2018年にわずか50本という超限定で発売された「リンク8888」。スコッチウイスキーの名門「シーバスリーガル」と、富山の至宝「満寿泉」(ますいずみ)のコラボによって生まれた日本酒です。
それは、シーバスリーガルの樽で数種の満寿泉を熟成させてブレンドするという、ほかに類をみないプロダクト。数量もさることながら一瞬で完売に。その超希少酒が、満を持して復活することとなりました。前回より多いものの、数は約1万本限定となかなかのレアモノです。
そんななか、この特別な日本酒の神髄を体感すべく、酒造見学に来ませんか? という興味深い案内が! ということで今回、「満寿泉」の蔵元である富山の桝田酒造店へ。想像以上にアツく、濃かったツアーの内容をお届けします。
吟醸酒のパイオニアが「満寿泉」だ
桝田酒造店、そして「満寿泉」の特徴といえば、華やかな香りが特徴の吟醸酒造りにあります。根底にあるのは、山海の美味に恵まれた富山の酒らしさ。優れた杜氏が多いことで知られる能登杜氏のなかでも有名な「能登四天王」のひとり・三盃幸一さんを迎え、1970年代から、吟醸酒に力を入れてきました。
一方、当時の日本酒は淡麗辛口が主流で、吟醸酒は普及していませんでした。それでもぶれずに信念を貫き通した同蔵は、いまでは吟醸酒のパイオニアとして称賛される存在に。海外での評価も高く、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)のSAKE部門での金賞受賞経験をもち、また「満寿泉」のRシリーズはドンペリニヨンの元醸造最高責任者リシャール・ジェフロワ氏の頭文字のRを冠した、ドンペリの酵母で醸した商品です。
のちに発酵タンクや搾り工程などを見て回り、試飲もさせてもらったのですが、この酒造見学はツアー全体の序章に過ぎませんでした。というのも「満寿泉」を完全に理解するには、仕込み現場を見たりテイスティングをしただけでは足りなかったのです。以前から居酒屋などで「満寿泉」を飲んできた筆者自身が、それを実感することに。
美しくおいしい文化が集まる“梁山泊”がそこにあった
一行は酒造場を出て、周辺の岩瀬のまちへ。すると、ある特徴に気付きます。それは、風情豊かな家屋が多く、まち並みが整っていること。実はこれ、桝田社長が酒造り以外で取り組んでいることのひとつで、事実「岩瀬まちづくり会社」を立ち上げて全体のリノベーションをしているのだとか。
次の目的地は一見、日本酒とはかけはなれたアートギャラリーやアトリエへ。各作家さんたちは全国的に有名な方々で、商品や作品群は思わず息を飲むものばかり。そして彼らに創作や発表の場を提供したのも桝田社長なのです。
その後は、「リンク8888」や「満寿泉」をはじめ様々な酒が揃う「酒商田尻本店」、前記安田泰三さんの工房「Taizo Glass Studio」、フレンチレストラン「カーヴ・ユノキ」の3軒が入居する、森家土蔵群へ。
界隈にはハイクオリティな飲食店も多数。次に向かったのは、麻布十番にあるミシュラン一ツ星店「ピアット・スズキ」で修業したシェフによるイタリアン「ピアット・スズキ・チンクエ」。ワイン酵母で仕込んだ「満寿泉 Green 生 ワイン酵母仕込み」を絶品料理とともに堪能しました。
芸術礼賛の考え方が共鳴して生まれた酒が「リンク8888」だ
美食巡りは続きます。若き職人、下條貴大さんが今年1月にオープンした寿司店「GEJO」、2019年8月にオープンした、桝田酒造店直営のスタンディングバー「沙石」(させき)。そして「沙石」開業のタイミングで岩瀬へ移転してきた、富山の味覚を駆使する日本料理店「御料理 ふじ居」へと。
それぞれの料理に合わせた「満寿泉」や「リンク8888」とのペアリングを味わいながら、桝田酒造店の掲げる“美味求眞”を学びました。それは、“美味しいものを食べている人にしか美味しい日本酒は造れない”という考え。そうしたバックボーンがあるからこそ、桝田社長が世界の一流と友好を深め、「満寿泉」自体も海外から称賛される存在になりえたのだと。
桝田社長はまた、「お酒は文化とともにある」という考えも持っています。だからこそ優れた芸術家や料理人に声をかけ、かつて北前船の交易で栄えた岩瀬に趣ある風情をよみがえらせ、文化的なまちへと活性化させているのです。
「リンク8888」誕生のきっかけは、酒をはじめ日本のモノづくりを世界へ発信している中田英寿さんが、「シーバスリーガル」主催のビジネスアワードを受賞し両者を結び付けたことが契機ですが、「シーバスリーガル」にも“アート・オブ・ブレンディング”というDNAが宿っています。ともに芸術性を追求する考え方が共鳴して生まれた日本酒、それこそが「リンク8888」なのです。
【「リンク 8888」問い合わせ先】
ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
03-5802-2671