グルメ
2020/3/9 6:15

何かと話題のウーバーイーツ。飲食店はどう思ってる?リアルな声を人気店に聞いた

ウーバーイーツは数ある選択肢のうちのひとつ

次に訪ねたのは、ゴーストレストランだ。これはデリバリーやテイクアウト、ケータリングに特化した飲食店のことで、ウーバーイーツの浸透とともに日本でも昨今話題となっている。話をうかがったのは、新宿三丁目にキッチンを構える「株式会社よじげん」の店舗。同社は「よじげんスペース」という、フードデリバリーやゴーストレストランなどに関するメディアも運営するなど、多角的な事業を行っている。

 

新宿三丁目の店舗ではウーバーイーツのほか、モバイルオーダー&ペイサービスの「PICKS」、月額定額制テイクアウトサービス「POTLUCK」、テイクアウトでフードロス削減に貢献できるサービス「TABETE.me」も活用するなど、新しい食形態に積極的に進出している。代表の荒木賢二郎氏に話を聞いた。

 

↑店舗のビル入口。配達員にわかりやすいよう、看板が出ている

 

「ここでは業務委託の店長が、様々な飲食店とライセンス契約する形で4ブランドの料理を作っています。最初はスパイスカレーからはじめ、そこからガッツリ飯、ハンバーガー、低糖質料理店を提携先に増やして、いまにいたります」(荒木氏)

 

そのひとつ、スパイスカレーが「カリガリカレー よじげん店デリバリー&テイクアウト」。秋葉原を拠点に、都内と大阪で数店舗展開している人気店との提携だ。なお、「よじげんスペース」では現在の4ブランドに加えてさらにもう1業態増やし、最大5ジャンルでゴーストレストランを運営する計画とのこと。

 

↑「カリガリカレーよじげん店デリバリー&テイクアウト」の「カリガリセット4」1500円。パクチー、玉ねぎアチャール、煮卵、レタスがトッピングされる

 

「今後はウーバーイーツに合わせたオリジナル業態の開発もスタートします。新宿という土地柄かもしれませんが、意外と朝にもオーダーが入るんですよ。なので、朝食に食べたくなる、デリバリー向きの料理もいい思うんですよね。具体的には考え中ですが、おかゆやMEC食に注目しています。ちなみに、料理はガッツリ系か、もしくはヘルシーかのどちらかに振り切ったジャンルの方が人気が高いですね」(荒木氏)

 

同エリア内の競合ジャンルにもよるが、数ブランドをもっていたほうが、全体のオーダー数は増えるとか。では、現状どれぐらい注文が入っているのだろうか。

 

「ウーバーイーツにおける1日のオーダーは、1ブランドで5~10程度ですね。でも今年は中国版ウーバーイーツ『滴滴出行』(DiDi)や国内スタートアップの『チョンピー』に『エニキャリ』、佐々木希さんがイメージキャラクターを務める『menu』と、新たなオンラインフードデリバリー業者が増えますし、出前館も新たなサービスを開始すると思います。ウーバーイーツのライバル『ドアダッシュ』も上陸しそうですし、シーンが盛り上がればユーザーも増えますよね。私はどのサービスも並行してやるつもりなので、そうすれば注文数はもっといくと思います」(荒木氏)

 

ウーバーイーツは多くある選択肢のひとつという認識だ。

 

↑出前館は朝日新聞社と提携し、「ASA」で知られる販売店に宅配代行を委託していたが、2020年6月に解消することとなった。次なる展開が注目されている

 

そして、こちらでも利用時のエピソードについて聞いてみたが、前述のファッツ・ザ・サンフランシスカン同様、目立ったトラブルはないという。自身もウーバーイーツのベビーユーザーだという荒木氏は「ごくたまにミスがあったりするけど、そういうものだとわかってるから気にならない」とのこと。

 

同店は新宿三丁目駅から徒歩1分程度と立地的には超好物件。もっと駅から離れた場所のほうが利益は上がるのではないだろうか。また、現状の家賃で採算は取れているのだろうか。

 

「採算はしっかり取れてますよ。まず、うちはエレベーターがないビルの4階です。この条件でも3階以下ですと(テナント料が高くて)厳しいのですが、エレベーターがないビルの場合は4階以上だと安いんです。あと、配達員は駅前に待機しがちなので、駅から遠いと彼らに選んでもらえません」(荒木氏)

 

ウーバーイーツは自転車やバイクに乗った配達員がピックアップに来てくれる関係上、駅からの距離は関係ないと思われがちだが、意外に立地は重要だという。

 

割とドライな飲食店側の意見

今回は2店舗のみの取材、かつ、両者とも経営者でもある点は考慮は必要だが、反応は割とドライ。ウーバーイーツはユーザーに食事を提供する手段のひとつであり、手数料の条件面も含めて冷静に判断しているといった印象だ。

 

同時に、定期的に話題に上がる配達員とのマナーやトラブルに関しては、たまに多少のミスはあるが許容範囲内のレベルの模様。配達員への教育やシステムエラーを徹底するにはコストがかかるだろうし、それで配達員が減ったり、手数料が上がったりして使い勝手が悪くなるのであれば、現状のままで構わないとの意見も聞かれた。すべての飲食店が両店と同じ考え方であると言うつもりはないが、少なくとも今回取材した店舗に関しては「何らかのリスクが出る可能性もあるが、それを踏まえた上で利用する類のサービスである」という認識で活用しているようだ。

 

【フォトギャラリー(GetNavi webにてご覧になれます)】

 

  1. 1
  2. 2