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2020/2/24 19:00

金融の街「日本橋兜町」が激変!? 極上ビールが飲めるマイクロ複合施設「K5」は今すぐ行くべき

空間や店、そこで提供される食事の味、さらに居心地まで、とにかくすべてがクール! そんな複合施設「K5」(ケーファイブ)が、東京の日本橋兜町にオープンした。

↑建物は、国内初の銀行として建てられた築97年の歴史的建造物を再生。地下1階~地上4階からなり、ホテル、レストラン、ビアホール、バー、コーヒースタンドが入っている
↑建物は、国内初の銀行として建てられた築97年の歴史的建造物を再生。地下1階~地上4階からなり、ホテル、レストラン、ビアホール、バー、コーヒースタンドが入っている

 

泊まる機会がない人でも、気軽に利用できる食の店が多いのは、うれしいポイント。そこで今回は、グルメの見どころを中心に同館の魅力を紹介したい。

 

クラフトビールブームの立役者による世界初の旗艦店

地下から見ていこう。ここには、世界的なクラフトビールブームの立役者であるNYの「ブルックリン・ブルワリー」の、世界初となるフラッグシップ店「B」(ビー)がある。

↑店内。「B」の営業は16:00~23:00。120席の広い空間では音楽やアートが楽しめ、Tシャツなどのオリジナルグッズも販売
↑店内。「B」の営業は16:00~23:00。120席の広い空間では音楽やアートが楽しめ、Tシャツなどのオリジナルグッズも販売

 

目玉は当然、ビール。現在、日本で発売されている同ブランドの商品は、実はほんの数種だけ。まだ未解禁となっているフレーバーが無数に存在するのだが、そんな数々のレアビールが、同店限定で飲めるようになった。

 

たとえば、チョコレートを思わせるコクが冬らしい「ブルックリンウィンターラガー」(880円~)、塩と乳酸菌の爽やかさに柑橘が香る「キーライムゴゼ」(880円~)、ラズベリーの甘酸っぱさが効いたサワーエール「ブルックリンロゼデヴィル」(880円~)、シェリー樽で熟成させた甘美な味わいの「カパタズ」(880円)などなど。

↑「ブルックリンウィンターラガー」
↑「ブルックリンウィンターラガー」

 

↑「ブルックリンロゼデヴィル」
↑「ブルックリンロゼデヴィル」

 

↑左から3本目の、同店だけで飲める「インテンシファイド コーヒーポーター」(4500円/大瓶)は、ブルーボトル社とコラボしたビール。バニラのような香りとコーヒーのアロマが芳しい
↑左から3本目の、同店だけで飲める「インテンシファイド コーヒーポーター」(4500円/大瓶)は、ブルーボトル社とコラボしたビール。バニラのような香りとコーヒーのアロマが芳しい

 

フードは、“多様性を包む”象徴として、タコスがメインだ。チキン、ビーフ、ポークなどに加え、ビーガンメニューなども予定されている。ほかにも、ブルックリンのローカルフードとして人気の豚皮フライをはじめ、各ビールと相性抜群の料理が提供される。

↑タコスのトルティーヤ生地も店内焼きで、ソフトタイプ。「アルパストール(豚)」(350円)や「レングァ(牛たん)」(450円)がラインナップ
↑タコスのトルティーヤ生地も店内焼きで、ソフトタイプ。「アルパストール(豚)」(350円)や「レングァ(牛たん)」(450円)がラインナップ

 

↑じゃがいもから手作りのフライドポテト(600円~)や、自家製生地のチップス&ワカモレ(アボカド/600円)なども必食だ
↑じゃがいもから手作りのフライドポテト(600円~)や、自家製生地のチップス&ワカモレ(アボカド/600円)なども必食だ

 

そして同店を訪れた際は、1階から店内へと続く階段の壁や天井のアートにも注目して欲しい。これは、ブルックリンを拠点に活躍する、日本人アーティストの中山誠弥(なかやませいや)さんが手掛けた作品。同店のロゴやファウンダーのグラフィック、金融街にちなんで招き猫をモチーフにした作品などが描かれている。

↑制作中(取材時)のアート。テープでマスキングしたあと、スプレーで色付けしていく
↑制作中(取材時)のアート。テープでマスキングしたあと、スプレーで色付けしていく

 

↑中山誠弥さん。元々「ブルックリン・ブルワリー」のファンで、本国のブルーパブの壁画も手がけている
↑中山誠弥さん。元々「ブルックリン・ブルワリー」のファンで、本国のブルーパブの壁画も手がけている

 

続いて1階。ここには4つの飲食業態が入っている。

グリーンとともに攻めた食事とコーヒーを

お次は1階。ここには4つの飲食業態が入っている。観葉植物が生い茂る空間にあるのは、レストランの「CAVEMAN」と、コーヒーショップの「SWITCH COFFEE」。前者は日本、フランス、デンマークなど国内外の星付きレストランで修業を重ねたシェフが、発酵をテーマにした独自解釈の日本料理を提供する、東京・目黒の人気レストラン「Kabi」の新店で、「HOTEL K5」のモーニングもここで提供される。

↑「CAVEMAN」は7:30~11:00(モーニング)/18:00~23:00(ディナー)が営業時間。15:00〜23:00(火曜〜金曜は18:00〜)は、隣のスペースがワインバーとして営業する
↑「CAVEMAN」は7:30~11:00(モーニング)/18:00~23:00(ディナー)が営業時間。15:00〜23:00(火曜〜金曜は18:00〜)は、隣のスペースがワインバーとして営業する

 

「CAVEMAN」の料理を担当するのは、ノルウェー・オスロの三ツ星レストラン「Maaemo」(マエモ)で腕を振るった黒田敦喜(くろだあつき)シェフ。モーニングでは、その黒田氏と現地で意気投合し、帰国後日暮里にベーカリー「ヴァーネル」を開業した宮脇司氏によるサワードウ(種)のパンと、「CAVEMAN」自家製のジャム、バター、チーズ、2種のハムなどがズラリと並ぶ。

 

ディナーは約11品のコース(9000円)1本で、メニューは季節により変動するとのこと。一方、ワインバーの料理はアラカルト制で、世界中から選りすぐったナチュラルワインがグラス約1000円から。

↑メニューの一例。揚げた菊芋と黒にんにくに焦がしバターを絡め、鹿の心臓の燻製(写真左上)を削ってかけた一皿(中央下)、ブリオッシュのロースト(右)、羊肉の生ハム(右上)など
↑メニューの一例。揚げた菊芋と黒にんにくに焦がしバターを絡め、鹿の心臓の燻製(写真左上)を削ってかけた一皿(中央下)、ブリオッシュのロースト(右)、羊肉の生ハム(右上)など

 

後者の「SWITCH COFFEE」は目黒、代々木八幡に店舗を構える人気コーヒーショップの3店舗目。エスプレッソ(400円)やカフェラテ(550円~)などのほか、シングルオリジンのドリップコーヒー(日替わり価格)も用意される。

↑営業時間は7:00~17:00。同店がエントランス側となり、棚を隔てた奥が「CAVEMAN」だ
↑営業時間は7:00~17:00。同店がエントランス側となり、棚を隔てた奥が「CAVEMAN」だ

 

↑コーヒーはホット450円、アイス500円で提供。ティーやチョコレートドリンクは、取材時点では「COMING SOON」となっていた
↑コーヒーはホット450円、アイス500円で提供。ティーやチョコレートドリンクは、取材時点では「COMING SOON」となっていた

 

本とともに茶が香るお酒を

「CAVEMAN」などがある空間と、エントランスを挟んで反対側にあるのがライブラリーバー「青淵」(Ao)である。滞在する人への癒しとなるような、アジアのお茶や漢方をベースにしたカクテルを提供するのがコンセプトで、日中はティーサロンとしての営業も行う。

↑「青淵」の営業時間は14:00~翌1:00。図書館とバーが一体化したサロンとなっており、兜町という日本の国際化・資本主義のはじまりにあった街から、その夢を追想できるような空間だ
↑「青淵」の営業時間は14:00~翌1:00。図書館とバーが一体化したサロンとなっており、兜町という日本の国際化・資本主義のはじまりにあった街から、その夢を追想できるような空間だ

 

プロデュースは、ゴールデン街のレモンサワー専門バー「the OPEN BOOK」などで知られる田中開氏と、国内外でバーテンダーとして活躍する野村空人(のむらそらん)氏。同店は選書もユニークで、“日本資本主義の父”と評される渋沢栄一が見た世界から、兜町、東京、日本、といったレイヤー毎に当時を知ることができるような本棚が構成されている。

↑バーテンダーとして数々の受賞経験をもつ野村氏。現在はドリンクコンサルタント会社「ABV+」も運営している
↑バーテンダーとして数々の受賞経験をもつ野村氏。現在はドリンクコンサルタント会社「ABV+」も運営している

 

ドリンク構成は、ティーとカクテルの2本立て。前者は「Good Break」(たかちほウーロン茶、みかんの皮、なつめ、サンザシ)などのブレンド茶と、単一のお茶からなる全5種類(700円前後を予定)。後者も、お茶をベースにしたカクテル8~10数種(1500~1600円を予定)をメインに提供するという。

 

続いて、2階以上を占めるホテルについて、見てみよう。

「K5」が兜町・茅場町再活性化の起点となる

最後はホテルの話を。2〜4階は「HOTEL K5」となり、20〜80平米の客室が20部屋用意される。コンセプトは「都市における自然との共存」とし、五感に訴えかけるシンプルで上質なホテルがモットーだ。

 

インテリアやプロダクトの設計は、スウェーデン・ストックホルムを拠点として活躍する3人の建築家のパートナーシップ「CLAESSON KOIVISTO RUNE」率いるデザインチームが担当。建物が醸し出す重厚感ある外観と、東京に点在する自然そのものからインスパイアされ、先鋭的でありながらもその場所における「時の重なり」や「日本の伝統」を意識したタイムレスなデザインとなっている。

↑20部屋のほとんどが40平米前後。宿泊は1泊約2万〜15万円/部屋。宿泊予約は、「K5」オフィシャルサイトや各種宿泊予約サイトで受付中
↑20部屋のほとんどが40平米前後。宿泊は1泊約2万〜15万円/部屋。宿泊予約は、「K5」オフィシャルサイトや各種宿泊予約サイトで受付中

 

数年前から、東京を中心にホテルの開業ラッシュが続いているが、その多くはやはり、東京オリンピック・パラリンピックを想定されたもの。だがこの「K5」はその枠を超え、ひとつの大切なミッションをはらんでいる。それが「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」。同エリア全体の魅力を高める取り組みとして、地域にある資源を利活用し、街に新たな機能や文化をつくり出すという計画である。

 

日本橋兜町は明治以来、渋沢栄一が邸宅を構えていた地で、日本で初めて銀行や証券取引所などを起こしたことから、「コト始めの街」「投資の街」「証券の街」としての地歴を有する街。

↑「K5」は1923年(大正12年)築の、元第一銀行の外観・躯体はそのままにリノベーションした建物。西洋建築の様式を多く取り入れ、当時としては最先端の技術が用いられた
↑「K5」は1923年(大正12年)築の、元第一銀行の外観・躯体はそのままにリノベーションした建物。西洋建築の様式を多く取り入れ、当時としては最先端の技術が用いられた

 

↑再生した建物を道側から
↑再生した建物を道側から

 

↑窓からは、向かいに東京証券取引所を望める
↑窓からは、向かいに東京証券取引所を望める

 

その魅力を掘り起こすべく立ち上がったのが再活性化プロジェクトで、コンセプトは「REVITALIZE(新しい命を吹き込む) THE CITY」。「K5」の開業によって感度の高い人々が自然と集まるようになり、まわりに多様な施設ができ、街全体が色づき活気づいていく――そんなビジョンが掲げられている。

 

たとえばそれは、ゴーストタウンだったブルックリンが、クリエイターたちの移住と活躍によってアートな街へと変貌したように。ちなみに、ブルックリンの再生に、ビールで貢献したのが「ブルックリン・ブルワリー」。世界初の旗艦店として「B」がここに誕生した理由には、街の活性化への熱いパッションもあったに違いない。

↑「K5」のエントランス。飲食フロアやの客室の床は、97年前のコンクリート躯体をそのまま活かすなど、いたるところに新旧の息吹を感じられる
↑「K5」のエントランス。飲食フロアやの客室の床は、97年前のコンクリート躯体をそのまま活かすなど、いたるところに新旧の息吹を感じられる

 

日本橋兜町全体が再活性するきっかけとなりそうな、”点”である「K5」。同館の今後の躍進はもちろんこと、日本橋兜町や茅場町が今後どう変貌し、どんな店や施設が集まって生業が生まれ、どう盛り上がっていくのか。この街の再興の道のりを、注目していきたい。

 

※価格はすべて税抜

 

【SHOP DATA】

K5

住所:東京都中央区日本橋兜町3-5
アクセス:東京メトロ東西線・銀座線、 都営浅草線「日本橋駅」徒歩5分、東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町駅」徒歩5分
https://k5-tokyo.com