2015年の国連サミットで採択されたSDGs(「Sustainable Development Goals」=持続可能な開発目標)の、認知や共感は年々広がっています。今回ではそのSDGsに関連した、ワインの興味深いトピックをレポートします。
いずれ国内ワイン市場はオーガニックが中心に?
SDGsには17の目標が掲げられていて、中でもワイン醸造と深く関係しているのが12番目の「つくる責任 つかう責任」。具体的には「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」というもので、ワイン業界ではぶどうの栽培から醸造に至るまで、自然の恵みや営みを生かしたものづくりにいっそう注目が集まっています。
この、自然との共生を目指して造られているのがオーガニックワイン。オーガニックカテゴリーの中でもぶどうの農法によって2つに分けられ、化学的な添加物を一切禁止し自然由来の肥料だけで栽培したぶどうを使う「オーガニック」。もう一つは、オーガニックワインの特徴に加え、月の満ち欠けで収穫日を決めるなど、土壌の生命力を活用したぶどうで造る「ビオディナミ」があります。
また、オーガニックワインとまでは言わないものの、無農薬・減農薬のワイン「リュット・レゾネ」というカテゴリーもあります。
そして、日本のオーガニックワインを取り巻くシーンのなかで興味深いポイントが、特に20代で人気が高まっていること。一般的には“若者の酒離れ”が叫ばれていますが、オーガニックワインに関しては、この定説は当てはまっていません。このことは調査でも明らかになっています。
オーガニックワインの購入層を金額ベースで見れば、50代以上が年代別構成比の7割以上を占めています。とはいえ、このまま若年層の間でオーガニックワインを積極購入する動きが広がり続ければ、やがて日本のワイン市場はオーガニックが中心になると考えられます。
一般的に、オーガニックワインはそうでないワインに比べて高価格な傾向があります。一方、20~50代の収入を年代別で見れば、高年齢層の方がお金持ちというのも周知の事実でしょう。つまり、ある意味20代は上の世代より、無理をしてでもオーガニックワインを選んでいるということです。それはなぜでしょうか?
エシカルな食は味の満足度も高いことを実感
20代が上の世代よりもオーガニックワインを好む、大きな理由の一つと言われているのが教育。教育をきっかけにSDGsが若年層に浸透し、サステナブルでエシカルなライフスタイルが好まれる傾向にあると言われているのです。
エシカルという言葉は、よく「エシカル消費」として用いられ、これは地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動のこと。冒頭で述べたSDGsの「つくる責任 つかう責任」にも関係しています。
オーガニックワインは味わいも魅力的。むしろオーガニックワインが支持される最大の理由は、おいしいからだと個人的には思います。味の基準は主観的な要素を含みますが、筆者の聞く限りでは「オーガニックはウマい」「オーガニックはハズレがない」という声ばかり。ということで、「カノン・デュ・マレシャル ロゼ」も飲んでみました。
セミナーでは、魚介を使った料理やマリネなどが好マリアージュということだったので、オススメレシピで一品作って合わせてみました。メインに使った食材は「産直tabeloop」で届いた脇口水産の商品「海の生ハム」です。
「産直tabeloop」は、フードシェアリングプラットフォーム「tabeloop」が2020年にローンチ。おいしくて安全な国産の一次生産品を、家庭の食卓に産地から直送してくれる新サービスです。2030年までに食品ロスを半減し、貧困層における飢餓を撲滅するという「tabeloop」の理念にメルシャンが共感。本稿のセミナーや消費者向けキャンペーン(5月9日に終了)が実施されました。
「海の生ハム」は、マグロ水揚げ量日本一の和歌山・那智勝浦(なちかつうら)漁港で揚がった天然・活締め・高鮮度・高品質のカジキマグロを選別。完全無添加で塩と昆布のみを使用し、自然の旨味を凝縮させた生ハムです。食べてみるとスモークサーモンより上品な旨味と、引き締まったスモーク香があり、繊細なロゼワインとドンピシャでした。
世界的にSDGsへの共感が高まる中、エコやリサイクル、地産地消や生産者応援などに、積極的に取り組むようになった人は多いはず。次にワインや食材を選ぶ際には、オーガニックや「産直tabeloop」のことを思い出して、手に取ってみてはいかがでしょうか。