そうめんでいま味わうべきは断然、手延べ式。そこには数百年にわたり受け継がれてきた伝統が詰まっています。そして、何はともあれうまい! ここではソーメン二郎さんが全国から厳選した至高の傑作を紹介。そうめんにこんなにも個性があったのかと驚くはずこと間違いなしです。
【解説する人】
そうめん研究家
ソーメン二郎さん
実家が三輪そうめん製麺所。著書に「簡単!極旨!そうめんレシピ」(扶桑社)があります。
手延べ式をたくさん食べてそうめん職人を応援しよう!
昨今のそうめんトレンドをけん引しているのですが、各地方で職人が作っている手延べ式です。量産型の機械式に比べてコシが強く、総じておいしいのはもちろん、風土や製法の違いで個性が生まれ、奥深いストーリーが隠されていることも人気の理由であります。
しかし注目される一方で、危機的状況も。手延べそうめんは高い技術を要する仕事。その職人の多くは高齢化を迎えているにもかかわらず、後継者が不足しているのです。そうめんは夏の風物詩として夏季に消費が偏り、ならしてみたときに、市場としてはかんばしくない職種。働き手が集まりにくいのです。後進がいなければ、数十年後にはなくなりかねない絶滅危惧種ともいえるでしょう。約1200年の歴史を持ち、皇室からも愛されてきた由緒正しい日本最古の麺。日本の食文化を知るうえでも欠かせないこの麺を、夏はもちろん一年中食べていただきたいです。
【その1】太くてもちもちした食感の少量生産で希少な特産品
【徳島県】【乾麺】【ゆで時間約6分】
白滝製麺所
半田手延べ麺
2050円(3束×5袋)〜
現在30軒ほどの製麺所でしか作られておらず、店頭にあまり出回らない希少種、半田そうめんのひとつ。半田地方で作られ、伸びにくくコシの強い太めの麺が特徴です。四国の霊峰・剣山のふもとの自然の中で作られています。
ゆでるとこんな感じ
【ソーメン二郎さんの解説】
洋風調理にも映える太いそうめん
モチモチとしたクセになる食感。ソースや具材が絡みやすく、パスタのような調理法も合います。有名な秘密結社を文字った「フリーソーメン」という団体を主宰し、そうめんを無料配布する活動を行っているのもポイントですね。
【その2】優美な色と上品な味で贈答用にもオススメ
【愛媛県】【乾麺】【ゆで時間約2分】
五色そうめん森川
手延べ五色そうめん
色束別(50g×5束)
497円
艶やかな色彩が美しく、贈答用に喜ばれることうけあい。抹茶や梅肉を練り込む手延べそうめんは特に作るのが難しいといわれ、職人技が光る逸品でもります。見た目だけではなく味も上品で、しっかりとしたコシも堪能できます。
ゆでるとこんな感じ
【ソーメン二郎さんの解説】
かわいい麺で食べ比べに挑戦
パッケージだけ見てもかわいらしいですよね。外国人のお土産ウケもいいそうです。そば、卵、梅、プレーン、抹茶の5種類が入っていて、食べ比べも楽しいですよ。その際は、薬味を使わずに塩やつゆのみで味わうのがオススメです。
【その3】小麦のうまみを味わえる光沢感が美しいノンオイル麺
【奈良県】【半生麺】【ゆで時間約4分】
三輪山勝製麵
生そうめん(半生)( 180g/約2人前)
540円
乾麺の水分率は約10%ですが、半生麺は20%で小麦のうまみが豊か。さらに吉野葛を使用した独自のノンオイル製法で、独特な強いコシとのど越しのよさを実現しています。ゆで上がりは光沢感のある仕上がりで、みずみずしい。
ゆでるとこんな感じ
【ソーメン二郎さんの解説】
香りとうまみの豊かさが随一
原材料の油は酸化するので、麺に余計な香りがついてしまうのですが、これはノンオイル。だから素材本来の風味が味わえるんですね。しかも半生なので、小麦のうまみもダイレクトに感じられます。ある意味究極のそうめんといえるでしょう!
【その4】小豆島名産のオリーブを生地に練りこんで熟成
【香川県】【乾麺】【ゆで時間約2分】
銀四郎麺業
銀四郎めん(オリーブ素麺)(5束)
648円
実の中心部分を贅沢に使用した小麦粉の生地に、小豆島産100%のオリーブ果実をふんだんに練り込み、じっくりと熟成させた手延べそうめん。強いコシとモチモチした食感はそのままに、オリーブの風味が豊かに香ります。
ゆでるとこんな感じ
【ソーメン二郎さんの解説】
爽やかな色で炒めると見栄えUP
爽やかな色味で、清涼感があります。パスタやソーメンチャンプルーのように調理するのもオススメですね。炒める場合は固ゆでのアルデンテにして、オリーブオイルを多めにかけるとくっつきにくく食べやすいですよ。