立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回紹介するのは、東京・外苑前の「信越そば」です。外苑前駅から徒歩2分の好立地にある同店は、オフィス通いのサラリーマンから流行に敏感な若者まで、幅広い年齢層から支持を得ています。
ファッションの街で力強く営業する立ち食いの老舗
日本の流行発信地・青山に、そば好きなら誰もが知る老舗立ち食い店がある。青山通り沿いの「信越そば」だ。創業は昭和39年。当時駅構内にあるのが常識だった立ち食いそばを市街地に出店させた先駆けだった。
店ではまず、券売機で「天ぷら1品入り」「2品入り」などの券を買う。いか天以外の天ぷらは同一価格で、券を買ったあとは厨房奥に並ぶ天ぷらから好きなものが選べる。総じてどの天ぷらもよく出るそうだ。考えてみれば、すべてのネタが50年の歴史を勝ち残ってきた強者。うまいのは当たり前だ。
同店はつゆも魅力。かつおと昆布で取っただしはまろやかな風味とコクがあり、塩分と甘さ控えめのやさしい味が体に沁み渡る。ここにやや柔らかめの中太麺が絡むと、至福のときが訪れる。場所柄、外国人客が多いのも特徴だ。