グルメの長期的トレンドは「健康」や「DX」です。2022年のヒット商品では、睡眠改善をうたった「ヤクルト1000」や、好バランスかつオンライン販売が主軸の「完全メシ」が象徴的だったといえるでしょう。では、今年はどんなトレンドが生まれるのか?それは「反動」。注目のトピックスとともに、5つのキーワードで解説します。
1:サクサクスイーツ
近年のスイーツトレンドは「タピオカ」「マリトッツォ」「カヌレ」「生ドーナツ」「ボンボローニ」など、もちもち・ふわふわ系が共通点でした。その反動で来る、むしろ来ているのがサクサクスイーツです。その筆頭が、中東の「バクラヴァ」というパイのようなサクサクスイーツ。グルメの聖地・銀座では”バクラヴァの王様”と称される「ナーディル・ギュル」が昨年11月にアジア第1号店を構え、大行列となっています。
そして「マリトッツォ」や「ボンボローニ」を生んだイタリア発のサクサクスイーツが、「スフォリアテッラ」と「カンノーロ」。前者は薄い生地を層状に重ねた貝殻型のパイで、コンビニでは昨秋よりローソンが積極販売しています。後者「カンノーロ」はサクカリッとした筒状の生地に、リコッタチーズベースのクリームを詰めた菓子。身近なところではセブン-イレブンで買えます。
リバイバルのサクサクスイーツでは、「ナポレオンパイ(いちごのミルフィーユ)」に注目。例えば昨年11月、六本木の老舗喫茶として有名な「アマンド」は、同店で80年代に人気を博したナポレオンパイ専門店「アマンド東京」を東京駅内にオープンしました。改めて、今年のスイーツ対サクは、サクサク系で決まりです。
2:ご飯ファストフード
輸送費高騰、世界情勢、円安などで輸入食材が目立った値上がりをしている昨今、国内自給率の高いコメは比較的影響が薄め。そこで注目されるのが、コメ食。なかでも「ライスバーガー」や、「ぼんご系おにぎり店」がアツくなると思います。
ライスバーガーの例としては、近年マクドナルドの「ごはんバーガー」が限定発売を積極展開。福岡発の専門店「コメコメバーガー」は昨夏東京に進出しました。小売りでも、イオンは昨春に冷凍食品で「トップバリュ ライスバンズ」シリーズを新発売し、人気を博しています。
「ぼんご」とは大塚にある老舗の大人気おにぎり店のこと。年々注目度が増し行列も長くなっており、昨秋は近くに移転したことでも話題となりました。同店は卒業生も多く、近年では亀戸「豆蔵」、蒲田「こんが」、鬼子母神前「山太郎」などが続々オープン。外観からして「ぼんご」に似ている「戸越屋」や、新宿の「ぼんこ」(開業はこれから)にも注目です。
3:映えアンチテーゼ酒場
お次は外食で起きる反動を紹介。居酒屋シーンで2010年代のなかごろから増えているのが「ネオ大衆酒場」。こちらは古きよき大衆酒場をいま風にアップデートした業態で、2015年開業の蒲田店から始まった「大衆酒場BEETLE」が火付け役といわれています。
その後2020年ごろからは、映えを意識した「ネオン酒場」が増加。この風潮への逆張りといえるのが、専門性のあるメニュー×スタイリッシュな大衆空間×アルファベット店名の「CONCEPT酒場」です。例えば、大衆酒場BEETLEの運営元が昨春開業した「Noodle House Laundry」。
「CONCEPT酒場」にはほかに、日本酒バル「NEO JAPANESE STANDARD」、焼売スタンド「KAMERA」、台湾×クラフトの「also」などがあります。そしてもうひとつ、映え風潮へのアンチテーゼな業態が「古典リスペクト酒場」。こちらは隆盛時の「ネオ大衆酒場」への原点回帰ともいえるスタイルで、気取らない内外観や、昔ながらのシンプルな絶品メニューが特徴。
カフェでも映えへの反動なのか、モノトーン主体でスタイリッシュな「無機質カフェ」が増加中。外食市場の逆張りムーブメントからも目が離せません。
4:プロテインカレー
カレーも、映え系への逆張りでシンプルカレーをウリとするお店が盛り上がるはず。本稿では小売り商品のカレートレンドに絞って紹介していきましょう。それがプロテインカレー。プロテインの人気はご存知の通りで、カレーもスパイスカレーや南インド料理店、インネパ(ネパール人が手がけるインドレストラン)食堂などの影響で多様化が進行中です。ただ、プロテインカレーはまだまだこれから。そのぶん伸びしろがあり、代表ブランドのひとつが「KOREDE(コレデ)」です。
一方、ここ1~2年で「オートミール米化」という低糖質な食べ方が根付きましたが、これをおいしく味わう方法のひとつがカレー。プロテインと低糖質フードは仲間のようなものであり、「プロテインカレー」で米化オートミールを食べる人も増えるのではないでしょうか。
番外編:エレキソルト
最後は“反動”ではないのですが、個人的に注目している健康DXアイテムを紹介。今年発売が予想されている「エレキソルト」です。こちらはキリンが明治大学と共同開発したデバイスで、食品ではないのですがフードトレンドとしてのポテンシャルは激アツ。
具体的には、料理の塩味を最大1.5倍程度強く感じられるようになるカトラリーと器で、昨秋「エレキソルト -スプーン-」と「エレキソルト –椀-」が発表されました。塩味のもとであるナトリウムイオンの動きを、特殊な波形の電流によってコントロールすることで、舌で感じられる塩味やうまみが強調されるのだそう。
そのため、減塩したい人にとっては吉報といえるデバイスなのです。「エレキソルト」は2023年に日本国内での商品化を目指しており、発売されればいっそう大きな注目を集めること間違いなし。その暁にはインプレッションレポートしたいと思います。
GetNavi webではフードとお酒の2022年振り返りと2023トレンド予測記事を、本稿と含めて計4本掲載しています。合わせてぜひ一読ください!
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