いつの世も楽器を演奏する人々は、「自宅で手軽に音楽を作れる環境」を求めてきました。カセットテープの時代から「マルチトラックレコーダー」という音を多重に録音できる機器に需要があり、時代ごとに名機が生まれてきました。
今回紹介する「Spire Studio」も、大枠としてはマルチトラックレコーダーの一種です。しかしぱっと見の時点で「これまでのレコーダーとは何か違うぞ?」という気がしませんか? もちろん気のせいではありませんし、見た目だけでなく機能も今までのマルチトラックレコーダーの域を越えたアイテムなのです。
iZotope
実売価格4万3189円
これまでの典型的なマルチトラックレコーダー、通称「MTR」の姿は、多重録音できるトラックの数と同じだけのミキサーがずらっと並んでいて、そのミキサーにマイクや楽器、エフェクターをつないで録音。録音が終わったらミキサーを操作して各楽器の音量やステレオ配置を調整するものです。アイテムの形としては、ミキサーのノブやメーター、入出力端子がずらっと並んでいる、あれです。スマホの多重録音アプリやパソコンのDAWシステムの多くも、インターフェイスの大元はそれです。
対してSpire Studioは、レコーダーらしくないルックスですし各トラックごとのノブやメーター、入力端子などのミキサーっぽい要素はまるで見当たりません。これでちゃんとした多重録音ができるの?と不安というか謎に思うかもしれませんが、できます。それも、これまでよりもずっと簡単に!
その秘密は、Spire Studioの3つの高機能により実現しています。
「録音音量などはiZotopeの技術で自動で最適化してくれる」→ミキサーっぽいノブやボタンをたくさん並べる必要はない
「プロクオリティのマイクと、マイクプリを本体に内蔵」→本体のみで録音できるので、外部機器をつなぐ端子は最小限で問題ない
「本体だけで多重録音ができる上に、ミキシングなどの作業はスマホアプリで実現」→本体のみでの基本の操作性は超シンプル
ではここからは基本的な使い方の流れをざっくりと紹介しつつ、そのポイントを紹介していきます。