今年3月、キリンビールから新発売されたクラフトビール「SPRING VALLEY 豊潤<496>」(以下「スプリングバレー」)の売り上げが絶好調。発売から2か月で、早くも57万ケースを突破する大ヒットを記録しています。その要因について、「キリンビール クラフトビール好調発表会」の内容をもとに、解説していきましょう。
「うまい!」と唸らせる「スプリングバレー」の味わい
「スプリングバレー」とは、キリンビールが生んだ渾身のクラフトビール。味の重厚感や、鮮烈な香り、濃厚なコク、程よい苦味といったバランスがよく整えられている商品です。飲んだ瞬間に思わず「うまい」と唸ってしまうほどの味わい。今後、ビール市場全体を活性化させる存在になることが期待されています。
トップ水準の高評価。売り上げ好調の要因とは?
「スプリングバレー」の価格は350mlで248円(税抜)と国産ビールとしてはやや高め。それでも売り上げが好調な理由は大きく2つ挙げられます。1つは、前述のように飲んだ瞬間に「うまい」と思わず唸ってしまう味わいです。
キリンビールの調査で評価が非常に高く、過去のビールの中でもトップレベルの水準。スプリングバレーを体験した人からは「普通のビールとは一味違ったおいしさを感じる」「今まで色々なビールを飲んできたが、これが一番おいしいかも」「缶ビールでこの味を出せるなんて本当にすごいと思った」といった、クラフトビールならではのおいしさに感動している声が多数寄せられていました。
2つ目は、コロナ禍の環境変化によって市場にも変化が起きていることが挙げられます。約40%の人が「自宅での食事に、普段よりもお金をかけることが多くなった」というキリンの調査結果があるように、消費者の行動スタイルが変わってきており、高付加価値を求める消費者が増加傾向にあります。コロナ禍で自宅時間の充実志向が高まったことで、「どうせ飲むなら、おいしいものを飲みたい」というニーズが高まっていると言えるでしょう。
拡大の兆しが顕著なクラフトビール市場
クラフトビール市場全体の2021年1月から4月までの販売量は、「スプリングバレー」の発売をキッカケに、前年比で約2倍に大きく拡大してるといいます。また、クラフトビールの間口も「スプリングバレー」の発売を機に急速に拡大し、今までクラフトビールを飲んでいなかった人で「スプリングバレー」を飲んで好きになったという人も、数多いとか。それは、今後のクラフトビールマーケットがさらに拡大する兆しと言えるでしょう。
この結果を受け、布施社長は「この商品の発売後、クラフトビールの広がりに手応えを感じています。もっと多くのお客様に手に取ってもらえるように、最盛期に向けて全社力を入れて、拡大していきたいと考えております」と力強く“クラフトビール拡大“を宣言。具体的な目標として、現状のクラフトビール市場の規模を来年までに1.5倍にすることを掲げました。
熱い思いが、クラフトビールの未来を明るくする
発表会の第2部では、日本ビアジャーナリスト協会代表 藤原ヒロユキさん、世嬉の一酒造 代表取締役社長 佐藤航さん、コエドブルワリー 代表取締役社長 朝霧重治さん、キリンビールのマスターブリュワー 田山智広さんが登壇し、トークショーが行われました。
醸造しているクラフトビールへの熱量や、クラフトビールへの愛情など様々な話が展開され、最後の締めで田山さんが、クラフトビールの明るい未来への展望を語りました。
「ここにいる全員の思いは同じです。ビールを愛しているし、感動体験を味わってもらいたいパッションがあります。キリンビールは、こういったパッションや個性に負けることなくクラフトビールの明るい未来を築いていきたいと思っております。本当にクラフトビールはビールで感動できる商品だと思っていますし、一人でも多くの方にクラフトビールを知っていただいて、早くこの世界に入ってきてもらいたいです」(キリンビール・田山さん)
キリンビールのスプリングバレーもさらに商品に認知、飲用体験の機会を作るために、テレビを通じた大規模な広告投入や、約130万人にサンプリングを行う実施する計画をするなど、市場活性化へ動き始めているそうです。
これから、さらに熱くなるであろうクラフトビール市場から目が離せません。