デジタル
2016/4/4 16:48

【西田宗千佳連載】4K放送はプレミアム、本格開始時にはアンテナ変更も必要

「週刊GetNavi」Vol.41-2

4Kテレビの話になると、よくこういう質問を受ける。

 

「4Kって、またテレビが変わるんですか? 地デジになったばっかりじゃないですか。ドラマはともかく、ニュースを4Kで見たいとは思わないですよ」

 

テレビは一般に、5~8年で買い替えられる、と言われている。2011年にデジタルテレビを買った人のなかにはそろそろ買い換え……という家庭も意外と多い。だが、感覚的にいえば「また大きく変わるの?」という気持ちになるのもわかる。だが、ちょっと違うのだ。

 

そもそも、地上波が4K以上の解像度になるという計画は、いまのところ存在しない。衛星放送を中心とした「プレミアム局」が4Kへと移行する。追加コストを支払っても高画質な作品を楽しみたい、という人のものだ。衛星放送については、2014年に試験放送として「Channel 4K」がスタートしていたが3月に放送を終え、スカパー!がスカパー!プレミアムサービス(東経124度・128度CSデジタル放送)で2チャンネルぶん、4K放送を行っている。BS-17(すでに終了済みの、地デジ移行難視聴地域対策用)を転用、試験放送を行う予定である。本放送は2018年を予定しているが、このときには、BSおよびCS110度を利用する。

 

総務省の計画としては、同時にプレミアムサービスとして「8K」を推進することになっている。こちらもやはり、今年中にBSで試験放送を行い、2018年にBSで実用放送をスタートする、ということになっている。俗にいう「スーパーハイビジョン」とは、8Kだけのことではなく4Kも指し、「ハイビジョン(2K)を超えるもの」と定義されている。

 

プレミアムサービスである、ということと「広く一般に提供される基幹放送である」ことには大きな違いがある。基幹放送ならばどの国民も等しく視聴できなければいけないが、プレミアムサービスはそうではない。地上波でアナログ変換などの難視聴地域対策が行われたのは基幹放送だからだ。基幹放送の入れ替えには10年単位での慎重な計画が必須で、日本はそれを終えたばかりだ。いつかはより高度なものに、という話も出るだろうが、いまはそのときではない。

 

別な言い方をすれば、プレミアムサービスなので、視聴にはお金も設備も必要だ。4K以上の解像度のテレビはもちろんだが、チューナーもアンテナも必要になる。また、衛星放送では4Kは「左旋円偏波」という方式が使われるため(現在は右旋円偏波)、アンテナの入れ替えも必要になる。スカパー!やWOWOWのような有料放送ならば、視聴料も必要だ。

 

逆にいえば、これだけのコストをかけても「高画質なものが見たい」人に向けて提供するのが4K以上のプレミアムサービスで、有料放送はそこに期待していると言える。

 

では、そこでの「録画」とはどういう位置づけになるのか? そこは次回のウェブ版にて。

 

「Vol.41-3」は4/11(月)更新予定です。

 

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