グルメ
2019/12/25 19:30

おなじみのキムチから納豆まで!今年のトレンド鍋はスープまでヘルシーな「発酵鍋」

今年も鍋がおいしいシーズンになりました。毎年新しい趣向の「●●鍋」が注目を集めますが、腸活の重要性が増すなか、今年の話題は断然“発酵鍋”でしょう。発酵鍋とは、発酵食品を取り合わせた鍋料理のこと。納豆やチーズ、キムチ、甘酒など、発酵させた食品には乳酸菌が豊富で、肌荒れや胃の疲れが気になる方にもぴったり。

 

今回は、韓国やタイなどで発酵食品を学び、“発酵トラベラー”としても活躍する料理人で、ヤスダ屋を主催している安田花織さんに、簡単にできておもてなしにも向いている、とっておきの発酵鍋を3種類教えていただきました。

 

1. 腸が活発に働き消化吸収にいい!「水キムチ鶏のレモン香草鍋」

【発酵食品=水キムチ】
骨つきの鶏肉を米のとぎ汁に漬けて発酵させた水キムチは、タンパク質が分解され、消化によい食品です。旨味がしっかり感じられるスープに、体に潤いを与える薬膳食材として人気のある白きくらげをはじめ、ピーラーで薄くむいた野菜やリーフを入れていただきます。

「香りづけに入れるフェンネル(ウイキョウ)は、昔から消化薬として使われているハーブです。疲れて消化力が落ちているときの支えになってくれるでしょう。また、レモンやハーブの香りで気がめぐって、リラックスすることで腸の活動が活発になり、消化吸収がスムーズにできるようになっていきますよ」(ヤスダ屋 安田花織さん、以下同)

 

【材料】

[A]
・水キムチ鶏(作り方は下記参照)…汁ごとぜんぶ
・水…600cc
・レモングラス…1本
・コブミカンの葉…1〜2枚
・フェンネル…ひとつまみ
・干しエビ…6粒
・生姜…お好みで

・白きくらげ…茶碗に1/2杯
・大根…1/5本
・人参…1/2本
・お好みのリーフ類…適量
・塩…適量
・魚醤…適量
・レモン…1/2個
・青唐辛子…1本
・酢…適量

 

【作り方】

1. 白きくらげはたっぷりの水に半日ほど浸し、戻しておく。リーフ類は洗って水を切り、大根、人参はピーラーで薄くスライスして皿に盛る。レモンはくし切りに、青唐辛子は輪切りにして酢に漬けておく。
2. 鍋に[A]を入れ、30分以上煮る。肉を柔らかくほろほろにしたいときは圧力鍋を使い、5分ほど煮る。
3. 鶏の出汁が出たら、塩と魚醤を入れて味を整える。
4. 野菜をさっと煮ながら、レモンや青唐辛子酢でいただく。

 

《水キムチ鶏の作り方》
鍋に米のとぎ汁300gと塩大さじ1/2、八角1/8個を入れて沸騰させて冷ましておく。鶏肉(骨つき)300gは、洗ったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭く。にんにく1片は皮をむいて2mmくらいの厚さに切り、とぎ汁が冷めたらすべてをチャックつき保存袋などに入れて空気を抜き、常温で半日ほどおいたあと、冷蔵庫で熟成させる。翌日から5日間ほど美味しく食べられる。

↑具材にする野菜は、大根やにんじんのほかに、ごぼうやジャガイモなどの根菜もおすすめです。シャキシャキと歯ごたえが残るくらいで引き上げると、食感よくいただけます。「お鍋は、具材によって火の通りが違うので、入れてからしばらく待たなければならなかったり、煮えているものと煮えていないものがわからなくなってしまったりしますよね。今回のように野菜を薄くスライスすることですぐに火がとおり、ストレスなく召し上がれます。ピーラーで野菜をスライスするのをゲストに任せて、みんなで賑やかにいただくのも楽しいですよね」

 

↑途中、味を変えたいときはココナッツミルク200mlを足し、たっぷりのレモンを絞ると、まろやかな風味とコクのあるお鍋になります。「ココナッツミルクはエネルギーになりやすい油分を含んでいるので、体に溜まりにくく、脂肪分が気になる方にもおすすめです。締めには米麺を入れてつるつると食べ、スープに出ている栄養分も丸ごと吸収しましょう」

 

「水キムチ鶏のレモン香草鍋」に続いて、次のページでは「コンビジチゲ鍋」「羊団子の納豆トマト鍋」を紹介していただきます。

 

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2. 不溶性と水溶性の食物繊維でおつうじ抜群に!「コンビジチゲ鍋」

【発酵食品=キムチ・発酵昆布水】
コンビジとは、韓国語で“おから”という意味の言葉。10日ほど発酵させた昆布水とあさりの旨味が出たスープに豚バラや野菜、キムチを入れたお鍋は、おからを入れることで食べ応えのある一品になります。

「おからに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維といい、主に便の量を増やしてくれます。一方、昆布に含まれるのは水溶性食物繊維で、善玉菌のエサとなり便の流れをスムーズにしてくれます。乳酸菌たっぷりのキムチと二種類の食物繊維は、美しい肌や体づくりに欠かせません。また、キムチに含まれる唐辛子は、体を温めて血のめぐりをよくするだけでなく、腸内の腐敗を防止する働きもあります。お肉や魚介など、消化の悪い食べ物と一緒に食べることで、腸が喜ぶ組み合わせになります」

 

【材料】

・キムチ…100g
・キムチのつけ汁…大さじ2
・ごま油…大さじ1
・豚バラ肉…50g
・発酵昆布水(作り方は下記参照)…400ml
・あさり…6粒
・長ねぎ…1/2本
・キノコ…ひとつかみ
・おから…100g
・豆乳…150ml
・ニラまたは芹…1/5束
・魚醤…適量
・韓国唐辛子…少々
・ごま油…適量

 

【作り方】

1. キムチと豚肉を食べやすい大きさに切り、キムチのつけ汁とごま油で揉んで10分ほど置く。
長ねぎ、きのこは食べやすい大きさに切る。ニラは5cmの長さに切る。
2. 鍋に、はらわたと頭をとった煮干しを入れ、1分ほど炒める。
3. キムチと豚肉を加え、香りが立つまで炒める。
4. 発酵昆布水とあさりを入れ、煮立ってきたらおからと豆乳を入れてさらに煮立たせる。
5. 魚醤で味を整えたら、ニラを乗せてごま油をまわしかけ、韓国唐辛子をお好みでかける。

 

《発酵昆布水の作り方》

密閉出来る900mlのガラス瓶を煮沸消毒して自然乾燥させ、昆布20gと水900mlを入れる。昆布が水面から出ないよう、水が足りない場合は昆布が浸かるまで水を入れておく。しっかりと蓋を閉め、10日ほど冷蔵庫で発酵させる。カビ防止のため、一日に一度は瓶を上下に動かして保管する。
※発酵昆布水が作れないときは、昆布を水に浸したもので代用可。

 

↑豚バラとキムチは、キムチのつけ汁とごま油で前もって揉んでおくことで、味が馴染み、おいしくいただけます。「キムチが苦手な方は、白菜の浅漬けや高菜漬けなどを使ってもよいでしょう」

 

3. 体を温めるスパイスと羊肉でホカホカ!「羊団子の納豆トマト鍋」

【発酵食品:納豆・酒粕・味噌】
パクチーと生姜を練りこんだ羊の肉団子が、個性のあるメイン食材になるお鍋です。旨味を引き出すために入れた納豆と酒粕が、定番になりがちな味噌鍋に深みを出し、新しい味が楽しめます。

「羊肉には体を温める効果があり、シナモンや生姜、酒粕なども加わるので、冬の寒さや冷え性などで体を温めたい方にぴったりのお鍋です。味噌や納豆は良質なたんぱく質が豊富で、発酵させた大豆は消化吸収にも働きかけます。タイ北部では納豆を旨味成分としてよく使うので、味に深みやコクを出したいときにおすすめの食材です」

 

【材料】

[A=肉団子用]
・玉ねぎ…50g
・パクチー…10g
・生姜…10g
・羊ひき肉…100g
・塩…小さじ1/3
・シナモンパウダー…少々

[B=酒粕味噌]
・にんにく…1/2片
・味噌…大さじ2
・酒粕…大さじ2

・ごま油…大さじ1
・花山椒…6粒
・納豆…1パック
・トマト…1個
・水…300ml
・さつまいも…1/4本
・塩…適量
・キノコ…1/2パック
・キャベツ…1/4個
・パクチー…お好みで
・粉唐辛子…お好みで

 

【作り方】

1. [A]の玉ねぎ、生姜、パクチーをみじん切りにし、羊のひき肉とシナモン、塩を合わせてこねて肉団子にする。にんにくをみじん切りにして[B]の材料をすべて混ぜ合わせ、酒粕味噌を作る。トマトはざく切りに、野菜を食べやすいサイズに切る。
2. 鍋にごま油と花椒を入れて納豆とトマトを炒め、酒粕味噌を半分と水を入れて煮はじめる。
3. 肉団子とさつまいもを同じタイミングで入れる。沸騰したら塩で味を整え、野菜を入れる。
※お好みで酒粕味噌や粉唐辛子を足しながら食べる。

 

↑羊のひき肉が手に入らない場合は、ジンギスカン用の羊肉を叩いてひき肉にするのもよいでしょう。「羊の独特な香りとパクチーがこのお鍋にはぴったりなのですが、難しい場合は豚や牛のひき肉で代用してください。また、刻むパクチーはなるべく根元の方を入れると、香りが高く、存在感を引き出すことができます。お鍋に入れる花椒は、粒のものなら最初から、パウダーなら食べる直前に入れると、香りが飛びません。香りがよく、体を温める食材が重なった、深みのあるお鍋です。冷え性の方はぜひ作ってみてください」

 

発酵食品の栄養素がスープで丸ごといただける発酵鍋は、この冬いちばんのフードトレンド。マンネリ化してくるお鍋の味も、新しいレシピを取り入れれば、野菜をもっとおいしく、たくさん食べられるようになりますよ。

 

【プロフィール】

料理人・ヤスダ屋主宰 / 安田花織

在日韓国人のおばあちゃんと農家の日本の母の味、2つの豊かな食文化に触れながら育つ。 高校卒業後食の世界へ。 懐石料理店、オーガニックコミュニティカフェcafe slowなどを経て 2012年独立。繋がりを大切に、出来る限り食材の産地に足を運び、食材の育った風景、作り手の思いを込めて料理を作る。各種イベントケータリングや料理教室、レシピ提供など行う。http://yasuda-shikutan.com/about

 

 

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