に仕事に繋がる情報を得ていたこともあるのですが、リモートワーク以降、自分が持っている情報が徐々に少なくなっている実感があります。だから、今後の「働き方改革」では、先ほどのオンラインのコミュニケーションのスキルに加えて、時間をコントロールするスキルも必要になるだろうと思っています。

 

前川 その通りですね。働く人個々によって異なる「時間のコントロール」について、会社としてなのか、同じマインドを持つ企業同士なのか、それとも国なのかがきちんと提案しないと、乗り切れない人たちが一層ストレスを抱えてしまうこともありそうな気がします。

↑オンラインミーティングでの「余白のなさ」に対応するために「コミュニケーションスキルが重要になってくるはず」と前川さん

 

「新しい働き方」にコミットするデバイスとウェアのあり方

ーー「新しい働き方」に対し、それぞれのメーカーのプロダクトがどうコミットするかをお聞かせください。

 

濱口 働き方はもちろん生活基盤がオンライン中心になると、必須なのはパソコンと諸々のツール類ですよね。その中でも弊社の「LIFEBOOK UH-X」はノートパソコンで世界最軽量の約698gで、13.3型ワイド液晶を搭載しています。

↑LIFEBOOK UH-Xは世界最軽量(2020年6月1日富士通クライアントコンピューティング調べ)。さらには、ディスプレイが360度まわる2 in 1コンバーチブルのモバイルノートPC

 

前川 持たせてもらうと、完全にモックのような印象ですね(笑)。

 

濱口 感覚的にはそう感じられると思います。この「世界最軽量」というのは、弊社がここ何年かずっと保持しているのですが、ただ軽くすることだけではなく、使い勝手にももちろんこだわりがあります。例えば、モバイルパソコンで削除されがちな有線LANポートは、そのまま生かしています。ビジネスで使う方にとってのネット環境の安定性は非常に重要ですから、ここはあえて残しています。また、パソコンそのものの堅牢性にもこだわっていて、これからの「働き方改革」によるフットワークの軽いビジネスの場できちんと使っていただけるよう考えています。また、もうひとつの商品が電子ペーパーの「クアデルノ」というものです。

↑10万冊分のノートと同じデータ容量が保存できる電子ペーパー「クアデルノ」(※ノート1冊を140ページと換算した場合)

 

濱口 この商品、「手帳の代わりに使っていただける」と言っています。皆さんがお持ちの手帳は、400~500gくらいの重さが平均じゃないかと思います。私自身も以前使っていた分厚い手帳の重さを測ったら600gありました。このクアデルノはA5サイズで251g。10万冊分くらいのノートと同じデータが保存できるので、すごくおすすめです。先ほど紹介したUH-Xのような軽量のパソコンに加え、クアデルノも一緒に使っていただければ、皆さんにとっての「働き方」はより改革されるんじゃないかと自負しています。

↑クアデルノを実際に持って語り合う濱口さん前川さん

 

前川 ニューバランスの話をすると、ブランド自体は1906年からあります。その発祥から現在に至るまで常に追求し続ける点は「フィット」です。もともと矯正靴から始まってランニングシューズに至ったのですが、どの場面でも大事なことはやはり「フィット」です。この「フィット」に加えて、ランニング商品で例えると「ギアとしてより快適に走れるようになる」「自分が求めている1秒の差を縮められる」ということを考えながら、お客様のニーズに寄り添った商品開発が軸となっています。

 

これはシューズだけでなく、アパレルも同じなのですが、特に「働き方改革」にコミットするという点で紹介したいのが「THE CITY」コレクションというものです。コンセプトは「スポーツとライフスタイルの融合」。伸縮性・撥水性にも優れた素材を採用した、ジャージ感覚で着られるジャケットとパンツを展開しています。

↑スポーツデポ・アルペンでの独占販売となる「THE CITY」コレクション。オンとオフの境界線をシームレスに繋いでくれます

 

前川 先ほどオンラインミーティングの話がありましたが、あのモニター画面という限られた空間の中であるからこそ、身だしなみがすごく重要だと思うんです。だらしない格好で良いアイデアを提案しても耳を傾けてもらえないかもしれないし、逆にリモートワークでスーツをピシッと着るというのも窮屈です。この点でもTHE CITYコレクションはジャケットスタイルでありながら、先ほどお伝えしたようにジャージ素材で過ごしやすく快適。自分自身の「オン」のスイッチも入れられる点でも、今のリモートワーク時代におすすめしたい商品です。

 

濱口 今日、私も着させていただいていますけど、本当に着心地が良いんですね。着る前、サイトの紹介を見たのですが、「ビジネス、カジュアル、プライベートで使える。ゴルフも大丈夫」ということが書いてあって「いやいやさすがにゴルフはないんじゃないか」と思っていましたけど、実際に着てみると、本当にこのジャケットスタイルで運動できてしまうと感じました。「働き方改革」でまず物理的に必要になるのはパソコンだと思っていますけど、こういった身の回りを取り巻くものもすごく大事だなと思いました。

↑今回の対談で前川さんがインナーに着用していた、THE CITYコレクション秋冬モデルの「ロングスリーブT」

 

新しい「働き方」の先にあるものと、大切にすべきこと

ーー今後さらに進んでいくであろう「働き方改革」ですが、様々な制限がある中で、できるだけ理想的な「働き方」を見出していかなくてはいけないと思います。そんな中で、お2人が考える「オン・オフ」の理想的なあり方と、それに対し、企業としてどう取り組んでいくべきかをお聞かせください。

 

前川 5年後、10年後の「働き方」がどうなっていくのかは分からないですが、特に日本では働く人個々に違うパーソナルスペースが重要視されていくと思っています。パソコンに向き合いながらも、自分の時間をコントロールしながらでないとできない働き方。冒頭の話にも戻りますけど、その上で必要になってくるのはやはりコミュニケーションだと思います。

 

先ほど話したTHE CITYの良さも実際は触れてもらわないと完全には分かっていただけない。でも、オンライン上でできる限り伝えないといけない。そうなると、新しいコミュニケーションの方法を工夫する必要がありますね。また、今はマラソン大会も中止が続いていますが、ランニングの提案方法も新たに考えていく必要があると思っています。今は、ランナーの気持ちに寄り添い、新しいランニングの楽しみ方を提案できるようオンラインランニングイベントを10月に開催したり、自身のパーソナルスペースでトレーニングを学べるオンライントレーニングコンテンツを配信しています。

 

濱口 新型コロナウイルスの影響で始まったオンラインミーティングですが、最初はすごく驚きました。「え? 会社に行かなくていいの?」というような感じで(笑)。しかし、それがたった数か月でどの企業でも取り入れられ、今では普通になっています。この流れからすると、1か月先どうなっているかも分からないし、ましてや5年後、10年後の「働き方」も全く想像できません。

 

だから、何が理想的な「働き方」かは分からないですが、今後パソコンと人との関わり方はますます変わっていくと思います。

↑「オン・オフの境目が曖昧になっている」点も、今後の「働き方改革」の重要課題。こちらは濱口さんがオンラインミーティング中に、お子さんがその脇で書いたというパパへのメモ書き

 

ニューバランス、富士通クライアントコンピューティングという全く異なる業種のメーカーの2人でしたが、「新しい働き方」と、それに対する商品開発にかける思いはかなり共通する点が多かったように思いました。今後も企業間、業種間の垣根を越えた今回のような意見交換をし、「働き方改革」を様々な側面から検証、紹介していきます。

 

対談まとめ/松田義人 撮影/中田 悟

 

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