アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」。注力しているカテゴリーのひとつが日本酒ですが、また斬新かつユニークなプロジェクトがスタートしました。それが、明治10(西暦1877)年創業の蔵元が岐阜から北海道へ移転するというものです。
リターンとして用意されたアイテムのなかには、新しい酒蔵で「一番最初に仕込んだ」ファーストタンクの日本酒も(※ファーストタンクは好評につき記事執筆時点ですでに受付終了)。プロジェクトの内容とともに紹介していきます。
蔵の老朽化と地球温暖化が課題だった
老舗蔵元の名は、岐阜県中津川市で創業した「三千櫻酒造」。様々な想いを胸に抱き、2020年10月に北海道上川郡東川町へ移転しました。距離にしておよそ1550Km以上にもなります。
しかも引っ越したのは設備だけではありません。三千櫻酒造社長の山田夫妻はじめ、従業員とその家族も一緒に、つまり「三千櫻酒造まるごと全部」が北海道の東川町を新天地と決めたのです。
その背景には、蔵の老朽化と地球温暖化により、今まで通りのやり方で日本酒を造ることが年々難しくなってきたことがありました。140年以上の歴史の重みは壁や屋根にのしかかり、増改築しながら大切に使い続けてきたものの、蔵の維持は常に作り手を悩ませてきました。
また、それ以上に悩みの種だったのは、地球の温暖化の影響などによる「温度上昇」。ここ数年の暖冬続きで想像以上に冷却作業が難しくなり、時間と手間がかかっていたのです。加えて、質の良い酒米はどんどん北上している――そんな状況をいち早く察知し、数年前から北海道産の酒米の可能性を模索。以前から北海道産の米を使った酒造りも始めており、北海道への移転も視野に入れていた矢先、北海道東川町が公設民営型酒蔵を公募しているという話が舞い込んできたそうです。
いまなら新旧飲み比べができる!
「三千櫻酒造」の新天地となった北海道上川郡東川町は、北海道のほぼ中央に位置し、旭岳を筆頭とする大雪山連邦の雄大で美しい景色も魅力。人口は約8000人ほどですが、少しずつ人口が増えており、赤ちゃんや子どもたちが多い元気のある町です。
東川町が目指すまちづくりのキーワードは「適疎(てきそ)」。密過ぎても過疎でも、人は生きにくくなるもの。「適当な疎があること」こそ、人として本来の居場所を持つことができる。そんな考えのもと、自然との共存を大切にした東川町には、とても豊かな時間が流れています。
その「適疎」の象徴ともいえるのが、「3道」、つまり「鉄道」「国道」「上水道」がないことです。中でも「上水道」がない町は全国でも珍しく、そのおいしい水は町の誇りでもあります。
東川町の水は、ゆっくりと長い年月をかけて蓄えられた大雪山の雪解け水を地下からくみ上げています。各家庭の水道の蛇口をひねれば、ミネラル豊富で素晴らしい天然水が惜しげもなく出てきます。
おいしい水と米があれば、おいしい日本酒も・・・と、多くの人が思うなか、残念ながら東川町には「地酒」がありませんでした。かねてから「東川町らしい日本酒」を作りたい。そして東川町民はもちろん、北海道中が、いや、日本が、世界が笑顔になる酒を造り、届けたい! そう切望していたものの、いかんせん酒造りのノウハウがない・・・。そこで2019年、ついに「公設民営型」という全国的にも珍しい形態での公募に踏み切ります。
「公設民営」とは、酒蔵としてのハードの部分は「公」である町が用意する。酒造りや蔵の運営などソフトの部分は、酒造りのプロである民間の酒蔵に一任する。そんなWin-Winの関係です。そこへ名乗りをあげたのが「三千櫻酒造」だったのです。
北の大地に酒造りの可能性を見出した老舗の酒蔵と、「東川町らしい酒を造りたい」と熱い想いを抱いた北海道東川町の出会いは、運命の糸が引き寄せた奇跡なのかもしれません。
プロジェクトは好評のため、いくつかのリターンは受付終了となっていますが、人気のリターンはまだまだ受付中。たとえば、中津川蔵での最後の「愛山(60%磨き純米酒)」と、東川町で新たに醸した「愛山(60%磨き純米酒)」それぞれの違いを飲み比べできる特別なセットなどなど。
まだだれも味わったことがない世紀の瞬間を、Makuakeで体験してみませんか!?
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