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お酒
2019/8/28 20:00

モダンベトナム料理の人気店「An Di」で味わう、ワインとの未知なるマリアージュ

食とワインの“妙”な関係

・エビの生春巻きには……

↑ベトナム料理の定番「エビの生春巻き」も、An Di流は個性的。中に詰まっているのは、エビの他にオクラ、パイナップル、柴漬けがぎっしりと。また上には、かぼすの皮を削って。食材の個性が打ち消し合うことなく、口の中にはそれぞれの味わいの波が順番に訪れる

 

↑生春巻きには、クシノマヴロというギリシャ固有の品種を使ったロゼワイン「イマスィア ロゼ・ド・クシノマヴロ 2016」を。チャーミングなベリーの香りと柴漬けの相性が抜群だ。チャーミングだけではなく、旨味のあるロゼワインが全体のバランスを整える

 

・稚鮎のフリットには……

↑「稚鮎のフリット」。タイなどが原産のタマリンドという甘酸っぱいフルーツのペーストと、うるか(鮎の塩辛)を合わせた特製の“旨酸っぱい”ソース、さらにベトナムコーヒーとブラウンシュガーを散らして。鮎の心地よい苦味とコーヒー&シュガーの甘苦さを、特製のソースが絶妙につなぐ

 

↑料理の苦味を誇張せず受け入れてくれるのは白ワインよりも断然赤ワイン、と大越さん。そしてタマリンドの酸味がワインをグッと引き寄せるそう。ただ赤ワインも苦味を許容するには渋すぎないこと。こちらはスペイン・リオハ産のモダンな造りの赤ワイン「オリヴィエ・リヴィエール エル カダストロ 2014」。クラシックスタイルのリオハは渋くなりがちだが、モダンリオハは渋すぎず凝縮感があり、それが苦味をうまく受け入れる

 

本格ベトナム料理である“べき”でも、ワインである“べき”でもない

「ティーリーフサラダのような茶葉を発酵させた料理は、ベトナムというよりミャンマーによく見られます。このミャンマーの伝統料理では生の茶葉を発酵させますが、今回の茶葉は、日本の製茶園さんで製茶されたものを発酵しています。日本の緑茶は、日本の伝統的な製茶技術があってこそ、あの香り高い緑茶の味がするのです。

 

ただ“茶葉を発酵する”という方法は一緒でも、茶葉にこだわりさらに他の食材も掛け合わせ、盛り付けなども考慮し、他国のいわゆるローカルフードをレストランフードに昇華させているのが、An Diスタイルです」(大越さん)

 

その独創的な料理に合わせるワインは、世界18カ国以上・約250種類のストックの中からピックアップ。さらにワインだけでなく、日本酒や焼酎を合わせることも。大越さんが世界中から仕入れた膨大な情報のアウトプットの場所は、“こうあるべき“の堅苦しさを一切感じさせない、不思議と美しさに溢れたまさに“妙”の空間。未知を楽しみに訪れる名店でした。

 

自宅で楽しむペアリングの心得

最後に、自宅でのペアリングの楽しみ方について聞きました。

「アジアンな料理はフルーティーな食材を使うことが多いので、それにはフルーティーなワイン、酸っぱいものには酸味のあるワイン、スパイスの効いたお皿にはスパイシーなワインなど、同じような香りや味わいのものを合わせると一体感が出ます。それが一番簡単ですね。あまり難しく考えずに、まずは好きなワインと好きな料理でお試しになるのが良いかもしれません」(大越さん)

 

“こうあるべき”など存在しないペアリングの世界。臆することなく「どんな味が体験できるのだろう?」と、An Diへ足を運ぶような、“未知”と“妙”を楽しむワクワク感を、ぜひ自宅でも。

 

【店舗情報】

An Di(アンディ)

所在地:東京都渋谷区神宮前3-42-12 1F
電話番号:03-6447-5447
営業時間:ランチ(土日のみ)12:00-13:30(LO)、ディナー18:00-23:00(LO)
定休日:月曜

 

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