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2016/6/1 16:15

【日本酒通への道】日本酒って何℃で保存すればいいの? 蔵元が語る適温管理にこだわるワケ

実はあまり知られていない、日本酒の適温管理。ワインと一緒にワインセラーで保存、日本酒は何でも冷暗所ならOK……。いいえ、違います。そこで本稿では、蔵元たちの証言とともに日本酒を“適温管理”すべき理由を明らかにしていきます。

 

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温度帯の異なる冷蔵庫を導入して日本酒を保存している飲食店と、温度管理がテキトーな飲食店。同じ日本酒でも、どちらの店で飲むかで明暗が分かれます。おいしい日本酒と出会うには、いい酒販店やいい飲食店に通うのが一番の早道。では、その“いい”は何を基準にするか――。そのひとつが“適温管理”です。

 

適温管理された日本酒とは、味が劣化していない日本酒です。火入れをしていない生酒は、冷蔵庫で保存しないと不味くなってしまうものがほとんど。マニアックな飲食店や個人の楽しみ方として、生酒を常温放置することで奇跡的な味わいを引き出したり…という方法もありますが、それはまた別の話。

 

火入れ酒など常温保存可能なお酒もありますが、フレッシュでジューシーな現代酒質のお酒は、5℃~マイナス5℃の低温管理が基本です。日本酒人気を牽引した“無濾過生原酒”といったキーワードも、クール便といった流通システムが確立されていなかったら普及しなかったはずです。つまり、現代酒質の日本酒は冷温保存が絶対条件。ここではモダンな味わいを提案する人気蔵元に、貯蔵方法・適温管理に関する考え方を聞いてみました。

 

◆「初亀」橋本康弘さん

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「弊社では火入れのお酒を含め、すべてマイナスの冷蔵庫で管理しています。「初亀」の8割が山田錦を使ったお酒なので、搾ってから硬さが落ち着く時期まで待って出荷しています。消費者の方々に飲んでいただくまでが酒造りのゴールだと思いますので、貯蔵に関しても非常に気を使っていますね」

 

◆「磯自慢」寺岡智之さん

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「全商品をステンレスの冷蔵庫で貯蔵しています。庫内どの場所に保管しても3℃をキープできるように工夫しているので、温度は常に均一。それがお酒にとって居心地がいい環境なんです。家庭用の冷蔵庫でも、庫内の収納量やドアの開閉頻度をかんがみて温度設定してあげるといいですね」。

 

◆「伯楽星」杉原健太郎さん

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「弊社は搾った後に味が進まないように貯蔵しているので、冷蔵庫の温度はマイナス5℃。日本酒はマイナス10℃くらいから凍ってしまうので、凍る恐れのないギリギリの低温管理を実践しています。日本酒は絞った後から味が変わっていくお酒なので、弊社では取引先の在庫となっている古いお酒を回収するフレッシュローテーションというシステムを導入し、酒質管理を徹底しています」

 

◆「東洋美人」澄川宜史さん

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「搾りたてのフレッシュでフルーティな状態でボトリングして、その状態をキープしてお客様にお届けすることが『東洋美人』の生命線。なので全商品をマイナス温度で管理しています。造ったお酒は、素晴らしい品質のまま飲んでいただきたい。我々の手から放れ、お酒をお届けした後の管理もしっかりやっていただくと嬉しいですね」

 

蔵によって貯蔵管理の方法はそれぞれですが、搾った後の低温管理はどの蔵も共通する考え方。事実、冷蔵設備に投資する蔵は年々増えています。造り手にとって一番悲しいのは、自分たちがイメージした味わいと異なった味で消費者に届いてしまうこと。有名銘柄が特約店限定というシステムを採用している理由のひとつに、「このお店であればしっかりお酒を管理してくれていますよ」という信頼保証の意味もあります。

 

日本酒を買うなら信頼できる酒販店、日本酒を飲むなら適温管理を徹底している飲食店で、という選択肢を持っていれば失敗はありません。まもなく日本酒にとって厳しい季節が到来します。ぜひ“適温管理”された日本酒で、おいしい夏をお過ごしください。

 

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