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2023/1/8 11:20

今秋絶対に「ビール」が爆売れする理由。2023年に起こる「お酒トレンド」5つ

2023年は秋にビールと日本酒に追い風が吹き、ウイスキーもアニバーサリーイヤーです。それらの理由とともに、2023年のお酒トレンドを5つのキーワードで解説します。

 

↑本稿で紹介している銘柄や、関連あるカテゴリーのお酒を一堂に

 

1:ビールと日本酒が減税へ

まずはビールと日本酒の追い風について。こちらは2018年の酒税法改正で決まったものとなり、お酒の種類によりますが、基本的に3段階で変更されます。すでに2020年にはビールと日本酒の税額が引き下げられており、2023年はその第二弾という位置付け。10月1日からスタートします。

↑財務省の資料より。内訳はビール350mlあたり6.65円、日本酒350mlあたり3.5円減額に。一方で新ジャンル(第3のビール)とワインは増額となります

 

とりわけ多くの人が日常的に飲むであろうビール減税はインパクトが大きく、話題作も登場するはず。いまのところ個人的に注目しているのは、昨秋全国発売され好調に売れている「ビアボール」と、フレンドリーな「低アルクラフトビール」です。

 

↑左が「ビアボール」。中央は三重が誇るクラフトの雄・伊勢角屋麦酒の「ミニマルC」で、アルコール2%。おなじみ「ビアリー」にも0.5%のIPAスタイル(右)が限定で出るなど、注目です

 

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2:ジャパニーズウイスキー誕生100周年

ウイスキー業界のなかでも実に元気なのがジャパニーズウイスキーです。そもそも世界的にウイスキーブームであることと、海外の品評会で世界一と評価される日本の銘柄が、近年増えていることなどが挙げられます。特に日本では2014~2015年の朝ドラ「マッサン」が起爆剤になったことも見逃せません。

↑54本セットがオークション額約1億円で落札され話題となった、「イチローズモルト」(秩父蒸溜所)のカードシリーズ(このシリーズは羽生蒸溜所)一部。「イチローズモルト」は品評会授賞酒の常連でもあります

 

「マッサン」はジャパニーズウイスキー誕生の物語となっているわけですが、その国内蒸溜所第1号がサントリー(当時は寿屋)の山崎蒸溜所で、開設は1923年。つまり今年はジャパニーズウイスキーの誕生100周年にあたり、話題性も十分なのです。ちなみに「マッサン」主人公でニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝氏や、「イチローズモルト」の肥土伊知郎氏も寿屋/サントリー卒業生。

↑もちろん「山崎」も品評会授賞酒の常連。ノンエイジ(左端)の上部ラベルには「SINCE1923YEAR」と書かれています

 

ジャパニーズウイスキーは各社どの銘柄も大人気で、特にシングルモルト(単一蒸溜所のモルト原酒のみでつくる)は希少ですが、モルトバーに行けば「イチローズモルト」や「山崎」も高確率で飲めるはず。ぜひ味わってみてください。

 

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3:進化し続けるノンアルコールドリンク

前述した「低アルクラフトビール」が増えている背景には、嗜好の多様化に加えて健康志向やソバーキュリアス(お酒をあえて飲まないライフスタイル)の浸透などが関係。それを受けて、ノンアルコールドリンクもいっそう進化していくでしょう。最近の商品で、その進化を実感させてくれたのがタカラ「辛口ゼロボール」。もうひとつはサントリーの「のんある晩酌 ハイボール ノンアルコール」です。

↑2022年10月4日に発売された、タカラ「辛口ゼロボール」

 

どちらもアルコールは0.00%ながら、まるでお酒を飲んでいるかのような満足感があって完成度が抜群です。また甘さがなく爽快感はバッチリなので、食事に幅広く合うのもうれしいポイント。2023年も、このように違和感がなくておつまみが進む新作ノンアルドリンクが登場することでしょう

↑サントリー「のんある晩酌 ハイボール ノンアルコール」は12月6日に数量限定発売。通年販売してほしいレベルの、高い完成度です

 

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4:ラグジュアリーSAKE

日本酒が減税されることに触れましたが、一方で高価格帯の日本酒も伸長しています。背景には造り手の情熱やブランディング、また消費の二極化や飲み手の多様化、そして何より海外で日本酒がSAKEとして人気を博していることが挙げられます。

 

↑ラグジュアリーSAKEのパイオニアといえば「SAKE HUNDRED」。限定品の「思凛 with 深林の香り木」は、ミズナラ熟成樽の香りを移して楽しむことができるのも魅力です

 

海外進出については別の事情も。というのも、日本酒は新規製造が認められておらず、既存酒蔵の買収か継承かをしなければ参入できない業界です。ただ、2021年に輸出用商品の製造に関しては規制緩和となり、輸出用のSAKEを造りはじめる若手蔵元も誕生。

↑2021年から海外向け日本酒を造っている「LAGOON BREWERY」のどぶろく。同社の日本酒(清酒)は国内で買えませんが、どぶろくなどは飲めます

 

話を戻しましょう。2023年は徐々にインバウンドも回復し、海外観光客がラグジュアリーSAKEを飲んだりお土産に買ったりする機会も増えるはず。高級なぶんおいしくて飲みやすいのも間違いないので、特別な日にはぜひラグジュアリーSAKEを。

 

5:クラフトサケ

ラストも日本酒関係のトピックを。前述した新規参入へのハードルが、かえって様々なイノベーションを生み出しており、ユニークな「クラフトサケ」が続々誕生しています。これは日本酒の製造技術をベースに、お米を原料とした新しいジャンルのお酒のこと。例えば、先日紹介したネオどぶろくもそのひとつで、上記「LAGOON BREWERY」のどぶろくも含まれます。

↑ユニークな「クラフトサケ」の例が、秋田「稲とアガベ」「稲とアガベ」。テキーラやメスカル(テキーラの仲間で、広義ではテキーラもメスカルの一種)の原料であるアガベから精製されるシロップと米、米麹を一緒に発酵させたお酒です

 

「稲とアガベ」は「稲とホップ」「稲と麹」などもつくっていますが、注目のつくり手はほかにも。個人的に注目しているのが広島の「ナオライ」が手掛けた、日本酒でも焼酎でもない第三の和酒「浄酎」です。

↑樽熟成の有無や長さにより、繊細な風味がバリエーション豊かに広がるのも「浄酎」の魅力

 

「浄酎」は、40℃以下という日本酒が変性しない低温の蒸溜技術により、日本酒由来の豊かな香りと風味をそのままに、常温で長期保存できるおいしさを実現したお酒。米焼酎とはまた違った魅力を楽しめる新時代の和酒なのです。

 

筆者としては、これら各カテゴリーをはじめ今年も注目酒の最新トレンドを追いかけていきたいと思います。

 

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