これはウイスキーファンへの朗報。いや、もっとそれ以上の、これからのウイスキーファンをたくさん生み出す吉報といえるでしょう。サントリーが、山崎蒸溜所と白州蒸溜所を自宅などから見学できるリモート蒸溜所ツアーを開始しました。
このスタートにあたって、有料ツアーのほうを体験してみました。参加したのは「山崎蒸溜所オンライン・ライブ」。参加費は白州ともに3000円(税抜)となり、なんとテイスティングキット(ウイスキーとグラスなど)付きという非常に良心的な価格です。本稿ではそんなツアーの一部を紹介したいと思います。
オンラインだけの特別コンテンツも
「オンライン・ライブ」の参加手順は、専用の申し込みサイトから予約と決裁を行って完了します。すると後日、メールとセミナー用のテイスティングキットが到着。当日はメールに届いたURLからZoomで参加する流れです。
そして当日。筆者はイントロダクションから引き込まれました。というのも、蒸溜所からではなくその前の山崎駅からスタートして蒸溜所へ向かうのです。
山崎駅は、山崎蒸溜所を語るうえで欠かせません。この地が良質な水と自然環境に恵まれているのはもちろんのこと、駅から徒歩10分という好立地な場所だからこそ多くの人が足を運び、ウイスキーのこだわりや品質を理解する貴重な場所となっています。
そうして「オンライン・ライブ」がスタート。リアルの蒸溜所見学と同様にナビゲーターが進行してくれます。まずはスケジュールの説明から。山崎蒸溜所についての解説、製造工程とつくりのこだわり、テイスティング、おいしいハイボールのつくり方、質問タイムという順番で、約1時間。
ライブというだけあって、一方的に解説を受けるだけでなくZoomの投票機能を使ってアンケートやクイズ形式で質問してくれたり、チャット欄でこちらの質問にも答えてくれたり、コミュニケーションがとれるのも魅力です。
なお、筆者は以前山崎蒸溜所のリアル見学会に参加したことがあるのですが、「オンライン・ライブ」で映し出される映像は臨場感満点。ポットスチル(単式蒸溜釜)があるフロアなど見どころも十分で、現地に行っているような気分に浸れます。
しかも、製造工程の紹介には、通常の工場見学にはないオンラインだけの特別コンテンツも。それがウォッシュバック(発酵槽)内の様子。液体の表面が泡立っているのは発酵の真っ最中で、酵母がしっかり働いている証拠です。
自分史上最高にウマい自家製ハイボールが作れた!
後半はお待ちかねのテイスティング。送られてきたウイスキーとグラスのほか、よりテイスティングを楽しむための常温の水、そしてハイボールのおいしい飲み方を実践しながら観たい人は、ハイボール用の炭酸、氷、マドラーを用意します。
まずはウイスキーをグラスのふくらみぐらいまで注ぎ、色を見てどれぐらい熟成させたかをチェック。このとき、白い紙などを背景にすると正確な色がわかります。南橋さんによると、「シングルモルトウイスキー山崎」は赤みがかった明るい琥珀色が特徴とのこと。
このままストレートで味わってもいいのですが、より香りを楽しむには常温の水を一対一で注ぐことがオススメ。アルコールの刺激がやわらぎ、香りが開いてストレートでは隠れていたフレーバーが感じられ、さらに個性を楽しめるのです。
そしてひと口。ここはゴクッといくのではなく、舌の上で広げるように楽しむのがコツ。そして飲み込んだあと、口に残る余韻や鼻に抜けるアロマを感じます。甘くなめらかで、果実のようなニュアンスも浮かび上がります。ナビゲーターの方曰く「ブレンダーは、さくらんぼやいちごのようと例えますね」とのこと。
小さい氷はすぐとけて水っぽくなるため、大きい氷を用意してグラスへ。はみ出るぐらいでOKだそうです。そして配合は、ウイスキー1に対してソーダが3から4。まずはウイスキーだけ注ぎ、マドラーで10回かき混ぜしっかり冷やします。すると氷が目減りするので、そのぶんの氷をおぎない、いよいよソーダを入れます。
最後の仕上げはマドラーでやさしく、なじませるように1回転。これで完成です。味わってみると、爽快ながらまろやかな甘味やリッチで香ばしい果実味があって思わず「ウマッ!」と声が出るおいしさ。家で山崎を飲むのがかなり久しぶりというのもあるのですが、もったいなくてそもそもハイボールで飲んでいなかったような。レクチャーのおかげもあって、これまでで一番おいしい自家製ハイボールが作れたと思いました。
なお「オンライン・ライブ」は現在土日と平日の一部で開催されています。ただ各回定員100名で人気も高いことから、3月分はほぼ完売。翌月分の予約を第1営業日の10時から行うので、次は3月1日を要チェックです。
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