モトローラ・モビリティ・ジャパン(以下、モトローラ)が、6月8日にSIMフリースマホの新機種3モデルを発売した。1万9980円のエントリーモデル「moto e5」、3万1104円のミドルレンジ「moto g6」、そして4万1904円のミドルハイモデル「moto g6 plus」という、価格で勝負するラインナップだ。そのなかの最上位モデル「moto g6 plus」をいち早く使わせてもらえる機会を得た。1週間ほど使った、率直なレビューをお届けしたい。
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縦長ディスプレイを搭載し、持ちやすさも実現
moto g6 plusは、CPUはクアルコムのSnapdragon 630(2.2GHzオクタコア)、RAMは4GBで、ストレージは64GB(最大128GBのmicroSDで拡張可能)。ミドルクラスの上位に位置付けられる仕様で、日常的な用途においては、さらに性能が高いCPUを搭載するハイエンドモデルと比べても、使用感に遜色はないはずだ。実際に、アプリの起動やウェブページのスクロールなど、キビキビと操作でき、今のところ、ストレスを感じることはない。
ディスプレイは5.94インチ。解像度はフルHD(1920×1080ドット)を縦方向に拡張した「フルHD+(2160×1080ドット)」で、画面アスペクト比はハイエンドスマホのトレンドとなっている18:9だ。そのため、横幅は持ちやすい75.5mmに押さえられている。ちなみに、5.5インチ画面であるiPhone 8 Plusの横幅は78.1mmなので、「画面サイズのわりにスリム」と言って差し支えないだろう。ちなみ上部にノッチ(切り欠き)はなく、ベーシックなデザイン。大きめの受話口を備えているが、受話口がスピーカーも兼ねている。
moto g6 plusは、前面だけでなく、背面パネルにもガラスを用いている。背面は一見ブラックに見えるが、光があたると鏡のように反射し、濃いブルーに見えたりもする。カラー名は「ディープインディゴ」。この1色しかなく、ほかの色は選べないが、多くの人に好まれる色だと思う。
背面パネルは両サイドにカーブが施されている。このため、手にフィットしやすく、持ちやすさに貢献している。ただし、ガラスということもあり、ツルツルとした手触りなので、うっかり落としてしまいそうになることも。落下防止用のリングを付けたり、スマホケースに入れて使うのが無難だろう。SIMフリースマホは、ケースの種類が少ない機種もあるが、モトローラの「Moto G」シリーズは、グローバルでの売れ筋商品ということもあり、Amazon.co.jpなどで購入できるケースの種類は比較的多い。
自然なボケ味を出せるデュアルカメラ。夜景もキレイに撮れる
背面にはデュアルカメラを搭載。レンズがF1.7で1200万画素センサーのカメラと、レンズがF2.2で500万画素のカメラの組み合わせだ。2つのレンズにより、被写界深度をコントロールでき、一眼レフで撮ったかのような、背景を美しくぼかした写真も撮影できる。
昨年発売された「Moto G5S Plus」や「Moto X4」もデュアルカメラを搭載しているが、moto g6/g6 plusでは、「カメラ」アプリがより使いやすく進化している。従来モデルではメニューから「深度の有効化」を選択して撮影することで、背景をぼかすことができた。新モデルでは、撮影モードから「ポートレート」を選択すると、背景をぼかして撮影できる。できることに変わりはないが、初めてデュアルカメラを使う人でも、迷わずに使いこなせるように思う。なお、撮影モードには、従来モデルから引き続き「スポットカラー」「フェイスフィルター」という機能があり、「スローモーション」や「タイムラプス」も追加されている。
moto g6 plusは、暗所での撮影性能が強化されたこともセールスポイント。ここは下位モデルのmoto g6に対するアドバンテージでもある。実際、夜景を撮影しても、画質がさほど粗くならず、手ブレも抑えられるように感じた。
インカメラにも高画質カメラを採用している。レンズはF2.2で、有効画素数は1600万画素。「フェイスビューティ」という補正機能も備えていて、自動、手動、オフから選択できる。実際に撮ってみて感じたのは、美肌補正がやり過ぎず、盛り過ぎず、ちょうどいいこと。肌荒れや老化が気になる男性にも重宝するのではないかと思う。なお、前面にもLEDフラッシュを搭載しているのだが、その光量もちょうどよく思えた。白飛びを嫌ってフラッシュを使わないようにしている人も試してみる価値があると思う。
モトローラは「Pure Android」を採用するメーカーだ。Pure Androidとは、メーカー独自のカスタマイズを施さない、本来のAndroid OSを意味する。ホーム画面、アプリ一覧画面、クイック設定パネルは、Googleが設定したユーザーインターフェイスをそのまま生かしている。Googleは、かつて自社ブランドで「Nexus」シリーズを販売し、現在は海外で「Pixcel」を展開しているが、それらと同じ操作性で使えるというわけだ。ちなみに、ワイモバイルが販売している「Android One」シリーズも、機種によってメーカーは異なるが、いずれもPure Androidだ。
Pure Androidのメリットは、まず、操作性がわかりやすいこと。同じ用途の複数のアプリが入っていて、どちらを使えばいいかと迷うこともない。また、OSのアップデートがあった場合に、比較的早く対応してくれることも期待できる。
Pure Androidを採用した上で、モトローラのスマホには独自機能も追加している。moto g6 plusは、それらの独自機能にフル対応している。たとえば、本体を2回振り下ろすとフラッシュライトを点灯でき、手首を素早く2回ひねるとカメラが起動し、続けて同じ動作をするとインカメラに切り替わる。また、3本の指で画面を長押しするだけでスクリーンショットを撮れる機能も搭載。これらの機能は「Motoアクション」というが、なくても困らないが、一度使うと手放せなくなる機能だ。
顔認証と指紋認証を併用できるのも便利。2つを使い比べると、顔認証のほうがスピーディーにアンロックできて便利だと感じたが、暗い場所、あるいはマスクを着けていたりして、顔が認証されない場合に指紋を使えるのは非常に便利だ。
LTEの対応周波数も多く、ドコモ、au、ソフトバンクのプラチナバンドにも対応しているので、好きな回線で利用可能。nanoSIMを2枚セットでき、同時に待ち受けする「デュアルSIMデュアルスタンバイ(DSDS)」にも対応している。2枚のnanoSIMを挿して、なおかつmicroSDも装着できることも、このmoto g6 plusの大きな魅力。
バッテリーは標準的な使い方であれば1日は余裕で持つであろう3200mAh。15Wのターボパワー充電器も同梱している。moto g6 plusは一見、スタンダードなAndroid端末に見えるが、実際に使ってみると、徐々に便利さに気づく。個人的な感想ではあるが、噛めば噛むほど味が出るスルメのような端末ではないかと。4万1904円だが、実売価格が5万円台でもおかしくない仕上がりだ。
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