Vol.148-2
本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回はAmazonが発表した新たな音声アシスタント「Alexa+」の話題。生成AI時代に生まれ変わるサービスにはどんな変化があるのかを探る。
今月の注目アイテム
Amazon
Echo Show 15(第2世代)
実売価格4万7980円

音声アシスタントの草分けであるAmazonの「Alexa」は、2014年にアメリカで生まれた。同時に登場した「Amazon Echo」の存在もあり、そこから数年間、スマートスピーカーのブームが起きたことを記憶している方も多いだろう。Googleは「Google Home(現 Google Nest)」、Appleは「HomePod」を製品化し、日本ではLINEが「Clova」を販売した。
そのブームも3年ほどで落ち着いたが、その後に市場で存在感がある形を残せたのは、AmazonのEchoシリーズとGoogleのNestくらいではないだろうか。製品供給という意味ではAmazonはいまだ積極的だが、Googleは鈍く、スマートスピーカーというジャンル自体が停滞しているのは間違いない。
音声アシスタント自体は、そのままスマホの中に定着した。現在はテレビでも、スマホ由来の技術を使って「音声検索」するのがあたりまえになっている。
スマートスピーカーの登場時期は、音楽でストリーミング・サービスが定着し始めた時期と重なる。日本ではまだまだだったが、アメリカではまさに普及期。しかし、家庭にはすでにCDプレーヤーやホームオーディオが減っており、「部屋で気軽に音楽を聴く方法」が求められていた。スマートスピーカーの存在感もそこにあった。
だが、その需要が一回りすると、そこからは別の要素が必要になる。そこで重視されたのが「スマートホーム」だ。日本では「家電を声で操作する」要素が注目されがちだが、アメリカで中心となった要素は、監視カメラと組み合わせた「セキュリティ」である。アメリカでは切実なニーズがあり、監視カメラをハードと管理サービスのセットで販売できるため、収益性も高まる。
音声アシスタント自体では大きな収益は生まれていないものの、セキュリティを軸にしたスマートホームは収益につながっている。結果として、自宅内に置くスマートスピーカーも、スピーカーだけを備えたものからディスプレイ付きの「スマートディスプレイ」が増えてきている印象だ。
ただし、その流れは「音声アシスタント自体の価値を高める」ものではない。Amazonが目指していたのは、「スタートレック」などのSFの中に出てくる、「話しかけると作業をしてくれるコンピュータ」を実現することだったからだ。音声認識ができるサービスを作ることはできたが、理想には遠い完成度だったと言える。
だからこそAmazonは、Alexaをゼロから作り直し「Alexa+」をスタートすることになったのだ。
では、その作り直しにはどのような流れがあったのか? その点は次回のウェブ版で解説しよう。
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