具体的過ぎる豆乳フレーバー。味種決定の裏側では……
――現在は終売になっていますが、過去には健康ラムネ、健康コーラ、ジンジャーエールといった豆乳もあったようですが。
荻生 これらも具体的ですし、健康的な豆乳と炭酸飲料とはだいぶ距離があるものですので、アンマッチで良いのではないかと思い発売に至りました。販売当初は反響をいただきましたが、現在はラインナップからはハズれてしまいました。
――失礼に聞こえたら申し訳ないのですが、このラインナップ群を見ると、正直笑いを狙っているのではないかと思ってしまうところもあります(笑)。
荻生 いや、おっしゃる通りです(笑)。クスっと笑ってもらったうえで、手に取っていただくことは想定しています。我々はこのことを「わくわく感」と呼んでいますが、その「わくわく感」で豆乳の市場が盛り上がっていけば良いですよね。ですので、当然「面白いものを」「笑っていただけるものを」とウケを狙っているところはあります。
もちろん、弊社の豆乳でしか飲めない味を追求したいという思いには変わりはありません。
――そういったフレーバーの採用・不採用はどのようにして決められるのですか?
荻生 会議で意見を出し合い、面白かったら市場調査をします。たとえば豆乳だけでなく、フレーバーとなる商品のマーケットがどうなっているか、ルーツは何なのかなど。
そこで最終的に豆乳に落とし込んだときに、「本当においしいものに作れるか」「おいしく飲んでいただけるか」というところで決定するようにしています。
近年の豆乳支持の高まりは、数多くあるフレーバーによるものではなかった!
――未来の豆乳に対し、考えていることはなんですか?
荻生 現在、豆乳のマーケットが伸びている一番の理由は、これまでにお話した味種というところとは別で、豆乳を料理に使ったり、コーヒーに混ぜて使ったりするお客さまが増えたことなんです。
有名な豆乳鍋は、いまから10年くらい前からご家庭でも食べられ始めたものですが、いまでは鍋の定番メニューの一つになりつつあります。こういったところに対応できるような商品もさらに開発していきたいと思っております。
――すでに豆乳仕立てのコーンスープ、豆腐のできる豆乳といった商品もありますね。
荻生 はい。鍋もそうですが、豆乳を使ってスープを作る方が増えています。それを受けて、もっと簡便にするためにあらかじめコーンスープにして販売している商品もあります。また、「キッコーマンの豆乳でお豆腐はできないんですか?」というお声を沢山いただいたことで販売するようになった豆腐のできる豆乳は、雑味のないスッキリした豆腐ができると好評をいただいています。
このように豆乳を楽しむシーンは近年、すごく広がってきていますので、我々としてはさらなる豆乳のご提案、新しい豆乳の使い方を今後も研究していきたいと思っています。
41種もの数があるキッコーマンの豆乳フレーバーの裏側には、このような隠された秘密、思いがありました。飲む際は意外なフレーバーなもののほうこそ、新しい発見があるかも? ぜひ様々な味の豆乳にトライしてみてください!
撮影/我妻慶一