マスター・オブ・ウイスキーがおすすめするウイスキーの楽しみ方
1.ハイボールの次は「ウイスクテイル-whisktail-」
「バーテンダーとして心掛けているのは、つくり手へのリスペクトを忘れないこと。それぞれのウイスキーが持つ魅力を台無しにしないよう、風味を活かした楽しみ方を提案しています」と語る静谷さんに聞く、初心者にもおすすめの楽しみ方とは?
「ウイスキー本来の味わいを知るには、やはりストレートで飲むことは大切です。私の使命は、ストレートで楽しむ人口を増やし、ウイスキーブームを永続させること。ただ、ストレートだけでなく、いろいろな楽しみ方ができるのがウイスキーの魅力です。ハイボール、水割り、カクテル、ロック、ストレートと段階的に楽しむのがいいと思います。
ハイボールの次の段階としておすすめしたいのが、「ウイスクテイル-whisktail-」というウイスキーベースのカクテルです。ウイスキー文化だけでなくバーテンダーとしてカクテルも広めていきたいという想いで、商標も取得しました」
「ウイスクテイル」とは、
1.ウイスキーベースであること
2.ウイスキーの香味を活かすこと
3.ウイスキーへのリスペクトがあること
上記の3つの条件を満たしたカクテルを指します。その代表作を教えていただきました。
・世界の定番カクテル「オールド・ファッションド」
「毎年発表されるカクテルの世界ランキングでは、TOP50にウイスキーベースのカクテルが数多くランクインするほど人気です。なかでも長年1位を獲得していたのが『オールド・ファッションド』。主にウイスキーと角砂糖、ビターズを使用した定番のカクテルです。シンプルが故に、世界では多種多様なアレンジを加えたオールド・ファッションドが生まれています。バーテンダーにとっては、自分のレシピが名刺代わりになるといってもいいかもしれませんね」
2.和食と楽しむなら、水割りで
食事、とくに和食と一緒に楽しむのであれば「水割り」がおすすめ。
「ジャパニーズ・ウイスキーは、和食に合うようにつくられている、といっても過言ではありません。かつてサントリーが『二本箸作戦』と呼ばれるプロモーションを行っていたのですが、これは『水割りにすれば、ウイスキーは和食にも合う』ということを謳ったもの。水で割ると、口当たりがマイルドになって食事にも合わせやすいんです。ハイボールもいいですが、食事には水割りという飲み方も定着していけばいいなと思っています」
3.食とのペアリングを楽しむ「ウイスキラシカwhisky-laschka」
ウイスキーをストレートで飲むためのトリガーとして、静谷さんが提案しているのが「ウイスキラシカwhisky-laschka」という楽しみ方です。
「『ニコラシカ』というカクテルがあるのですが、これは本来ブランデーのストレートに輪切りにしたレモン、砂糖を添えたもの。レモンと共に砂糖を口の中で噛んでから、ブランデーを流し込み、口の中でつくるシューターカクテルです。そのウイスキーバージョンとしてお出ししているものを『ウイスキラシカ』と呼んでいます」
「ウイスキーにはそれぞれ個性がありますので、それに合う料理も無限にあると思っています。例えば、『グレングラント アルボラリス』というスコッチウイスキー。シトラスやミント、リンゴの風味があるウイスキーなので、その風味に似た柚子、香り豊かなトリュフ塩、爽快なミント、アクセントとなるスイートピクルスを添えたペアリングを提案しています。食とのマリアージュを是非楽しんでほしいです」
4.ストレートは、グラスにもこだわりを
「ストレートでウイスキーを楽しむ際は、グラスにもこだわりたいところ。とくに最高のジャパニーズ・ウイスキーには、最高のジャパニーズグラスで楽しむのはいかがでしょうか。ワインに、ボルドー型、ブルゴーニュ型など、それぞれのワインを楽しむグラスがあるように、ウイスキーに応じたグラスがあってもいいと思うんです。同じストレートでも、グラスによって味わいや香りは大きく変わるということを知ってほしい……その思いを形にしようと新たにグラスを開発しました。今後もさまざまなグラスを開発していきたいと考えていますので、興味がある方はぜひチェックしていただけるとうれしいです」
日本各地の魅力が詰まったジャパニーズ・ウイスキー
最後に、静谷さんが思うジャパニーズ・ウイスキーの魅力を教えていただきました。
「やはりジャパニーズ・ウイスキー最大の魅力は、マスターブレンターのブレンド技術の高さ。さまざまな原酒を織り成す技術は、世界で最も卓越しているのではないかと思います。そして、本場スコットランドの気候に近い北海道でつくるウイスキーもあれば、長濱蒸溜所のようにトンネルの中で寝かせるものもある。ありとあらゆるロケーションで生まれる個性豊かなウイスキーを楽しむことができるのは、ジャパニーズ・ウイスキーの魅力だと思います。
コロナの感染状況がさらに落ち着けば、その魅力を存分に感じることのできる『ジャパニーズ・ウイスキーツーリズム』が生まれるのではないでしょうか。各地の蒸留所で試飲をして楽しみ、近くの観光地を巡るのも面白そうです。ぜひ、これからのジャパニーズ・ウイスキーにも注目してみてください」
プロフィール
バーテンダー / 静谷和典
東京新宿にて「新宿ウイスキーサロン」と「BAR LIVET」の2店舗を経営するオーナー・バーテンダー。2019 年に、ウイスキー文化研究所が認定する最難関資格「マスター・オブ・ウイスキー」を史上最年少で取得。その後も、ウイスキー検定 3 階級全国 1 位や、カクテルコンペティション2021年の日本チャンピオンなど輝かしい成績をおさめる。現在は、「バーテンダーしずたにえん」として、SNSで幅広く活躍中。TikTokやYouTube、InstagramなどSNSの総フォロワー数は50万人オーバー。
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