グルメ
2018/7/17 20:00

【街中華の名店】100点満点のニラソバとチャーハンが二大巨頭!江戸川橋の行列店「新雅」

本連載は「街中華の名店」をうたうだけあり、行列店が登場することも多々ある。そのなかでも今回は、屈指の一軒を紹介したい。店の名は「新雅」(しんが)。確実に味で勝負している超実力派である。なにせ、場所はターミナルではない江戸川橋駅から徒歩数分の住宅街にあり、お世辞にも好立地とはいえないからだ。

 

 

しかしここにはビジネスパーソンや近隣住民を中心に、そのおいしさを求めて昼夜ともに来客が絶えない。まさに街の中華の名店といえる存在だが、本稿ではその魅力を明らかにしていこう。

 

 

悟りを得たような円熟のニラソバ

看板メニューは「ニラソバ」750円だ。もちろん同店にはスタンダードな「ラーメン」500円や「味噌ラーメン」700円をはじめ、麺類は10種以上と豊富。しかし「ニラソバ」が特に愛されている理由は、具とスープと麺が好バランスに調和し、他店にはない抜群の味わいとなっているからである。

↑「ニラソバ」750円。野菜はにらを中心に、もやしと少量のにんじんを採用

 

奇をてらっているわけではない。しかし調理工程をじっくり観察してみると、圧倒的なおいしさの秘密がわかった。まず、使う素材は至って普通だが、それぞれを調理する温度と熱する時間がパーフェクト。たとえば肉は硬くなりすぎない状態までしっかり炒め、素材が持つうまみを最大限に引き出す。

↑「ニラソバ」には脂身の多い豚バラ肉を使用。細かく切って炒めることで、天然のラードの役目を担わせている

 

そこに加える野菜も同様で、最良の食感と分量を見極めながらスープと麺とでひとつになるゴールを逆算。味付けも、ほどほどのベストチューニングに。仕込みの段階から一連の仕事が丁寧に行われ、それでいて動きに無駄がなく手早いのだ。

↑二代目の湯本浩司さん。「ニラソバ」は1束ぶんを使用と、かなり多い。野菜は天候などによって仕入れ価格が安定しないが、たとえ高騰時でも使用量は変えない

 

味の骨格となるスープは鶏と豚両方のガラをベースに、昆布とムロアジの茹で節を加えて輪郭を整えている。炒める際の隠し味に数種の調味料は使うものの、各素材から出るうまみを知り尽くしているからこそ、スープの味付けに選んでいるのは一般的な醤油。邪魔しないからこそ奥深く、飲み干したくなるうまさなのだ。

↑使っているのは、ゆるやかにウェーブがかかった細麺。初代の修業時代から60年近く愛用している「サッポロ製麺」製で、1玉は150g

 

すべてをひとつに合わせるタイミングもドンピシャだから、食感も素晴らしい。麺はプリプリで、野菜はシャキシャキ、肉は小気味よい弾力であくまでも脇役に徹する。これは言うなれば、悟りを得たような円熟の味。100点満点のニラソバがここにある。

↑「ニラソバ」は文京区が推奨する、野菜を120g以上使うメニューの対象。味だけではなく栄養バランスも優秀だ

 

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