長く家で過ごしていると、普段の食事でも“イベント感”のあるごはんが食べたくなりますよね。そんななか、キャンプブームも相まって注目されているのが「ホットサンドメーカー」。残りもののおかずも、ちょっと挟んで加熱するだけで、おいしくかわいく“リメイク”できる、便利なキッチンツールです。
今回は、料理家の今井真実さんにホットサンドメーカーの楽しさなどメリットと、タイプ別の選び方を解説していただきながら、3種類のホットサンドメーカーを使った3つのごちそうレシピを教えていただきました。
ホットサンドメーカーのメリットは?
ホットサンドメーカー自体は以前からありましたが、最近はコンパクト設計のものが続々と登場し、ひとり暮らしをしていたり、キッチンツールを増やしたくないという人からも人気を集めています。
“アウトドアごはん”のイメージが強いものの、もちろん家で楽しむこともできます。電気式ならスイッチひとつでできあがるので、バタバタした朝のごはんにもぴったり。直火式ならカセットコンロを持っていってベランダで調理、というシチュエーションに、非日常感が味わえて楽しいですよね。
そしてホットサンドメーカーの最大の魅力は、和洋の食材を問わず、何でも挟めばおいしくなること! きんぴらごぼうやポテトサラダなどの残りものはもちろん、チョコレートやバナナなどのスイーツも、カリッと香ばしいパンに挟むだけで、サンドイッチとは異なるおいしさを感じられます。
「挟む食パンを8〜10枚切りの薄いものにすると、カリッと感が増し、スナックのように食べられます。お腹がすいているわけではないけれど、おつまみとして食べたいときや、食欲はないけれど何か口にしたい、そんなときなどにちょうどいいですね。4〜6枚切りの厚めなら、外側はカリッと、中はふっくらとして食べ応えがあり、柔らかいパンのおいしさも感じられます。こちらは夕飯にしたり、お弁当として持っていってもいいと思います。冷めてもこんがり焼けた香りがしておいしいですよ」(料理家・今井真実さん、以下同)
「電気式」と「直火式」、選ぶべきはどっち?
ホットサンドメーカーには、電気で温めて作るタイプと、直火で焼くタイプがあります。また、パンを2枚入れてひとつのホットサンドを作るタイプや、4枚使って2つを一度に作れるもの、1枚を折りたたんでサンドするタイプなども。
・電気式ホットサンドメーカー
「家電タイプは、タイマーがかけられるものが多いので、スイッチを押してしまえば、あとはほうっておくことができます。朝の忙しいときにはセットしておいて他の支度をする、ということができて便利ですよね。両面が一度に焼けるので、家族の分などたくさん焼くときに向いています」
・直火式ホットサンドメーカー
「一方、直火式は火で焼くので、片面ずつひっくり返す必要があったり、火加減を見るなどの手間がかかります。でも、自分好みの焼き加減に調整することができ、電気式よりコンパクトなので収納にも困りません。丸ごと洗えるので、お手入れも楽ですね。また、直火式は、アルミや鉄といった熱伝導率が高い素材で作られたものが多く、一気に焼き上げられるので、パンの水分を飛ばしすぎずにしっかりカリッと焼くことができるんです」
シーン別・今すぐ食べたいホットサンドレシピ3
ここからは、今井さん考案のホットサンドレシピを3つ紹介していただきます。
1. お腹がすいたときにガッツリ食べたい、牛肉をぎゅぎゅっと挟み込んだ「ビーフマッシュルームホットサンド」
2. おつまみや朝ごはんに食べたい「桜海老とパセリのピザ風サンド」
3. おやつにぴったりの、食パンの外側にごまをつけて香ばしく焼いた「あんごまサンド」
次のページで、1つずつレシピをチェックしていきましょう。
提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」
1. ザワークラウトでアメリカンダイナーの味「ビーフマッシュルームホットサンド」
3枚も挟んだチェダーチーズが、とろりと溶けるホットサンド。酸味のあるザワークラウトとピクルスを加えることで、まるでダイナーで食べるような外食の味に仕上がります。
「ザワークラウトは、千切りのキャベツでも代用できます。ただ、ザワークラウトには発酵した独特の風味があり、これがぐっと本格的な味にするポイントなので、できれば準備していただきたいですね。このレシピでは牛肉とマッシュルームを先に焼いておく手間がありますが、手間をかけただけのおいしさを感じられるはず」
【材料】
・牛切り落とし……70g
・マッシュルーム……2枚
・食パン(8枚切り)……2枚
・スライスチェダーチーズ……3枚
・ピクルス薄切り……8枚
・ザワークラウト(水気を絞る)……15g
・ケチャップ……適量
・ホットサンドメーカー
イタリア商事「バウルー(シングル)」
4500円+税
直火式。なんと1970年代に初代が発売された、ホットサンドメーカーの定番。熱伝導熱が高いアルミ製で、焼きムラなくこんがり仕上がります。フッ素樹脂加工が施されているので、焦げつく心配もありません。シンプルな作りで挟みやすく、ボリューミーな具材でもしっかり挟めます。
【作り方】
1. 牛肉とマッシュルームをフライパンで焼き、軽く塩を振る。
「それぞれにしっかり焼き色がつく程度に焼いてください。マッシュルームは水分を飛ばしたいので、強めの火で炒るように焼きつけましょう。牛肉はもしなければ、ハムでもおいしくできますよ」
2. ザワークラウトとピクルスの水気を絞っておく。
「ホットサンドをカリッと仕上げるポイントは、具材の水気をしっかり切っておくこと。ザワークラウトとピクルスは絞ってペーパーなどで軽く拭きましょう。水気があると、パンが水分を吸ってベチャッとなってしまうこともあります。ただ、多くのホットサンドメーカーはそうならないように工夫して製造されているので、そう神経質にならなくても大丈夫です」
3. 食パンの片面にケチャップを塗る。
「パンの中央にケチャップを塗っていきましょう。チューブのまま絞り出してもかまいません。上にのせる方のパンにも、同様にケチャップを塗っておきます。お好みでマヨネーズを加えてもおいしいですよ」
4. ホットサンドメーカーに食パン1枚をセットし、チーズ1枚、マッシュルーム、牛肉、ピクルス、ザワークラウト、チーズ2枚の順にのせる。
「チーズはパンと具材をつなぐ接着剤の役割もしています。チーズがない具材を挟むときは、パン同士が剥がれやすくなるので、食べやすさを求めるならチーズを入れてみてくださいね」
5. 最後に食パンをのせて挟み、弱目の中火で2分ずつ裏返しながら合計8分焼く。
「中の具材に火を通すためではないので、パンの焼き色がちょうどよくなったら完成です。焼き色がどのくらいついているか、確認しながら焼いていきましょう。焼き時間は目安なので、火力によって前後します。カセットコンロの場合、キッチンのコンロよりも火が強いことがあるので、様子を見ながら焼いてください。
また、注意したいのは、一度使ったあと2枚目を焼くとき。ホットサンドメーカーが余熱された状態からスタートするので、焼き上がりが早くなります」
完成
具材の密度が濃くなり、それぞれの味が重なり合った味に。たっぷり入れた牛肉は満足感が高く、パンなのにしっかり食事をした気分にさせてくれます。お肉やチーズばかりになりがちなホットサンドに、発酵食品であるザワークラウトやピクルスが入って、野菜がとれるのもいいですね。
2. サクサクでワインがすすむ「桜海老とパセリのピザ風サンド」
桜海老が香り立つ、おつまみ感覚のホットサンドです。たっぷり入れたパセリはプレスされて食べやすく、パセリ独特の青くささを感じません。
「桜海老とパセリで栄養もしっかりとれる上、サクサク食べられるレシピです。朝ごはんのメニューにしてもいいですし、夜食やおつまみにもぴったりの味。干した桜海老は保存食として常備しておけるので、アウトドアにも持っていきやすく、思いついたときに作れる手軽さがあります。トマトピューレに桜海老を混ぜて塗っただけでも、十分おいしいんですよ」
【材料】
・干し桜海老……大さじ2
・トマトピューレまたはトマトソース……大さじ2
・食パン(8枚切り)……2枚
・パセリ(みじん切り)……10g
・スライスモッツァレラチーズ……2枚
・にんにく(チューブでも可)……1片
・オリーブオイル……大さじ2
・ホットサンドメーカー
イデアインターナショナル「BRUNOホットサンドメーカー(シングル)」
6000円+税
電気式。10分のタイマーつきなので、セットしておけば両面とも焼けます。電気タイプのものの中ではコンパクトで、電気コードを巻いて収納できるような設計になっているのが便利。鯛焼きやワッフルなどの鉄板が別売りされており、鉄板を替えるだけでいろいろなものを焼けるのも魅力です。
【作り方】
1. 干し桜海老とトマトピューレを混ぜる。
「桜海老にピューレを吸わせることで、桜海老がふっくらします。ピューレの水分も桜海老に吸ってもらえるので、しらす干しやドライフルーツなどを挟むときにも、先にソースと混ぜておくといいですよ」
2. オリーブオイルににんにくを浸しておき、食パンに塗る。
「オイルに浸けてあったにんにくをハケ代わりにして、食パンに刷り込むようにしてオイルを塗っていきます。ガーリックトーストを作るときにも、この方法がおすすめです」
3.食パン、チーズ、桜海老のトマトソース、パセリ、チーズ、食パンの順に重ねる。
「パセリは落ちないよう中央に山を作るようにのせて、その上からチーズで覆って挟みます。パンの耳がホットサンドメーカーから出ないようにサイドを確認して、箸などで押し込みながら蓋を閉めましょう」
4. タイマーを4分にセットして焼く。
「耳がぎゅっとプレスされてカリカリに仕上がるのが、このBRUNOのホットサンドメーカーの特徴。具材をのせるときは、それを考えて中心にのせるようにしましょう」
5. 包丁で半分にカットする。
「盛り付けのときはカットした状態でもOK。パンを包丁で押しつぶしてしまわないよう、よく研いだ包丁の先を使い、サクッと刃を入れていきます」
完成
パンの耳と具材のあるところ、両方の楽しみがあり、なんとも桜海老が香ばしい一品です。加熱することでパセリのごわごわした食感はなくなり、ほろ苦さだけがふんわりと口に広がります。桜海老とトマトのソースは、覚えておくといろいろなレシピで応用できそうです。
3. 食パンがおだんごみたいにもちもち!「あんごまサンド」
あんこがたっぷり詰まったあんごまトーストは、画期的な発明レシピ。なんと内側ではなく、食パンの外側にごまとバターを塗って焼きます。
「ごまだんごのようなものが作りたくて考えてみました。ごまが直接ホットサンドメーカーに当たって焼けるので、香りがぐんとよくなり、バターも塗っているのでカリカリ感が増します。なんだか食パンなのにおだんごを食べているみたいな食感で楽しんでいただけます」
【材料】
・いりごま……大さじ2
・バター……10g
・砂糖……小さじ2
・食パン(6枚切り)……2枚
・つぶあん(市販品)……適量
・ホットサンドメーカー
イタリア商事「バウルー(ダブル)」
4500円+税
シングルと同じ直火式。こちらもアルミ製で、中央に仕切りがあるので、左右で違う具材を入れることもできます。仕切りのないシングルは食パンがふっくらと仕上がり、ダブルは中心でプレスする分、こんがりカリッと焼き上がります。
【作り方】
1.ごまとバターと砂糖をすり鉢に入れ、ごまをすりながら材料を混ぜる。
「すりごまを使うより、こうしてすったほうが香りがよくなります。砂糖とバターが入ってしっとりするので、よく混ぜていきます」
2. 食パン2枚の片面に1をしっかりと押さえながら塗る。
「塗るだけではごまが剥がれてしまうので、パンが潰れるくらいしっかりと指で押してごまペーストを馴染ませます」
3. ホットサンドメーカーに食パンを入れてあんこをはさみ、両面2分ずつ中火で焼く。
「ごまを塗った面を外側にして食パン1枚をセットしたら、あんこをのせます。もう一方の食パンも、ごまが外側にくるようにのせて挟みます。仕切りがあるので具材が出てしまわないよう、再度を確認しながら挟みましょう」
4. 焼き色を確認する。
「しっかりと焼き色がついていたら完成です。仕切りのところでカットしていただきましょう」
完成
食べた瞬間に新しさを感じるホットサンドは、外側がカリッとしているのに、食パンの内側はふっくらしているので、まさに揚げたごまだんごを食べているような食感。レトルトのあんこを用意しておけば、いつでも作れそうですよね。
最後に、上で取り上げた3点以外にまた違った楽しみを味わえる、編集部おすすめのホットサンドメーカー2モデルを紹介します。
提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」
編集部が選ぶ、おすすめホットサンドメーカー
最後に、上で取り上げた3点以外に、また違った楽しみを味わえるホットサンドメーカーを紹介します。
・1枚のパンを折りたたんで焼き付ける直火式
直火式。1枚のパンを折りたたむことでサンドする画期的な商品。ちょっとだけ食べたい! という願いも叶えてくれます。食パンを折りたたんでもパンが割れることがないようにするのが、このホットサンドメーカーを開発する上でもっとも大変だったそう。サンドしたときにパンがズレないので、ボリューミーな具材を入れても挟みやすいのが魅力です。
燕三条キッチン研究所「4w1h ホットサンドソロ」
4500円+税
・焼印がかわいい! 2分半で仕上がる電気式
かわいい焼印がつくのが楽しい、電気式のホットサンドメーカー。イエローの他にブラッドとブルームピンクがあり、キッチンに置いておくだけでもテンションが上がりそうです。熱伝導に優れ、固定式のプレートで、なんと2分半でこんがり焼けてしまうので、急いでいるときにもぴったり。従来品よりプレートが深くなったので、具材もたくさん挟めます。
レコルト「プレスサンドメーカー プラッド (スマイルイエロー)」
4500円+税
コンパクトで収納しやすいホットサンドメーカーがあれば、日常の食事作りにもサッと出せて使い勝手がよさそう。紹介したホットサンドメーカーには、品薄状態が続いているものもあるので、お早めにチェックを。
【プロフィール】
料理家 / 今井真実
神戸市生まれ。レシピ開発、調理に携わる。梅仕事、味噌作りの料理教室も季節ごとに開催。現在は宮崎県都農町のPRとして、月に一度のオンラインレッスンも行っている。作る人が楽しく、何度も作りたくなる、毎日を回すレシピを提案している。