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2017/7/1 8:30

【西田宗千佳連載】スマートスピーカー市場でAppleに勝ち目はあるか

「週刊GetNavi」Vol.56-1

↑WWDCで発表されたアップル「HomePod」
↑WWDCで発表されたアップル「HomePod」

 

Amazonが先行するスマートスピーカー市場

6月5日(現地時間)、Appleは米国カリフォルニア州サンノゼで開催した年次開発者会議・WWDCの基調講演にて、スマートスピーカーHomePodを発表した。

 

スマートスピーカーとはネットに接続して使うスピーカーのうち、特に音声認識・音声対応が可能な製品のことを指す。スマホではお馴染みになった音声認識を使い、“明日の天気”“このあと乗る予定の飛行機の情報”“料理のレシピ”などを教えてもらったり、家庭内LANで連携した照明やテレビの電源を入れたりと、いわゆる“AIがアシスタントになった”ような使い方ができるのが特徴だ。

 

日本ではまだあまり製品が出回っていないが、米国ではすでに900万台近くが流通している……といわれる。このジャンルの先駆者は、米Amazonだ。彼らが2015年に発売したEchoシリーズは、特に2016年後半に入ってから爆発的なヒットを記録し、一気にヒット商品の仲間入りを果たした。他にも、GoogleやLINEなどが市場に参入し、マイクロソフトも参入予定を公表しているものの、当面はAmazon一人勝ちが続きそうだ。

 

iPhoneなどで音声アシスタント・Siriを提供しているAppleは、スマートスピーカーを作る能力も可能性も十分にあった。おそらく開発プロジェクトそのものはずいぶん前からあったのだろうが、Echoの動きを見て加速させたであろうことは容易に想像がつく。

 

家庭での音楽を再発明するHomePodの戦略

結果として、Appleが提示したのは“音楽”を強く押し出したスマートスピーカーだった。発表に際し、Appleのティム・クックCEOは、「家庭での音楽を再発明する」と語った。これはもちろん、同社の現在に大きな影響を与えた製品である“iPod”のキャッチコピーであった「音楽を再発明する」から引用したものである。

 

Appleは同社の音楽サービス・Apple MusicとHomePodを連携させ、さらに、聴いている人の方向を把握したうえで音楽をその人に絞りこんで聴かせる……といった機能も持っている。快適にリビングで音楽を聴けることを軸に据えたうえで、Siriによる音声コマンドを打ち出すのがHomePodであり、iPodやAirPodsなど、Appleの音楽製品の印である“Pod”がブランド名に入る。

 

意外に思えるかも知れないが、Appleの選択はきわめて論理的である。なぜなら、スマートスピーカーの用途として、音楽はAI以上に重要なものだからだ。米国においては、クラウドを使った聴き放題型の“ストリーミング・ミュージック”が音楽消費の中心になっている。だから、それをリビングで気軽に聴くことには大きな市場がある。

 

とはいえ、Appleはライバルに大きく先行を許している。しかも、HomePodは349ドルと、AmazonのEcho(139・99ドル)に比べ200ドル以上高い。Appleの勝算はどこにあるのだろうか? そして、Googleなど他社は? 日本ではどうなるだろう? そのあたりは次回のVol.56-2以降で解説する。

 

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