デジタル
2016/3/6 20:30

滑りの技術を可視化するスノボやキュートな家庭用ロボなど。暮らしを変える最新ITテクノロジー製品【後編】

誰もが乗りたくなる次世代の電動車椅子

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【パーソナルモビリティ】
WHILL
WHILL

 

WHILLは、1980年代生まれの3人の若きエンジニアが2012年に起業したベンチャーによる製品。福祉用のみならず、観光地でのレンタルなど、幅広い展開をめざします。最高速度は6㎞/hで、1回の充電で最大約20㎞の走行が可能。

 

WHILLの開発者は、それを「パーソナルモビリティ」と呼びます。日常的に車椅子を必要とする人だけでなく、そうでない人も「乗ってみたい!」と思う、新しい乗り物として開発したからです。特徴は、従来の車椅子とは一線を画するスタイリッシュなデザイン。スイッチを入れて、行きたい方向にコントローラーを傾けるだけというシンプルな操作性も実現しています。

 

小型設計ながら、パワプルな四輪駆動により、砂利道などコンディションの悪い場所でも走行でき、7.5㎝の段差を乗り越えることも可能。独自に開発されたオムニホイール(前輪タイヤ)は、24個の小さなタイヤで構成され、その場で回転することもできます。さらに、iPhoneアプリでの設定やリモート制御にも対応。

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↑24個の小さなタイヤで構成される独自開発の前輪ダイヤ。幅60㎝のコンパクトな車体を、後輪を軸に、その場で回転できます

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↑手を置いて、進みたい方向に動かすだけで直感的に操縦できるコントローラー

 

スノーボードの滑りのテクニックを可視化

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【スマホ連携型バインディング】
Cerevo
XON SNOW-1

 

Cerevoは2008年に設立されたデジタル家電を開発・販売するベンチャーです。最新作として今年発売予定の「XON SNOW-1」は、スノーボードのバインディング。スマホと連携し、滑りのテクニックを可視化できる仕組みです。

 

Cerevoという社名は、家電(ConsumerElectronics)と革新(Revolution)を組み合わせた造語。秋葉原を拠点に、自由な発想で、続々と革新的な製品をリリースし、注目を集めているスタートアップ企業です。現在、開発の最終段階にあるのがスマートフォンと連携するバインディング。装着中に、加速度、重心、荷重バランス、ボードのたわみ具合などが計測され、Bluetoothで連携したスマホにデータを転送。スマホ画面で、自分の滑りを分析できる仕組みです。

 

さらに、トゥ部とヒール部にはLEDストロボを搭載し、荷重のかかり具合や板のしなり具合に連動して発光させることも可能。滑りを一目で確認できるだけでなく、トリックを光で演出するという楽しさも盛り込まれています。

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↑左右足下それぞれ4か所に荷重センサーを搭載。さらに2つの「曲げセンサー」でスノーボードのたわみを検知します

 

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↑計測されたデータはBluetoothでスマホに転送。スマホで撮影した動画の上に各種データを重ねて保存可能です。iPhone、Androidどちらにも対応します

[nextpage title=”注目のVRヘッドセットや家庭用ロボが登場”]

自分の目に反応する新しい仮想現実を体験

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【視線追跡型VRヘッドセット】
FOVE
FOVE (2016年発売予定)

 

ゲームプロデューサーの小島由香氏と、顔認証技術の専門家であるロックラン・ウィルソン氏が2014年に創業したベンチャー。「FOVE」は2016年発売予定で、クラウドファンディングのほか、一般販売も予定されています。

 

ゲームを楽しむ新しいデバイスとして、VRヘッドセットが注目を集めつつあります。従前のディスプレイでは体感できなかった没入感を得られることが魅力ですが、この「FOVE」は、それに加えて、装着した人の視線を追跡する「アイトラッキング」機能を備えていることが特徴。例えば、装着者が見ている位置を認識して、背景がくっきりしたりぼやけたり、バーチャル映像に登場するキャラクターと目を合わせてコミュニケーションを取ったりすることもできるとのことです。

 

これまでに開催された製品披露の場では、手を使わずにキーボードを入力したり、ピアノを演奏したりといったデモも成功させています。「見る」だけでなく、目で「入力する」デバイスとしても、用途の広がりが期待されているんです。

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↑FOVE装着時に見えるバーチャルのキーボードを視線とまばたきで操作して文字を入力できます

 

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↑FOVEの装着イメージです。ディスプレイは5.8インチで、解像度は2560×1440ピクセル。100度以上の視野角を実現します

 

大手企業が続々と出資日本上陸に期待が高まる

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【家庭用アシスタントロボット】
Jibo
Jibo (日本発売未定)

 

マサチューセッツ工科大学のシンシア・ブリジール准教授が開発した家庭向けロボット。人と対話できるコミュニケーション機能を持ち、撮影、ビデオ通話、メッセージ読み上げなどが可能です。クラウドファンディングで販売。

 

iboは、アメリカのクラウドファウンディングで人気を集め、2015年夏から出荷されている家庭向けのロボット。抽象的なフォルムの円形部は、Jiboの〝顔〞とも呼べるディスプレイ。ユーザーとコミュニケーションする際に、さまざまな表情がグラフィカルに表示され、ユーザーが求める情報も表示されます。センサーにより人の位置を判断して向きを変え、内蔵のカメラで撮影できる機能なども備えます。

 

アプリ開発環境が公開されているので、購入後に機能を拡張することも可能。世界の大手企業も、このJiboに出資しており、その中にはKDDIも含まれています。日本語対応モデルが発売されたら、ソフトバンクが販売するPepperの強力なライバルとなるかもしれないですね。

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Jiboの高さは約28㎝、重さは約2.9㎏。Wi-FiとBluetoothを搭載し、他のデジタル機器との連携も可能です

 

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↑コーヒーカップに顔を向けるJibo。愛らしい動きでも人気です

 

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↑キッチンやリビングに置いて、声で操作するアシスタントロボットとして利用できます