「週刊GetNavi」Vol.75-2
人がいないコンビニ、レジ待ちがないコンビニというと、ニュース的には必ず「AIを使って」という枕詞がつく。たしかにそれは事実で、買った品物を確実に把握する技術がなければ、レジのないコンビニはそもそも成立しない。もっとも一般的な方法は、店中にカメラを設置して人の動きと棚からの商品の移動を認識し、「最後に商品を持った人が店を出た」と判断した時点で、その人に対して商品の代金を請求する、というパターンだ。いかにも「AIコンビニ」という感じがする。
だが、商品の移動を感知するのに使うのは、なにも画像認識だけではない。意外と古典的なテクニックも併用されている。
例えば「Amazon GO」で使われているテクニックとして「重量計」がある。Amazon GOの棚には重量計が仕込まれており、商品が持ち上げられたかどうか、戻されたかどうかを判別するのに使われている。商品が別の棚に戻されたとしても「買った」扱いにはならない(店を出てないのだから当然なのだが)のだが、それも、画像による移動の認識と重量計による棚にある商品量の変化の合わせ技で計測されている。
現在の技術では、「これさえやっておけば大丈夫」というものはない。それぞれの技術にはそれぞれの欠点や限界がある。開発する側は、限界を理解したうえでうまく組み合わせて、「魔法のようにすごい店舗」を演出しないといけないのだ。まだ開発は初期段階であるため、企業によるノウハウの差で、システムの出来が大きく左右されている。Amazonの姿が目立つが、このジャンルには、ベンチャーから大手まで、多くの企業が参入を進めている。「これ」という明確なアプローチが出来上がっているわけではないので、どの企業にも逆転のチャンスがある。
とはいうものの、コアの技術として「画像認識による商品や行動の判別」が重要であることは間違いがない。画像認識の技術そのものは、すでにそこまで難易度の高いものではなく、素人でも数日で開発できるものだ。だが、精度の高い検出を実現するには、大量のデータと試行錯誤が必要であり、それには、規模の大きな企業・プラットフォーマーであることが有利な状況にある。
では、そうやって実現される「無人コンビニ」の市場性はどのくらいあるのだろうか? 我々が日々使うコンビニも無人になっていくのだろうか? そのあたりは次回のVol.75-3で解説する。
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