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2025/1/20 19:00

好評すぎて申し込み殺到も。前澤友作氏の”株配り”新サービス「KABU&モバイル」ってなに?

ファッション通販サイト「zozo」を大きく育ててその後ヤフーに売却、近年はSNSにおける「お金配り」などで常に話題に事欠かない前澤友作氏。そんな日本屈指の有名経営者が、新たなサービス「KABU&(カブアンド)」をリリースしました。

 

受付開始と同時に申し込みが殺到し、一部ではトラブルも発生するほど大きな注目を集めている本サービス。混乱の影響もあって2024年末には一時的に新規申し込みを停止していましたが、2025年1月20日正午から全サービスの申し込みを再開する見込みです。

 

そんなKABU&が一体どういうサービスであるのか、概要をわかりやすく解説します。

KABU&のサイトから

 

インフラサービス利用で未公開株がもらえる

「KABU&」は、インフラサービスの利用額に応じて、「株式会社カブ&ピース」の株引換券がもらえるサービスです。

 

サービスイン時点で用意されているのは、「KABU&でんき」や「KABU&ガス」、「KABU&モバイル」など、以下の6サービスとなります。

KABU&のサイトから

 

それぞれのサービスには還元率が定められており、利用額に応じて1枚1円の価値がある「株引換券」を入手できます。

 

例えば「KABU&でんき」で月1万円分利用した場合、入手できる株引換券は1%分の100枚となります(月額500円の「KABU&プラス」会員なら還元率が倍)。

 

現時点での株価は1株5円(見込額)なので、株引換券5枚で1株をもらうことが可能です。上記のように月1万円利用で100枚の引換券をもらった場合、20株を受け取ることができます。

 

受け取った株は、将来「株式会社カブ&ピース」が上場した後で売却することができます。仮に株価が大きく値上がりしたタイミングで売却できれば、利益を出すことができるのです。

 

なお、サービスイン時点では上記の6サービスですが、同社の「新株式発行届出目論見書」には「クレジットカード事業を2025年中に開始することを予定」と記載されているので、今後もサービスの拡大が行われそうです。

 

人気の「KABU&モバイル」はお得なのか? 他社プランと比較

KABU&のサイトから

 

現時点で「KABU&」には6つのサービスがありますが、このうち特に大きな注目を集めているのが「KABU&モバイル」です。

 

還元率が他のサービスよりも高く、通常で10%、KABU&プラス会員なら20%分の株引換券を受け取れることで人気を集めています。特にサービス開始直後は申し込みが殺到し、SIMカードの配送遅延や回線切り替えの不具合など、複数のトラブルが発生してしまうほどでした。

 

ここからは「KABU&モバイル」の料金プランを他社MVNOプランと比較してみましょう。

 

KABU&モバイルの各プランと他社比較

データ容量月額料金株引換券他社MVNOの同データ容量プラン例
3GB1078円107枚/月

(プラス会員は215枚)

・HISモバイル/自由自在2.0プラン3GB:770円

・NUROモバイル/VSプラン:792円

・LIBMO/なっとくプラン(3GB):980円

5GB1298円129枚/月

(プラス会員は259枚)

・NUROモバイル/VMプラン:990円

・IIJmio/5ギガ:990円

・mineo/マイピタ5GB:1518円

10GB1738円173枚/月

(プラス会員は347枚)

・HISモバイル/自由自在2.0プラン10GB:1340円

・NUROモバイル/VLプラン:1485円

・IIJmio/10ギガ:1500円

20GB2178円217枚/月

(プラス会員は435枚)

・日本通信SIM/合理的みんなのプラン:1390円

・IIJmio/20ギガ:2000円

・mineo/マイピタ20GB:2178円

50GB3828円382枚/月

(プラス会員は765枚)

・日本通信SIM/合理的50GBプラン:2178円

・イオンモバイル/50GB:3608円

・IIJmio/50ギガ:3900円

※価格は税込

 

「KABU&モバイル」のプラン構成は3GB・5GB・10GB・20GB・50GBの5つで、どれも10%の還元率で株引換券をもらうことができます(プラス会員は20%)。他にも通話定額オプションなども用意されており、それらを利用した場合、さらに株引換券の枚数が加算されていきます。

 

他社MVNOが提供している同じデータ容量のプランと比較すると、目立って安いというわけではありませんが、十分安価な設定です。料金の10%が株引換券として還元されることを考えれば、お得な料金設定だと言って良いでしょう。

 

なお、回線はドコモ・au・ソフトバンクの3社から選ぶことが可能です。

 

手を出しても大丈夫? リスクもチェック

「KABU&」は、株式投資に縁のなかった人でも気軽に始められる革新的なサービスと言えます。

 

通常、株式の売買を行うためには証券口座を開設する必要がありますが、「KABU&」の未公開株をもらう際に証券口座は不要です(上場後に売却する場合は口座開設が必要)。そのため、これまで株に縁がなかった人も気軽に始めることができます。

 

加えて、通常の株式投資をする場合は資金を用意して株を購入する必要があり、仮に値下がりすれば損をする可能性もあります。しかし、「KABU&」の場合はサービス利用時の還元でもらえる引換券と交換で株が手に入るので、新たに投資資金を用意する必要がないということも、投資初心者にとって安心なポイントと言えるでしょう。

 

そして、後々株が値上がりした際に売ることができれば、大きなリターンを得られる可能性もあるので、一般的なポイント還元を受けるよりも夢のある話と言えます。

 

一方、このサービスを利用することで生じるリスクはあるのでしょうか? 想定されるリスクのうち、代表的なものを4つピックアップしてみました。

 

・上場できなければ株を売却できない

株引換券で手に入れられる株式会社カブアンドピースの株は未公開株で、現時点では売ることができません。自由に売買ができるのは、この株が上場した後のこととなります。上場まではどんなに早くても数年を要するので、それまでは株の売却ができないことは覚えておく必要があります。さらに、もしもこの事業がうまくいかず上場できなかった場合、株を売却することはできないというリスクをはらんでいます。

 

しかし、こうした懸念について前澤氏は「3年以内に上場できなければ、株を買い取ります。」との宣言を発表。2027年12月31日までに上場できなかった場合、カブアンド種類株式の払込金額相当額×1.2倍、またはその時点で第三者算定機関が算出する評価額のうちいずれか小さい方の価格を適用して買い取りを実施するとしています。

 

・株の価値が下がる可能性がある

株式の価格は大きく上下するものです。そのため、今後株価が下がった場合、取得時よりも1株あたりの価値が下がることもリスクの一つです。

 

・株の希薄化のリスクがある

「KABU&」のサービスを多くの人が利用すればするほど、より多くの株式が追加で発行されます。発行済み株式の総数が多くなれば、1株あたりの価値は下がってしまいます。これを「株の希薄化」と言います。「KABU&」のサービスが使われなければ上場が遠のいてしまいますが、一方で人気が出すぎた場合は希薄化が起きてしまうということもリスクとして認識しておくべきでしょう。

 

・通常の株主よりも行使できる権利が制限される

通常、証券口座を通して購入する株は「普通株式」と言います。一方、「KABU&」の株引換券で交換できる株式は「種類株式」と言い、「普通株式」とは行使できる権利が異なります。たとえば、本株式の種類株主の場合、株主総会における議決権を有していないことや、仮に会社が解散した場合でも残余財産の分配は受けられないなどのことが違いとして挙げられます。

 

以上4つが代表的なリスクと言えます。中でももっとも大きなリスクは「仮に上場できなかった場合、もらった株を売却することができない」という点ですが、3年後をタイムリミットにした株の買い取りが発表されたこともあって、ひとまず最大の懸念は回避できそうです。万が一、買い取りが実現されないような事態に陥ったとしても、追加で借金を背負うなどということはありません。

 

上記のとおり、「KABU&モバイル」のサービス内容を見てみると、他社と比較しても十分安価な水準のサービスとなっています。生活に欠かせないインフラサービスを使いながら「数年後の夢を買う」というくらいの気持ちで利用してみるのも面白いかもしれません。