グルメ
2020/8/12 19:00

苦味はコントロールできる! 栄養満点な夏野菜「ゴーヤ」の大人も子どもも喜ぶレシピ

毎日暑くて食欲をなくしてしまいそうな夏には、旬の食材から栄養をしっかり摂って、夏バテや体調不良を引き起こさないようにしたいもの。窓辺のグリーンカーテンとして収穫する人も増えている、夏の旬野菜「ゴーヤ」を楽しむ方法を、料理家の松島由恵さんに教えていただきました。苦味を活かした、お酒のおともにぴったりのおつまみと、子どもでも食べやすいよう下処理を行ったやさしい味のスープを紹介します。

 

ゴーヤには、なんとビタミンCがレモンの3個分!

グーリンカーテンでもお馴染みのゴーヤは、なんといってもビタミンCの宝庫。ビタミンCは、一般的に「加熱に弱い」とされているのですが、ゴーヤに含まれているビタミンCは熱に強く、加熱しても壊れにくい性質を持っています。1本でレモン3個分のビタミンCが含まれていますから、紫外線によるダメージを受けやすい夏は、特に摂取したいものです。

 

また、あの独特の苦味は「モモルデシン」という、胃液の分泌を促し食欲不振を改善する成分によるもの。下処理をすることで苦味を減らすことはできますが、その分栄養価も下がってしまうので、少々の苦味は一緒に楽しめるようなレシピをおすすめします。

 

苦味は白い“ワタ”にあり! 丁寧に取り除くだけでもまろやかに

まずはゴーヤの苦味のもとであるワタを取り除きましょう。ゴーヤを縦半分に切り、中の白いワタと種を、スプーンですくい取っていきます。スーパーに並んでいるゴーヤは種が黄色っぽく、ワタが白いのですが、完熟するまで収穫せずにいると、種が真っ赤に色づきます。

 

「赤い種はフルーツのように甘くてそのまま食べることもできます。ゴーヤの全国有数の産地である沖縄では、ワタも食べることがあるそうですよ」(料理家・松島由恵さん、以下同)

 

苦味が苦手な場合は、ワタの部分がしっかりなくなるまでこそげて取りましょう。「ワタが残っていると苦味を感じるので、好きな方や苦味を活かしたいときは少し白い部分を残すくらいでやめておくといいですよ」

 

【下処理の仕方 1】歯応えや苦味を楽しみたいときは「塩もみ」


サラダでいただくときやゴーヤチャンプルーなど、ゴーヤ独特の味わいを残したい場合は、塩を振って手で揉み込んでよくなじませ、10分ほど置いておきます。

 


「しばらくすると、ゴーヤから水分が出てくるので、ぎゅっと絞ってから料理に使いましょう。塩はゴーヤ1/2本に対して、3〜4つまみくらいと多めに振ります」

 

【下処理の仕方 2】苦味を抑えたいときは「さっと茹でる」


ここでは、子どもやゴーヤが苦手な人にも食べやすいよう、“茹でる”下処理の仕方の紹介です。「ゴーヤを料理に使うサイズにカットしたら、沸騰したお湯に入れて30秒ほど茹でてから湯切りします。その後、ゴーヤ1/2本に対して小さじ1/2ほどの塩を振ってなじませておき、水分を絞ってから料理します。一度茹でることでアクや苦味が少なくなるんです」

 

下処理が済んだら、いよいよ調理。次のページでは、ゴーヤの苦味を活かして塩もみだけの下処理で作るおつまみと、茹でて食べやすくしたゴーヤで作るスープのレシピを紹介しましょう。

 

プロが教える「ゴーヤ」の絶品レシピ2

「1本のゴーヤを半分にして、2品作るレシピをご紹介します。ひとつは大人用のおつまみに、もうひとつはお子さんでも食べられるようスープにしました」(料理家・松島由恵さん、以下同)

 

●ゴーヤの苦味がおいしいおつまみレシピ「ゴーヤとしめ鯖のさっぱり和え」

ゴーヤの苦味と、しめ鯖の酸味がお酒にぴったり。冷たくした日本酒や白ワインなど、キリリとした飲み物が合いそうです。「シャキシャキとした歯応えのあるゴーヤとたけのこがアクセントとなって、満足できるおつまみです。冷蔵庫に作り置きしておいてもいいですね。夏は酸味のあるものが食べやすいのでしめ鯖を使いましたが、鯵のお刺身でもおいしいですよ」

 

【材料(2人前)】

ゴーヤ…1/2本(80g程度)
たけのこ(水煮)…100g
しめ鯖(市販のもの)…1枚分
ごま油…大さじ1/2
ナンプラー …小さじ1
レモン汁…小さじ1
パクチー…適量

 

【作り方】


1. ゴーヤは縦半分に切ってワタと種を取り、2~3mmの厚さにスライスしたら、下処理の仕方に倣って塩もみして10分おく。

 


2. たけのこは薄くスライス、しめ鯖は7~8mmの厚さに切る。

 


3. 水気を絞った1に、2とごま油、ナンプラー、レモン汁を加えてよく混ぜ、パクチーをのせれば完成。

 

●おかずのようにたっぷりいただけるやさしい味「ゴーヤのおぼろ豆腐スープ」

ゴーヤに豆腐とたけのこを入れ、とろみをつけたスープは、夏風邪をひいたあとの回復食にもなりそうな柔らかな味。ごはんや春雨を入れてボリュームアップしてもおいしそうです。「ゴーヤの食感はありながらも苦味は少ないので、小さな子にも食べやすい味つけです。豆腐を包丁で切らず、ポロポロと崩しながら入れることで、口当たりのいいスープになりますよ」

 

【材料(作りやすい分量)】

ゴーヤ…1/2本(80g程度)
たけのこ水煮…100g
木綿豆腐…150g
ごま油…大さじ1
にんにく…1かけ
合い挽肉…100g
塩…小さじ1
醤油…小さじ1
酒…大さじ1
鶏がらスープ…鶏がらスープ大さじ2を熱湯1000mlで溶く
片栗粉…大さじ2(水大さじ4で溶く)
白髪ねぎ…適量

 

【作り方】


1. ゴーヤは縦半分に切ってワタと種を取り、薄くスライスする。下処理の仕方に倣って熱湯で30秒茹で、水気を切って塩(分量外・小さじ1/2)をまぶしておく。

 


2. たけのこは薄くスライス、豆腐はキッチンペーパーなどに包み10分ほど水気を切る。

 


3. 鍋にごま油をひき、みじん切りにしたにんにくを弱火で炒める。香りが出てきたら挽肉を入れ、パラパラになるよう炒める。水気を切ったゴーヤを加えて炒めたら、塩と醤油、酒で味をととのえる。

 


4. 鶏がらスープとたけのこ、水気を切った豆腐を手で崩しながら加え、フツフツとしたところに水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。好みで白髪ねぎをのせる。

 

暑くて、ただでさえ体力を消耗してしまう夏は、栄養バランスのよい食事で、しっかり体調を整えたいですよね。どちらのレシピも手軽に揃えられる食材で作れるので、ゴーヤが旬のうちにぜひ試してみてください。スープは、冷房で冷えた体もじんわり温めてくれますよ。

 

【プロフィール】

料理家 / 松島由恵

dorathefood主宰。建築業界で長く働いたのち、フレンチレストランでアルバイトしながら料理家の道へ。雑誌の撮影クルーやアパレル企業へのケータリングやお弁当宅配をはじめたところ人気が集まり、現在ではレシピ開発・スタイリングをメインに活動、時折ケータリングも行っている。