課題は絵を描くためのちょうどいい固さだった
新作となる注目商品が「おえかきカレーペン」です。これはカレーがチューブに入った商品で、9月1日からLOHACO(ロハコ)で数量限定発売されています。こちらの開発も一見、カレーのパッケージを変えればいいだけと簡単そうに見えますが、実現までにはなんと3年もかかったのだとか。
「『おえかきカレーペン』は、当社の幅広い部署からのべ10名が参加し2017年10月に発足した新製品開発プロジェクトチーム『ゼロイチ(ゼロからイチを生み出す!)』から生み出されました。消費者8名×2時間の計16時間のインタビューから、着目すべき370個の発言を分析した結果、子どもの『食前食』『食事前の過ごし方をデザインする』という切り口に着目。私自身、3歳と1歳(2017年時)の子どもがおり、一緒に楽しく過ごせたらと思っていました。そうしてアイデア会議を重ねるなかで出たのが『おえかきカレーペン』の原型です」(濱洲さん)
試作品ができ上がったものの、絵を描くためのちょうどいい固さにするための試行錯誤が苦労だったと濱洲さんは言います。
「最初は息子に使ってもらったのですが、固くて思うように描けませんでした。そこで緩める調整をしたところ、絞り出しやすくはなったのですが、描いたソースがゆるすぎて絵がくずれてしまい作品が台無しに。その後社内の様々な年齢のお子さまに試していただき、使っている様子を動画撮影してきてもらいました。子どもたちの絵の描き方、力の入れ具合などを映像で観察し、最適なソースの固さを決定。力の弱い子でも出しやすく、描いた絵が崩れない粘性を実現しました」(濱洲さん)
商品のインプレッションは、筆者のほうも子どもにお願いすることに。まずはご飯の上に書いてもらいました。固すぎずやわらかすぎず、スマートに描けたようで満足気です。
次はパンでお試し。ご飯より吸水率が高そうな食パンでも、チョコペンのように自由に描けたそうで、大きな失敗はありませんでした。
味見は筆者が行ったところ、大人でも違和感なく食べられるおいしさ。甘口なので辛さはないもののスパイスの香りはあり、フルーティなうまみとほのかな酸味、余韻に残る甘やかなスパイシー感は、さすがはカレーの名門・ハウス食品だと思いました。
ユニークなカレー商品としてはカルディの「ぬって焼いたらカレーパン」も大ヒットになりましたが、子どもが喜ぶという点では「おえかきカレーペン」に軍配が上がるはず。気になる人は、なくなる前にLOHACOでゲットを。そして改めて今回、ハウス食品の攻めの姿勢に唸らされました。今後もチャレンジングな動向を追っていきたいと思います。
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