グルメ
2020/7/26 18:00

未来の外食に必要なのは“隣人”。サラダブームの火付け役が教えてくれたこと

中ズ/アフターコロナが叫ばれるなか、いっそう目が離せないレストラン業界。様々なメディアで外食企業の取り組みが紹介されていますが、個人的に注目しているのがクリスプという会社です。こちら、「クリスプ・サラダワークス」の運営元といえば、都心で働いている人はご存知かもしれません。

 

↑カスタムサラダ業態の旗手が「クリスプ・サラダワークス」。東京に16店舗を展開しています

 

同店は数年前にトレンドとして話題になったカスタムサラダ(チョップドサラダ)レストランの先駆けであり、以降も革新的な商品やサービスで時代の最先端を走っています。最近の例では、緊急事態宣言期間中に行った取り組みが多くの人から共感を集めるなど、筆者はクリスプのビジョンに、未来の外食企業のヒントがある気がしてなりません。そこで代表にインタビューし、これまでとこれからをうかがいました。

 

↑株式会社クリスプ代表取締役社長の宮野浩史さん。経歴からしてただものではありません

 

サラダを主食で気軽に味わえる世界をつくりたかった

宮野さんは高校中退後に単身渡米し、現地で天津甘栗を大ヒットさせるなど活躍したのち日本に帰国。タリーズコーヒーを経て国内初のブリトーレストラン「フリホーレス」を創業し、ファストカジュアル(いわゆるファストフードの高級版。日本では「シェイクシャック」が有名)の先駆者としても注目されます。そして心機一転、2014年にクリスプを創業。「クリスプ・サラダワークス」とともにいまに至ります。でもなぜ、サラダだったのでしょうか。

 

「アメリカで天津甘栗を売っていたとき、『懐かしい!』と喜んでいただける日本人の方がすごく多くてビックリしたんです。同時に『場所が変わるだけで、同じ天津甘栗でもこんなに感動を生み出せるんだ』と思いました。この驚きが原点です。ブリトーも同じ発想で、日本で展開しました。当時は『タコベル』(タコスやブリトーが名物のファストフード。日本に1980年代に出店したが撤退し、2015年に再上陸)もなかったですし」(宮野さん)

 

ブリトー同様、アメリカではポピュラーだったカスタムサラダのレストランが日本になかったこと。そして自分自身が「日本でもあのサラダ食べたいな」と思ったことがきっかけだと宮野さん。さらに、ほかにも理由があると言います。

 

「日本のサラダの立ち位置って、多くはサイドメニュー感覚ですよね。それに、『栄養バランスが偏らないように仕方なく食べる』みたいなネガティブなイメージもあると思うんです。一方で、こだわり尽くしたおいしいサラダが食べられるお店はすでにありましたが、そこは高級なステーキレストランだったり、お洒落なカフェのサラダランチだったり。でも、ご馳走レベルのおいしいサラダだけを、Tシャツとサンダル姿で食べられる、というお店はなかったんです。そこで、主食として絶品サラダを気軽に味わえるレストランをつくろうと思いました」(宮野さん)

 

↑野菜のシャキシャキ感を残しつつ、スプーンで食べられるくらいまで食材をカット。またハムやマヨネーズなどもすべて店舗で手作りするほど、おいしさを徹底的に追求しています

 

栄養価は高いながら、あえてヘルシーさをウリにしていないのも「クリスプ・サラダワークス」の特徴。これも宮野さんの哲学のひとつです。

 

「たとえば『今日はいつもよりおいしいものを食べよう』となったときに、焼肉、ラーメン、カツカレーなどいくつか選択肢があるなかのひとつにサラダがあってもいいと思うんです。そこで選ばれる理由はヘルシーだからではなく、おいしいから、食べたいからという想いで。そうやって味わい的にも満足したうえで、結果的にヘルシーという価値観をサラダで実現したいと思ったんです」(宮野さん)

↑宮野さんオススメのひとつが「ファームボウル」1247円(税込)。ほうれん草、チキン、チーズ、スナップエンドウなどのほか、ワイルドライスと雑穀米が入っているサラダで、子どもにも人気とか

 

 

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