東急沿線エリアを中心に、お洒落な内外観の店舗で鮮度抜群の海鮮を販売する魚屋「サカナバッカ」。斬新な取り組みは水産業界を中心に大きく注目されており、運営元の企業「フーディソン」は時代の寵児としてTVや新聞などで頻繁に紹介されています。そんな同社がまた新たな動きをちらほらと見せているとか。今回はそのなかから、2つのトピックスに着目してレポートしていきたいと思います!
丸魚専門店「おかしらや」は安くてウマくて魚が好きになる!
まずは、2月16日にオープンした「おかしらや 旗の台店」。新業態である同店では、加工をせずに丸魚の状態で販売しています。設備と人件費を削減し、そのぶんを価格に反映させて激安で売ろうというスタンスです。
もともとフーディソンはサカナバッカの運営のほかに、プロ専用のシステム「魚ポチ」で7000店舗以上の飲食店に魚介類を卸して提供。独自ルートかつ大量に仕入れているため、抜群の鮮度とリーズナブルな価格を実現できるのです。
そんな同店ですが、立ち上げの背景や狙い、状況、今後の展望などを聞いてみました。根底には、サカナバッカに共通する「漁師さんがもっと儲かる仕組みづくり」や、「日本の水産業を盛り上げる」というコンセプトがあったのですが、おかしらやにはより具体的なメッセージがありました。
「大前提としてあるのは、丸魚をもっと身近に感じていただき、魚の楽しさを伝えたいということ。オープンしてから積極的にヒアリングなどをしているのですが、お客様の約3割の方はさばけないようなのです。でも、うちができたことによって安さやおいしさに興味を持っていただき、トライしてくださる方もいらっしゃる。ありがたいですし、やりがいを感じますね。設備投資が比較的簡単ですし、『これはイケる!』と確信しています。実際この好評を受けて、5月11日に既存の武蔵小山と戸越公園のサカナバッカをおかしらやに業態変更しますので一気に3店舗ですね。年内にはさらに数店舗をオープンさせたいと考えています」(日下部さん)
物は試しということで、早速筆者も魚を購入。自宅でさばいたり調理したりしました。何度かおろした経験はあるものの、日常的にやっていないのでそう上手くはいかず。ただ、挑戦を続ければすぐにモノになるという予感あり。近所におかしらやがあれば、頻繁に買ってさばくレベルを向上させたいです。
静岡中部の地方活性化のサポートで駿河の魚が身近になる!
続いては、フーディソンのもうひとつの新たな事業を紹介。それが地方創生への取り組みです。たとえば、2016年5月に静岡市、焼津市、吉田町、牧之原市、御前崎市の一次、二次、三次産業の関係者水産業者と行政で立ち上げた新ブランド「駿河BlueLine」に参画。アドバイザーとしてサポートしています。
内容は多岐に渡ります。駿河湾の水産品の販売にはじまり、消費者の声を反映させたメニュー開発や商品開発、観光開発のバックアップなどなど。これまでサカナバッカでPRイベント「駿河マルシェ」を開催したり、「魚ポチ」を利用している飲食店12店舗で駿河湾の水産品を使ったメニューを提供したり。さらには、そこでアンケート調査を実施して現場の声をピックアップしたりしてきました。
アンケートで判明したのは、「駿河湾そのものの認知度が低い」「駿河湾の水産物としては、まぐろ、桜えび、しらす、金目鯛、かつおを食べてみたいと思われている」など。そのフィードバックを生かして新たにメニューの助言をし、この春に首都圏の飲食店で開発メニューの提供とPR、アンケート回収の実施などを行いました。
静岡県中西部の行政の方も、これからより積極的に商品の販売展開をしたり観光ツアーなどを実施するとか。官民一体となった地方創生の取り組みは、さらに加速していくでしょう。水産業界にイノベーションを起こし続けるフーディソン。これからも、魚食と消費者との関係性を一層身近にしてくれることでしょう!