真っ暗なドアの前に立ち、バッグの中を引っかき回す女ーーそう、鍵を探している私です。帰宅して早く家に入りたいのに、鍵が見つからない。そんなとき、いつも手元にあるもので鍵が開けられるようになるのが「スマートロック」。スマホで鍵が開閉できる製品です。
スマホで鍵の管理もできるなら便利に決まってます。しかし、スマホに大事な家の鍵を管理させて本当に安全なのか、私はずっと疑っていました。そんな怯える子羊に、スマートロック「SESAMI mini」のレビュー依頼が! 私のように不安を抱く人は他にもいるはずと、喜んでお引き受けしました。ではさっそく、レビューをお届けしましょう。
日本向けに小型、軽量化された「SESAMI mini」
「SESAMI mini」は、クラウドファンディング「Kickstarter」で目標額を達成して商品化された「SESAME(セサミ)」を、日本向けに小型化した製品です。クラウドファンディング「Makuake」で支援を募集していましたが、目標額達成のためすでに終了しており、1月より配送がスタートする予定です。ちなみに、SESAMI mini1台の予定リテール価格は1万4800円です。
SESAMI miniは、スマホのアプリ(iOS、Android対応)でドアのロックを開閉できるデバイスです。Makuakeのプロジェクトページによりますと、そのセキュリティは某国軍事レベルとのこと。電池はCR123Aを2つ使用し、1日に10回使用したとして510日持ちます。本体サイズは92.7mm、57mm、54.5mm。重さはバッテリー込みで138.2gと軽量化し、日本の住宅の鍵のほとんどに対応するとのことです。
ではさっそく、取り付けてみましょう。今回編集部からお借りしたSESAMI miniは、Wi-Fiアクセスポイント1台とのセット。宝飾品が入っているようなかわいい箱に詰められています。本体カラーはホワイト、ブラック、シルバー、ゴールドの4色から選ぶことができます。ドアの色に合わせられるのは嬉しいですね。
ドアへの設置は少々苦労しました。というのは、ドアのバーの付け根がSESAMI miniの上部と当たってしまうからです。これは逆さまに設置することで解決。次なる問題は、ドアのつまみが厚く、SESAMI miniでうまく挟めなかったこと。これは付属のプラスドライバーでパーツの位置をずらすことで解決しました。DIYなどしたことがない私ですが、ドライバーやネジが用意されていたので助かりました。
ロックとアンロックは画面をタップ!
デバイスが設置できたら、次はアプリの設定です。専用アプリをスマホにインストールし、会員登録を行います。SESAMI miniとスマホをBluetooth接続(ペアリング)して準備完了です。通常はBluetoothでロックの操作を行いますが、インターネット経由での操作はWi-Fiアクセスポイントを利用します。
初回はロックとアンロックの位置を設定します。次回からは、アプリの画面をタップすれば、「Locked(施錠)」と「UnLocked(解錠)」をすることができます。
SESAMI miniを設置しても、普通の鍵で施錠することはできるのですが、それではスマートではありませんよね。SESAMI miniは、最初に登録した人が管理者となり、ゲストとして複数の人を登録することができます。後から追加されたユーザーも鍵の開閉を行うことができ、その履歴はアプリに残ります。一定期間だけ鍵をシェアするといったことも可能です。他のユーザーが使用しているときは、「Busy」と表示され、操作ができなくなります。
また、オートロックも利用できます。ロックする時間は5秒から4分まで、好みの秒数に指定できます。Wi-Fiを利用することで、インターネット経由で鍵を操作することができるので、遠方から解錠したり、鍵の開け閉めの履歴も見たりすることができます。
さらに、「手ぶら解錠」と「ノック解錠(iOSのみ)」という機能もあります。これは、スマホがSESAMI miniに近づいたら自動で解錠、またはiPhoneをノックすると解錠するものです。ただし、アプリがバックグラウンドで起動していて、GPSが安定している場合などに限られるとのこと。私も何度か試したのですが、GPSの判定やBluetoothとWi-Fiの切り替えのタイミングによってうまく解錠できませんでした。アップデートで改善されるとのことなので、期待したいですね。
音声やApple Watchで操作する
SESAMI miniは、Apple Watchでも開閉できます。ちょっとコンビニに行きたいときにスマホを持たなくても開閉できるのは便利ですね。
また、スマートスピーカー「Google Home」や「Googleアシスタント」アプリから音声で操作できます。スマートスピーカーでの操作は、スマホを持たない子どものために鍵を開けてあげるときに使えますね。私はGoogleアシスタントアプリでのロックを試してみました。Googleアシスタントアプリを起動して指示するよりも、SESAMIアプリをタップした方が早いのですが、音声で鍵を操作することは未来を感じる瞬間でした。もっと便利に使いたい人は、IFTTTを使ってサービスを連携したり、公開されているAPIでプログラミングにチャレンジしたりもできます。こうしたカスタマイズはスマートロックならではですね。
さて、SESAMI miniを2週間ほど使用してみましたが、私が怯えていたようなおかしな挙動はありませんでした。慣れてくると、鍵よりもスマホの方が断然見つけやすいため、スマホで操作することが当たり前になります。
ただ、鍵もスマホも持たずにゴミ出しに行ったとき、オートロックが掛かってしまったときは焦りました。また、iPhone Xシリーズはアプリを閉じるときに画面をフリックするのですが、誤タップして鍵を開けてしまい、びっくりしたことがありました。それもこれも、操作に慣れてしまえばなんてことはありません。
誰が何時に鍵を開けたと記録に残ることもなぜか楽しく、いまSESAMI miniを外して返却することに寂しさすら感じます。今後、購入のチャンスがあったら、ぜひ試してほしい製品です。