10月の酒税改定でビールは値下げ、新ジャンル(第3のビール)は値上げとなりました。この価格差の狭まりでビールの伸長が話題となっていますが、同じく注目されているのがRTD(Ready To Drinkの略)です。なぜなら、RTDは今回の税改訂の対象ではないため、価格は据え置きだから。
ここぞとばかりに各社も目玉となる新商品を投入していますが、そのひとつが10月20日から発売されている「キリン 氷結 無糖 レモン」。ウェブで開催された発表会の情報を踏まえつつ、実際に飲んでみた感想を交えてレポートしたいと思います。
ニーズに対する課題から生まれた「無糖」という新提案
RTDは缶チューハイを最大勢力に、ボトルカクテルなど様々なカテゴリーがありますが、その缶チューハイでも特に有名なブランドが「氷結」でしょう。2001年にデビューし、2020年に20周年を迎えたロングセラーで、独特な「ダイヤカット缶」も「氷結」のアイコンとなっています。
そんな缶チューハイの名門といえる「氷結」ですが、常に進化を続け、2020年9月のリニューアル効果もあって定番フレーバーのシチリア産レモンは年間最高シェアを獲得。
そしてこの上り調子のなか、さらなる飛躍を!と期待されて登場したのが「キリン 氷結 無糖 レモン」なのです。その開発には、多様化する消費者ニーズに対する課題がありました。それはずばり、甘さです。
冒頭で触れたように、ビール類で最も安価だった新ジャンルが値上げされたことによって、据え置き価格のRTDを手にする人は増えています。しかし、そこでハードルとなるのがRTDの甘さ。基本的にビール類は甘くないため、「缶チューハイは自分向けじゃない」「食事に合わせづらい」と感じる消費者も一定数いるのです。
こういった期待に応えてデビューしたのが「キリン 氷結 無糖 レモン」。ブランドならではのみずみずしい果実のおいしさを生かしつつ、甘くない味わいを両立させているのが最大の魅力。実際に飲んでチェックしてみました。
ウマいのはもちろん飽きずに飲み続けられる
まずはアルコール度数の低い4%から。キュッと締まったレモンの酸味が華やぐ、軽やかな飲み心地が特徴。度数の設定は、おいしさに最適な濃度などを探るなかで、4%にたどり着いたとのこと。
次は7%。4%よりもしっかりとした飲み応えを訴求しつつ、キリッと冴えるレモンの果実味も打ち出しています。こちらの度数も、甘さを出さずに自然な果実感を実現しつつ、力強さを訴求した結果7%になったとのことです。
4%と7%、ともに感じたのは無糖なだけにドリンクビリティ(飽きずに飲んでいられるおいしさ)が抜群なこと。また、甘さがないので料理を邪魔しないとも思いました。特にシンプルな塩味系、酸味の効いた料理、スパイシーなテイストと合うのでは、と。発表会では「フライドチキンと好相性」と言っていたので、このペアリングも試してみることに。
これはまさにドンピシャ! 唐揚げなどにレモンをかけてすっきり味わう食べ方はおなじみですが、やはりレモンと揚げ物との相性は抜群です。また開発担当者によると、揚げ物のほかにチーズ系の料理も好相性。意外なところでは漬物や、おにぎりなどのご飯類も、米の味を邪魔しないのでよく合うそうです。
トータルの感想は「さすが氷結!」といえる完成度の高さを感じましたが、無糖という提案自体がヒットするのではと思います。なぜなら、今夏キリンビバレッジから「キリンレモン スパークリング 無糖」が新フレーバーとして登場し、大ヒットを記録したからです。
しかも担当者に聞くと、「キリン 氷結 無糖 レモン」の開発には飲料市場における無糖炭酸の動向などに関してキリンビバレッジの知見を活用したとのことで、まさにガチ。このレモン味のヒット次第で、ほかのフレーバーに無糖が登場することも期待大だといえるでしょう。
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】