4:ラグジュアリーSAKE
日本酒が減税されることに触れましたが、一方で高価格帯の日本酒も伸長しています。背景には造り手の情熱やブランディング、また消費の二極化や飲み手の多様化、そして何より海外で日本酒がSAKEとして人気を博していることが挙げられます。
↑ラグジュアリーSAKEのパイオニアといえば「SAKE HUNDRED」。限定品の「思凛 with 深林の香り木」は、ミズナラ熟成樽の香りを移して楽しむことができるのも魅力です
海外進出については別の事情も。というのも、日本酒は新規製造が認められておらず、既存酒蔵の買収か継承かをしなければ参入できない業界です。ただ、2021年に輸出用商品の製造に関しては規制緩和となり、輸出用のSAKEを造りはじめる若手蔵元も誕生。
↑2021年から海外向け日本酒を造っている「LAGOON BREWERY」のどぶろく。同社の日本酒(清酒)は国内で買えませんが、どぶろくなどは飲めます
話を戻しましょう。2023年は徐々にインバウンドも回復し、海外観光客がラグジュアリーSAKEを飲んだりお土産に買ったりする機会も増えるはず。高級なぶんおいしくて飲みやすいのも間違いないので、特別な日にはぜひラグジュアリーSAKEを。
5:クラフトサケ
ラストも日本酒関係のトピックを。前述した新規参入へのハードルが、かえって様々なイノベーションを生み出しており、ユニークな「クラフトサケ」が続々誕生しています。これは日本酒の製造技術をベースに、お米を原料とした新しいジャンルのお酒のこと。例えば、先日紹介した「ネオどぶろく」もそのひとつで、上記「LAGOON BREWERY」のどぶろくも含まれます。
↑ユニークな「クラフトサケ」の例が、秋田「稲とアガベ」の「稲とアガベ」。テキーラやメスカル(テキーラの仲間で、広義ではテキーラもメスカルの一種)の原料であるアガベから精製されるシロップと米、米麹を一緒に発酵させたお酒です
「稲とアガベ」は「稲とホップ」や「稲と麹」などもつくっていますが、注目のつくり手はほかにも。個人的に注目しているのが広島の「ナオライ」が手掛けた、日本酒でも焼酎でもない第三の和酒「浄酎」です。
↑樽熟成の有無や長さにより、繊細な風味がバリエーション豊かに広がるのも「浄酎」の魅力
「浄酎」は、40℃以下という日本酒が変性しない低温の蒸溜技術により、日本酒由来の豊かな香りと風味をそのままに、常温で長期保存できるおいしさを実現したお酒。米焼酎とはまた違った魅力を楽しめる新時代の和酒なのです。
筆者としては、これら各カテゴリーをはじめ今年も注目酒の最新トレンドを追いかけていきたいと思います。
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↑本稿で紹介している銘柄や、関連あるカテゴリーのお酒を一堂に ↑財務省の資料より。内訳はビール350mlあたり6.65円、日本酒350mlあたり3.5円減額に。一方で新ジャンル(第3のビール)とワインは増額となります ↑左が「ビアボール」。中央は三重が誇るクラフトの雄・伊勢角屋麦酒の「ミニマルC」で、アルコール2%。おなじみ「ビアリー」にも0.5%のIPAスタイル(右)が限定で出るなど、注目です ↑54本セットがオークション額約1億円で落札され話題となった、「イチローズモルト」(秩父蒸溜所)のカードシリーズ(このシリーズは羽生蒸溜所)一部。「イチローズモルト」は品評会授賞酒の常連でもあります ↑もちろん「山崎」も品評会授賞酒の常連。ノンエイジ(左端)の上部ラベルには「SINCE1923YEAR」と書かれています ↑2022年10月4日に発売された、タカラ「辛口ゼロボール」 ↑サントリー「のんある晩酌 ハイボール ノンアルコール」は12月6日に数量限定発売。通年販売してほしいレベルの、高い完成度です ↑ラグジュアリーSAKEのパイオニアといえば「SAKE HUNDRED」。限定品の「思凛 with 深林の香り木」は、ミズナラ熟成樽の香りを移して楽しむことができるのも魅力です ↑2021年から海外向け日本酒を造っている「LAGOON BREWERY」のどぶろく。同社の日本酒(清酒)は国内で買えませんが、どぶろくなどは飲めます ↑ユニークな「クラフトサケ」の例が、秋田「稲とアガベ」の「稲とアガベ」。テキーラやメスカル(テキーラの仲間で、広義ではテキーラもメスカルの一種)の原料であるアガベから精製されるシロップと米、米麹を一緒に発酵させたお酒です ↑樽熟成の有無や長さにより、繊細な風味がバリエーション豊かに広がるのも「浄酎」の魅力