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2018/12/6 21:00

「クラフトビール人気」とホップの深い関係。ビール好きなら知っておきたい「ホップの話」

 

クラフトのブームとホップ開発をけん引する米国

続いての質問は、ホップ人気の理由について。なぜ、クラフトビールのトレンドとホップが関係してくるのでしょうか?

「まずはクラフトビールのブームの中心であるアメリカの話からしましょう。アメリカにはブルワリーが3000以上あるといわれ、その数も、ホップの作付面積も世界一。代表的なものが『Cascade』『Centennial』『Columbus(あるいはChinook)』の3つで、その頭文字から『3C』としても有名です」(杉村さん)

 

杉村さん曰く、世界中にはおよそ300品種ものホップがあるとか。では、アメリカンホップの特徴とは?

 

「3Cの特徴は“柑橘系”と表現されるアロマですが、それ以外にもスパイシーなタイプや、鮮烈な苦味をもったタイプなど、アメリカ特有の自由な発想で、競い合うように個性的なホップの新品種が開発されています。貪欲ともいえる、ビール開発のフロンティアスピリッツが、世界中に影響を与えているといえるでしょう」(杉村さん)

 

なるほど! ではそのほかの国で代表的なホップはどのようなものがありますか? また、日本産のホップ事情はどうなっているのでしょう?

 

「たとえば世界的に人気のホップに、ニュージーランドの『ネルソンソーヴィン』がありますね。『ソーヴィン』という名称にあるように、白ワインの種で有名な『ソーヴィニヨンブラン』を思わせる上品な香りが特徴。ちなみに、グランドキリンの『ホワイトエール』のキーホップがこれです」(杉村さん)

 

↑「グランドキリン ホワイトエール」295円(税込/参考価格)。白ワインを思わせるフルーティな香りと、小麦麦芽を一部に使用したやわらかな口あたりが特徴です

 

そして、日本のホップ事情はなかなかシビアで、現在の作付面積は120haほどとのこと。世界10位のフランスが481ha(「THE BARTH-REPORT 2017/2018」調べ)なので、その1/4。ただ、日本でも全盛期はいまの10倍ほどもあったそうで、それだけ縮小してしまったということなのです。この現状を打破しようと、キリンを中心に日本産ホップの生産量を拡大させようという運動もあり、岩手をはじめ各地で圃場(いわゆる畑のこと)が広がっています。

 

↑筆者がかつて取材した、岩手県遠野市にあるホップの圃場。ホップはつるのように伸びて栽培されます

 

「日本産のホップ銘柄は世界的にみると特殊で、基本的にはビールメーカーが権利を持っています。弊社でいうと『IBUKI』や『MURAKAMI 7』が代表的なホップですね。なお、グランドキリンのJPLという商品には、『IBUKI』とドイツの伝統品種『ヘルスブルッカー』がメインに使われています」(杉村さん)

 

↑「グランドキリン JPL」295円(税込/参考価格)。JPLとはジャパンペールラガーのことで、『IBUKI』は柑橘系フルーツとフローラルなアロマ、『ヘルスブルッカー』はウッディでスパイシーな香りと冷涼なニュアンスが特徴です
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